3 | ナノ




痛みから目覚めて





今日は夫婦の日だってさ。二月二日で夫婦らしいけどくだらないって笑うかな。それともアンタは泣くのかな。それとも私から全部全部奪ったものなんかって怒るのかな。今となっては知ることさえ叶わないけれど。


捨てられたと思ったこともあったし憎んだ日も恨んだ日もそれでも恋しく思った日もやっぱりあったわけでここに来るまで凄い時間がかかっちまったな。


俺さ、結婚とかは出来ないんだけど一緒に幸せになりたい奴が出来たんだ。そいつのおかげで俺は強くなれたんだ。例えば人の上に立つような強さじゃなくて一人で生きていく強さでもなくて弱さを認める強さだったりさ。そいつに会ってちゃんと人に触れ合えてくすんで淀んだぎすぎすした息の詰るような世界がじわじわ晴れ渡って思い切り息を吸ってようやく笑えたようなそんな気さえしてんだ。ずっと人の上に立つような強さばっかり追い求めてきた気がするけど、ごめんな、俺の欲しい強さはそうじゃなかった。母さんの期待に応えれなくて情けないって思った日もあったけどそいつが居るから幸せなんだ。そいつってのはさ、知ってるだろ、前話した


「不動、風邪を引くぞ」

「…サンキュ、源田」

源田が微笑んでふわりと俺に上着をかけてそれから隣にしゃがみ込んで手を合わせた。俺はまたそっと目を閉じる。






(それでもあなたはともしびでした)




あとがき

夫婦の日と言うことで連載の方ではなくこちらを上げさせていただきました。甘くしようかとも思ったんだけど・・・あきおはなんだかんだでお母さんのこと好きだといいなあ。
切なくて報われないくらいがいいですね・・・
タイトル:brooch様
20110202




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -