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【誰か】廃校舎に閉じ込められた【助けて下さい】



「あ、繋がった」



電波がなくて何処にも通じないと思っていたけれど、それがオカ坂に繋がった。その感激のあまり、携帯を操作していることを気付かれないようにしていたのに、つい声が漏れてしまったのである。突き刺さる視線。赤司くんが本当に怖くて怖くて仕方がない。隣の高尾くんに助けを乞うように視線を向けたところ、ビビり過ぎだと笑われてしまった。逆に何で平気でいられるのかな…。



「みょうじさん?僕の話を聞かずに遊んでるのかい?」
「ごめんなさいごめんなさい。つい出来心でオカ坂に繋がるかと思ったら、電波がないのに繋がったから嬉しかったんです。本当にごめんなさい。もうしません許して下さい」
「ぶほぉ!なまえさん、どんだけ必死!?」
「オカ坂に繋がった…?うおっマジだ!」
「流石オカ坂やなぁ。まあ、オカ坂のくせに繋げへんかったら無意味やもんな」
「そのオカ坂と言うのは?」



黒子くんの問いに一番最初に繋げた奴が説明と意味の分からないルールによって、その説明を私がすることになった。知っている人も知らない人もいるから、たまに足りない部分を補ってもらって説明を終えてしまう。赤司くんは口を挟むことなく、それを黙って聞いていた。どうやら、おとがめはないみたいで良かった…。もうさっきは死ぬかと本気で…。割りと泣きそうになっていると考えが纏まったらしい赤司くんが口を開いた。



「みょうじさん、そこにスレッドを立ててくれないか?何かしら案が出るかもしれない」
「え…?あのっ、私がですか…?」
「一番最初に繋げたのは君のはずだが?」
「で、でも…私は幼馴染みの横で見てるだけだったので、その………あ、はい分かりました…」
「みょうじ、よわっ!!」



ううっ、福井さんのバカ…。高尾くんなんて笑い転げてるし…。半泣きでスレッドを立てる私の頭を実渕さんが撫でてくれたのが唯一もの救いだ。学校ごとに再び分かれながら、スレッドがちゃんと立ってるのか分からなくて、その確認を書き込むと何ヵ所から小さく笑い声が聞こえてきた。…皆さん、見てるぐらいなら手伝って下さいよ!何だか無性にモヤモヤしたから高尾くんと宮地さんの間に押し入って、オカ坂に詳しい二人に手伝って貰うことにした。



「と言うか、この5と6はアウトだろ。みょうじさん気を付けてー」
「ふはっ、あんなちんちくりんに興味示す奴いんのかよ」



何か花宮さんにボロクソ言われた…。取り敢えず、これで話を聞いてくれるなら気にしない気にしないはずだよ。書き込みを始めたところで宮地さんが何事かを考え始めた。どうしたのかと様子を伺ったところで宮地さんは葉山さんを此方へと呼んだ。何やら釣りと思われているので証拠写真を貼るから写真を寄越せと。………え、ちょっ、葉山さん?そんなの撮ってたんですか、あなた。信じられないとばかりの顔をしていれば、満面の笑みで葉山さんは携帯の画面を此方へと向ける。



「はい、これがそう!メール使えないから赤外線!」
「お願いですから、向けないで下さい…と言うか、そんなのをフォルダに入れたくないです……!」



泣き言を言えば、宮地さんに笑顔で携帯を引ったくられた。止める暇もなく例の写真が保存されてしまう。これは責任を持って宮地さんか葉山さんに消してもらわないと。だって、見れないもの…!泣きそうになりながら写真をスレへと貼れば、またもや何ヵ所から声が聞こえてくる。だから見てるぐらいなら手伝って下さいっ!恨みがましいとばかりの目を向ければ、暢気に頑張れと手が振られるだけ。スレ民からスペックなどを求められたところで意識を切り替えて書きためを始める。それをわざわざ見に来た福井さんが、可笑しいと声をあげた。



「一番の特徴であるチビが抜けてんぞ」
「はい?いらなくないですか、それ。と言うかチビ言わないで下さい!」
「いや、重要だろ。みょうじがチビだと思う奴、挙手!!」
「ええ!?しかも、殆どの人があげてるですか!?」



そりゃあなた方から見れば、私は小さいですけど!うーうー、抵抗の声を上げながら小さいと追記する。それから納得がいかないなか、後回しにしていたコテハンを決めることにした。コテハン……何にすれば良いのかな?適当に?



「……赤さま怖い」
「もしかして、それコテハン!?ほんとどんだけ怖がってんの!?」
「だ、だって…!」
「みょうじ先輩、止めといた方が懸命なのでは?あとで赤司が見ないとも限らないのだよ」



緑間くんの言葉に何も言い返せなかった。そうだ、見ないとも限らないんだ。ありがとう緑間くん!本当にありがとう!感謝しながらスレに投下。またもや吹き出す声が聞こえたけど、絶対にこれは私のスペックの箇所に書かれた小さいにだ。大坪さんが宥めてくれたけど、かなり落ち込みながら流れていくスレを見つめる。古い校舎のために脱出の案として鍵を壊すが出された。それに見ていた何人が反応を示す。



「もうやってもうた案やなぁ」
「やったんですか?」
「せや。この青峰筆頭にキレたんかビビったんか知らへんけどイスで窓おもっきしな」
「ビビってねぇよ!…結局、イス壊れた上に化け物に追いかけ回されて終わりだし、どうなってんだよ此処」
「ちなみに宮地さんは、ぶちギレて参加な」



へ、へえー。そんな言葉を返し、そろりと高尾くんの側へと寄った。宮地さんならやりかねないから怖い。その考えに気が付いたのか、私の頭を思い切り掴んだ宮地さん。当然、涙目で許しを全力で乞いましたよ、はい。



「そんなイジメてやるなよ、宮地」
「木村先輩…いい人…!」
「けど、宮地にパイナップルとか軽トラを提供しようとしてるよな」
「武器提供…」
「大坪、お前な……」



いい人だと思った木村さんが、まさかの伏兵。同じ学校の人のスペックを求められたので迷うことなく、それを書き入れた。高尾くん監修の元だったので何やらよく分からないことを書いたところでスレに乗せようとしたところで宮地さんに頭を叩かれた。



「オレのスペック何だよ、これ」
「えー、本当のことじゃないすっか」
「お前が指示したところじゃねーよ。怖いって何だ、怖いって」
「すみませんごめんなさい訂正します…!」



理不尽な理由で頭を叩かれたので、削除しないでそのまま訂正文だけを書き込んで投下。すぐに睨まれたけど、隣にいた高尾くんの背後へと隠れた。そしてスレ内で宮地さんへの批判が入ったところで今まで見てるだけだった宮地さんが介入。そして、その恐ろしさにスレ民の即謝罪がはいる。高尾くんはツボに入ったらしく爆笑を始め、宮地さんに殴られたあげく、スレ内に引っ張り出された。……うん、やっぱ逆らったらいけないな。



「さて、そろそろオレたちが探索に出る番だな」
「そうだな。…みょうじさんは残るか?」
「……いえ、行きます。行かせて下さい」
「まっ、行かないっつても引き摺って行ったけどな」
「宮地さんマジ鬼〜」
「また殴られるぞ、高尾。そもそもオレはツンデレではない。帰ってきたら訂正をしろ」



気合いを入れ、体育館を後にする。ちゃんと何か報告できるように手掛かりを見付けてこないと。





あとがき

リクエストありがとうございました、なるみ様。特にシチュなどのご指定がなかったのでやりたい放題させて頂きました。すみません、完全にやりたかっただけです!しかも無駄に長くなってしまって申し訳ないです。ですが、少しでも楽しんで頂けたなら良いかと。

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