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萌えシチュ



黛でお姫様だっこ



え、えーっと何だろう。この状況は。逃げてる途中に足を捻ったわけだけど、別に歩けないわけじゃない。そんなに歩くのが遅かったかな、私。それにしても恥ずかしい。な、なんでお姫様だっこをされてるんだろ。しかも黛さんにだよ!?



「ま、黛さん…あ、あのですね…降ろして欲しいです…」
「何で」
「な、何でって…恥ずかしいからですよ!しかも重たいと思うんです!」
「ああ、確かに重いな」



黛さん、オブラートに包んで欲しかったな!否定してくれとは言わないからさ。ズキズキと痛みを訴える足首へと視線をやりながら落ち込んだのは言うまでもない。段々と痛みを増してくるから運んでもらえるのは有難いけど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいんだ。俯き加減で落ち込む私を黛さんが呼ぶ。恐る恐る顔をあげると微かに黛さんが笑っていた。



「そんなに重くはないから落ち込むな面倒だ」
「え…あ、はい…」
「それと俺の首に腕を回しておけ。落とされたくないだろ」
「嫌ですけど…ううっ、なんかそれって恥ずかしいと言うか…」



あれ、可笑しいな。黛さんが笑ってる。もしかしてからかわれてるのか、私。疑心の目を向けていれば、本当に黛さんが落とそうとするから慌てて首へと腕を回す。そうすれば満足そうに、それで良いと言うのだから質が悪い。早く早く体育館につかないかな。このままだと心臓がどうにかなっちゃいそうだ。



***


木吉で壁ドン



「あ、あの……木吉、さん?」
「ん?どうかしたのか?」
「どうして私は壁に追いやられてるんでしょうか……」



はい、所謂壁ドンというやつですね。顔の左右に腕があり、それによって脱出は不可能。どうしてこうなったのか私もよく分からない。しかも木吉さんも何でだろうなって笑ってるし。……え、自分でやっといてそれですか!?木吉さんって本当に良く分からないよ…多分、良い人なんだろうけど。



「ひ、ひとまず…腕を退かして貰っても?」
「んー、無理だ!」
「何でですか!?」
「分からん!」



木吉さん!貴方は何がしたいんですか!?段々と恥ずかしさなんかより脱力感を感じてきたのは言うまでもない。そもそも何でこうなったんだっけ?化物がいたから空き教室に隠れようってなって…。そんな事を考えていると木吉さんが小さく声を漏らした。もしかしたら理由が分かったのだろうか。



「分かったぞ」
「な、何ですか?」
「なまえが可愛いからだ」
「え、えええええ!?」



何で恥ずかしげもなく言えるんだこの人!しかもそんな見られると…。赤くなった顔を隠すように俯けば、頬に木吉さんの大きな手が添えられた。



***


劉で背伸び



「劉さん、劉さん」
「何アルか」
「一番上の怪談小説をとってもらっても良いですか?届かなくて」
「これアルか?」
「そうです。ありが……えっと劉さん?更に上にあげてどうするんですか!?届かないです!」
「頑張るアル」



凄く意地悪そうに笑いながら劉さんは腕を上へとあげてる。ただでさえ届かない本が更に届かなくなってしまう。しかも劉さんが普通に立ってても高いのに腕をあげられるともうダメだ。普通に背伸びをしても届かない。まあ考えれば分かるんですけどね!



「しゃがんで下さい!」
「仕方ないアルな…」
「仕方なくないです!…うー、あと少し…!」



頑張って爪先立ちをし、ギリギリまで腕を伸ばす。この際は劉さんの制服を掴んで倒れないようにしている事は気にしない。皺になっても自業自得ですからね!指先に本の表紙が触れる。だけど、さっと上へとあげられてしまう。もう劉さんの意地悪!それでも諦めずに背伸びをしていれば漸くと本を掴むことが出来た。



「取れた!」
「もう中腰で腰が痛いアル。…休ませろアル」
「うわっちょ!寄っ掛からないで下さい!潰れます!」
「人間そんな簡単に潰れないアル」



向かい合う形だったから劉さんが寄っ掛かってくると抱き締められているみたいだ。しかも背中に腕まで回されてるし。こんな近いと改めて劉さんの背の高さが実感させられる。それにしても何時までこの体勢でいれば良いのやら。恥ずかしさを誤魔化すために劉さんのブレザーを少しだけ掴んでみた。



***


氷室で添い寝



流石に眠くなってきた。昼夜も分からない校舎内だけど、やはり疲労は溜まってくるものだ。何人か少しだけ寝てたけど、それでもまだ皆さんは平気そう。まあ運動部の人達って体力はあるもんね。小さく欠伸を噛み殺していると目の前に誰かの足が見えた。それにつられて顔をあげれば、氷室さん。うっ、今の見られたかな…。



「眠いのかな?」
「やっぱ見られてた…。はい、流石にちょっと眠くて」
「少し寝る?」
「い、いえ!皆さんが頑張って起きてるのに私だけ寝るとか…」
「そう?じゃあ俺も寝るから一緒に寝ようか」
「え?」



いま何って言ったこの人。きっと氷室さんみたいな人を天然のタラシって言うんだろうな。凄い親切だし、絶対に他の子達も惚れてそう。そんな人と寝るとか心臓に悪い。何より顔も知らない女の子達が怖い。これ以上の恐怖はいらないです切実に。そう思っていれば、隣へと腰を降ろす氷室さん。本当に寝るのかな。



「ほら、俺の肩に頭あずけて良いよ」
「本当に寝るんですか!?」
「うん。おやすみ」
「お、おやすみなさい…」



半ば無理やり私の体を引き寄せた氷室さんは凄く綺麗な笑みを浮かべていた。結果として頭だけではなく、体全体を預けている状態。こうなったらもう寝るしかない。寝るまで解放されなさそうだし、それにこの体勢で意識があるよりましだ。眠気に身を委ねていると頭を氷室さんが撫でてくれた気がした。



***


宮地で膝だっこ



「…狭い」
「し、仕方ないじゃないですか!こんな狭いところに隠れたの宮地さんですよ」
「何か文句あるか」
「な、ないです…」



化物が現れて咄嗟に隠れたのは教卓の下。小声で話しながらも、やはり狭いものは狭かった。でも、なかなか立ち去ってくれないから出るにも出れない。このまま隠れてたら宮地さんが狭さでキレそう。そしたら轢かれるのかな私。微かに遠い目をしていると頭を小突かれた。それで宮地さんへと視線を向ければ、無言で膝の上を指される。



「? 何ですか?」
「狭いから膝の上に乗れ。この際はお前の体重は気にしないでやるよ」
「…膝の上にとか……しかも酷いです…」
「うるせえ早くしろ蹴るぞ」
「は、はい!」



蹴られるのは嫌だ。羞恥心をゴミ箱へと放り込み、恐る恐る宮地さんの膝の上に座る。これで確かに狭さは感じなくなった。その代わりに凄く心臓に悪いけど。不意に宮地さんの腕がお腹へと回される。急に密着度が増して硬直していると背後から小さく笑い声が聞こえてきた。お前、耳真っ赤。その言葉に今すぐ逃げ出したくなった。





あとがき

リクエストありがとうございました、山田ポテト様。あまり書いたことがないキャラとの絡みだったのですが如何でしょうか。ちょっとだけ書いてて恥ずかしくなりました、はい。

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