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ミイラ取り





なぜだかやけに盛り上がってる女の人達に声をかけられ談笑し去っていく姿に手を振っていると入れ代わりで不動がやってきた。

「よっ、不動が海なんて珍しいな!」

片手をあげるとどこか不機嫌そうに鼻をならし短く「飯、マネージャー達が呼んでる」と言った。

「もうそんな時間か?」

「お前が女ひっかけてべらべら喋ってたからわかんなかったんだろ」

やはり刺のあるように言われて思わず眉を寄せる。不機嫌にさせるような言い方でもなかっただろうし。

「ひっかけてねーよ、向こうから話しかけてきたって」

「どーだか。女好きの綱海クン」

はっ、と嘲るように笑って皮肉に口角をあげたまま茶化すように言われた。女好きか。わかってねーなあ。

「それ本気で言ってんのか?」

「は?あ、おい!」

やや距離のある位置に突っ立ってる不動の腕をつかんで引き寄せ反対の手で顎をすくう。さっきの人達より断然綺麗だ。その両眼が驚きで揺れて俺はしてやったりな気分。

「俺が好きなのは」

すくった顎をやや上げて目線を合わせる。ただただ驚きしか現れていなかった表情はだんだんと赤くなっていき視線が泳ぎ始めた。乾いた笑い声がしたかと思うといつも以上に早口な不動が慌てたように言う。

「お、おい、どーしたよ綱海クン。サーフィンのしすぎで頭が馬鹿になっちまったんじゃねえの!」

「そんなことねーよ」

話してる時も、動く唇をじっと見てたらなんだか我慢できなくなって顔を一気に近づけて唇を重ねた。つかんでいた不動の腕が大袈裟に揺れる。

「ばばば、ばーか!」

思い切り突き飛ばされてよろけたけど、まぁ不動背低いし倒れたりはしないわけで。すっげー真っ赤になって

「はは、ちょー可愛い」

「うっせ、黙れ変態!」

「でも迫っても逃げなかっただろー」

「まさか、する、とは思わねえよ!」

力いっぱい睨みつけられても顔がそんなに赤いんじゃあなあ。まだぶつぶつ小言を言う不動を抱きしめてみたら、ぎゃーと叫ばれた。色気もへったくれもねー・・・。ま、いいけど。

「不動ー俺が好きなのは女じゃなくてお前なんだよな!」

「・・・趣味わりーよ」

自分で言うのもあれだけどと付け足して膨れたように顔は赤いまま黙りこくってしまった。

「そんなことねえよ。つか抵抗しないのか?」

「してほしいのかよ・・・」

短く首を振ると呆れたように眉を八の字に下げて笑われた。・・・これはやばい。なんか腰にくる。しかも自然と上目遣いなってんしこいつ無自覚っぽい。急に顔が熱くなって悶々としていると不動が片眉をあげた。

「急に黙って気持ち悪ぃーな」

それでも俺は何しゃべって言いか急にわかんなくなって、とりあえず困った。どうすっかな・・・不動は返事言いそうにないし。

「ま・・・俺も好きだし、いーけどよ」

「え」

素っ頓狂な声が出て軽く抱きしめたままの不動の顔を見たら「みんなよ」と赤い顔で一蹴されてしまった。・・・。

「不動好きだ!」

「わ、ちょ待てって!」

めちゃくちゃ嬉しくて強く抱きしめたら腕の中でじたばた不動がもがいた。

「言っとくけど、ノリだぜノリ、とか言ったらぶっ飛ばすからな」

「言わねーぜってー言わねー」

ぎゅうぎゅうと抱きしめると今度こそ観念したように大人しくなった。









(もー、あの二人いつになったら帰ってくるのかしら)




あとがき

不動が・・・上手くかけません
二人にらぶらぶいちゃいちゃして欲しいだけなんだけどNE☆
20101230



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