幼馴染み。
それだけで今までやってこれた。
育て上げた才能。
その価値でこれからもやっていける。
そう、思っていた、
だけど、もう。
「なえぎ、もう無理だよ」
「そんなことない!希望はあるんだよ、 やしろ!! 」
白いと思っていた腕が、脚が、目が、私の全てが黒く濁って見える。
苗木を掴む腕が、苗木のもとへ進む脚が、苗木を見つめる目が、苗木を思う私の全てが。
ぐるぐると回って曲がって捻れてなにがなんだかわからなくなっちゃった。
「 やしろ、大丈夫。まだなんとかなるから… 」
なんだっけ。
なんだったっけ。
この感情。
あたたかい、染み渡る、やさしい感じ。
だと、思っていたけど。
なんでかな。
なんでだろう。
笑えるよ。
焦り、悩み、不安。
その想いが溢れだして止まらない。
あたたかい、なんて欠片もない。
染み渡るのはマイナスばかり。
やさしさなんてもうないし。
つらい気持ちばかりなら、こんな想いいらないんじゃないか。
目の前にいる私の肩を掴む少年を見ると苦しい。
くるしいから、いらない。
欲しいから、いらない。
いらない?
「ふ、はは」
「 やしろ…? 」
「大丈夫、大丈夫だよ」
目の奥に捕えた光は潰えたのか。