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孔雀







綱海は派手なヤロ−で、いけ好かない奴だった。髪の毛はピンクで常にゴーグルつけてて、っていうか日本人だろ、落ち着け。底抜けに明るくて男女共に人気があって(ちゃらちゃらしてんのに)顔に似合わず優しいってのもあれか、ギャップで売ってんのかコノヤロ−。

俺はいらいらしていた。兎に角イライライライラ・・・。
ああほら、後輩だかなんだか知らねーが女に話しかけられたぐらいで
デレデレヘラヘラしやがって。てめぇみたいなやつ好きにならないっつ−の。くっそ、ほんと悔しいな。

なんで俺は綱海のこと好きになっちゃったんだよ。つーかなんで付き合ってんだよ、ほんと自分が意味不明。
ちゃらちゃらしてんのになんであんな爽やかに見えんだ、まじわけわかんねぇ。どういうことだよ。惚れた弱みとかそんなの知らねー、かっこよすぎだ、綱海。でもさぁ、付き合ってんのはその女じゃなくて俺だろ。ここで俺もモテたりしたら妬かせられんのになぁ。・・・とか・・・、柄でもねぇ・・・気持ち悪ぃ。

あ、やっと女がどっか行った。綱海がこっち向いて手を振ってくる。思わず笑って手を上げかけて思いとどまった。何やってるんだ俺。これくらいで俺の日々の積み重ねのイライラが収まると思ったら大間違いだぜ。ムカツク奴だなァ。

頬杖をついて不機嫌な顔をしていたら、綱海が首をひねってこちらにやってきた。その顔は少し笑っていたから、分かった。ど−せ、分かりやすいですよ、俺なんて。「嫉妬してたのか?可愛いなー」なんていいそうな顔だ。(ある意味決まり文句な、これ)話すもんか。やっぱりむかつく。


「不動、」
「不動!!」

綱海が呼んだ俺の名前をさえぎるように前にやってきたのは源田だった。幼馴染で超いい奴。たまに親みたいに口うるせぇけど。

「チケット取れたぞ!!」

でかい図体しては嬉しそうに笑うそいつは俺の前にチケットをぴっと差し出した。なんとそこには俺が大好きなバンドのチケット。中々取れないってことで有名な奴なのにまじかよ・・・。

「うわっすっげぇ!!良く取れたじゃん、行きてー、すっげぇ行きてー!」

興奮してしまってチケットから源田に視線を戻してばしばしとその肩を叩いた。ちらりと視界の端に、いっつもヘラヘラしてる綱海が映った。
ヘラヘラしてなかった。今まで見たことがない、驚きと、少しの動揺と、怒りが混じっていた顔だった。背筋がぞくりとして自分の表情が強張ったのが分かった。綱海と目が合う。俺はぺろりと舌を出してから堪えきれずに微かに口角があげた。初めて見たあいつの嫉妬した顔がちょっと嬉しいのは秘密にしておこう。




(ざまあみろパヴリーン)




あとがき

不動が乙女ェ・・・
サブタイトル:トリステーザ、死す様

20110103



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