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一寸先の君と世界





朝起きて便所行って顔洗って食堂の隅で飯。
朝からトマトとか嫌がらせか。
ざわざわしてきて好き勝手あいつらも食いだすけどその頃には俺は終わり。席立って皿下げて食堂を出る。とりあえず歯磨きに洗面所。で、

「不動、はよ!」

ほらきた

「・・・はよ。」

「んだよテンション低いなー。ま、そういうとこも好きだぜ!」

「言ってろ」

鏡越しに後ろに居る綱海と目が合ってこんなやり取りがここんとこずっと続く。相変わらずサーフィン馬鹿で海パンで帰ってくる始末だ。

(ガタイいーよな、俺も背ぇ高くなりてー)
ぼうっと鏡越しに綱海を見てそんなことを考えながら歯を磨いているといきなりニヤニヤと笑いだした。

「ん?なんだ、俺に見とれてたかー?」

「んなわけねーだろ」

まあいつもこんなやり取りしてるもんだからつまりはいきなり好きだとかそううう冗談言われてもビビんねぇし、つーか綱海ってこんな奴だろ。
んでここらで腹減ったとかで言いだし・・・

「・・・は」

「好きだ」

鏡にはもちろん俺が写ってて歯ブラシ片手に、え・・・は?なんで綱海が俺に抱き着いてんのつーか今こいつ

「好きだ。冗談じゃねぇんだ。俺、不動が好きなんだ。」

背が高いからか俺の両肩から下がってる綱海の両の手はへそあたりで握られて首には顔が埋まってて正直髪がくすぐったい、あ、俺超間抜け顔。

「不動?」

いつもの煩い声じゃなくて伺うような、間違いじゃなきゃ熱を孕んだような、

「・・・なっ、何いきなり言い出すんだテメ、ばっばーか!」

埋められてた顔がぱっと上がってやっぱり鏡越しに目が合って思いの外近すぎて、綱海が、すげぇ、男前だったから、思わず焦って回された腕を払おうとした。

「・・・ははっ、顔真っ赤」

「うっせーよ!誰のせいだばーか!」

「俺」

「・・・」

「不動」

綱海が腕を解いて無理矢理俺を反転させる。
くっそ、でっけぇな

「あのよ、幸せになろーぜ!」

「・・・」

綱海越しに時計が見えていつもならそれはたぶん綱海が飯食ってて俺は部屋でスパイク磨いてる時間で。


綱海が真っすぐ見てきて居心地が悪いのと同時になんとなく自分でも顔がほてるのがわかった。


「・・・幸せにしろよな」


綱海が目を見開いてからめちゃくちゃ嬉しそうに笑って抱き着いてきたから、まあ、いつもどおりじゃないっつーのも悪くねーな。









あとがき

実は不動も好きなんです綱海を、自覚してないだけで。
でないとほら誰がいつどうしてるかなんてわからないじゃないですか?という分かりにくい文でしたすんませんえへ。
20110119




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