plan | ナノ
小さくなりました



緊急事態が発生しました。どうして皆さん、そんなに大きいのでしょう。床に座り込んだまま遥か上を見上げれば、巨人のように大きい皆さんの顔が見える。誰かが歩けば、ぐらりと体が揺れてしまう。だから、動かないまま床へと座り込んでいた。何がどうなったのか分からない。それが率直な意見である。



「あら、なまえちゃんは?」
「あ?…何処行きやがったんだ?」
「黒子の影の薄さが移ったんだったりして!」



洛山の方々の足元で、その話を聞いて漸くと我に返った。事態の把握は出来てないけど、取り敢えず気が付いて貰わないと。普通に声を掛けただけでは気付いてもらえないだろうと出来るだけ大声を出してみる。それでも三人の会話が続いているせいか、声は届いていないようだ。ああ、大変なことに。このまま気付いてもらえないで置き去りにされると、この体だと体育館に戻ることは厳しいだろう。何とか気付いて貰わないと本当に大変なことになる。息切れが起きるぐらいに声を出してもダメなようなので実渕さんの足を失礼ながらも叩かせてもらう。間違っても根武谷さんなんて叩けない怖すぎる。違和感を感じたらしい実渕さんが小さく首を傾げ始める。よしっそのまま下を向いて下さい!



「さっきから何か……なまえちゃん!?どうしたの、その姿!?」
「いや、私にもちょっと……」
「ちっちゃ!小人になってる!」
「間違って踏みそうじゃねえかよ」



ひっ、根武谷さんが最も私が恐れていることを!さっきから皆さんが動く度に地面が揺れるし何時踏まれるか気が気でなかったんですからね!踏まれた瞬間を考えると嫌な汗が背を伝っていく。硬直した私を見た実渕さんが無言で根武谷さんをどつき、私を掌へと乗せてくれる。本当にありがとうございます。そして、キラキラした視線を送ってくる葉山さんが何となく怖い。



「ポケットに入りそー。ねえねえ、レオ姉!入れてみようよ!」
「ダーメ」
「えー、ケチ」



ポケットに入れようなんてしないでください!普段なら別に何も気に止めるような物ではないが、この体ではポケットなんて未知の空間と言っても過言ではない。震えながら実渕さんの掌に乗せてもらって体育館へと戻った。そして問答無用で報告のために赤司くん前へと差し出される。おっきい怖い逃げ出したい。そう思っても隠れる場所なんてないのだけど。



「ふむ…原因に心当たりは?」
「な、ないです。歩いてたら急に周りが大きくなったと申しますか……」
「何か変なものでも食ったんじゃねーの?」
「青峰くんじゃないんだからしません!」
「あ?」
「ひっ!」
「そんな事よりマジちっさ。虫じゃん。踏んだらプチっていいそー」
「こら、敦。みょうじさんが怯えてるよ」



そりゃ怯えますよ。青峰くんの睨みからの紫原くんの発言は大変なダメージがありましたし。しかも洒落に聞こえなかった。掌サイズのはずなのに虫なんて言えるぐらい紫原くんは大きいわけだから本当に踏まれそうで怖い。カタカタと震える私の顔を覗き込んできたのは高尾くんだった。



「親指姫みてぇ」
「姫ってタイプじゃねえだろ。どちらかと言うと一寸法師」
「そんなのどうでも良いです。早く元に戻る方法を探さないと……」
「チビが更にチビになったままじゃ困るよなー」



ニヤニヤ笑う福井さんを頑張って睨みつつ、チビと言う言葉に胸を押さえた。うん、何度言われても慣れなくて胸に刺さる。小さくないです皆さんが大きいんです!そうだ、私は平均だ!開き直っていれば、ひょいっと体が摘ままれる。下を見てしまい、その高さに目眩がするとともに小さく悲鳴が漏れた。高いところはダメ絶対。



「元に戻るまで下手に動かない方が良い。敦が言っていたように踏みそうだからね」
「は、はい」
「と言うことで面倒は頼んだよ、真太郎。彼女はお前の学校だからな」
「……仕方がないのだよ」



すっごい嫌そうな顔だね緑間くん!赤司くんから緑間くんの掌へと移され、そこに大人しく座ることにした。そしたら彼のラッキーアイテムだと言うクマのぬいぐるみが視界に収まる。あれ、私より大きいぞこれ。凄く負けた気分になる。じっと見つめていると何を思ったのか緑間くんはクマのぬいぐるみの膝の部分に私を乗せ、何故か満足そうに頷く。…そして皆さん、何をそんなに笑ってるんですか!





あとがき

リクエストありがとうございました、真紀子様。遅くなって申し訳ないです。掌サイズの夢主からしてみれば、周りは巨人のように大きいんだろうなぁと思いながら書いていました。個人的にクマの上に座らせられて満足です。

←|→


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -