3 | ナノ
レゾンデトール
「起きた!」
きいん、まさにそんな感じで声が耳を貫いた。顔をしかめて開いたばかりの目を超えの方向へ向ける。数回瞬きをすると視界がやっとはっきりした。ここ、どこだ?
「おーい不動、わかるかー?」
「・・・煩ぇ・・・」
頭に大きな声が響いてこめかみを軽くさすった。どうやら俺の部屋、ベッドの上、ベッド脇には綱海。つかなんで綱海?上体を起こして首を左右にひねる。外は薄暗くて夕方だと分かるがどうしてこんな時間から俺寝てるんだよ・・・。そこで自分がユニフォームを着てることに気づいて暫く思考が止まる。
「お前頑張ってたからなー疲れたまってたんじゃね?あの魔界軍団と戦ってこっち帰ってくる途中ぶっ倒れてよー」
ああ、そうだった。あの胸糞悪ぃ奴らと戦って帰ってる途中で意識ぶっ飛んだんだった。だっせー・・・。ここまで運んでくれたのは綱海ってことでよさそうだな。
「鬼道たちはゆっくり休ませてやれつってたんだけど心配でよー。どこも痛くねぇか?」
「おー・・・まあ若干腹とか痛ぇな・・・もろ喰らったし」
「特に俺らに容赦なかったもんな!」
あまりにも楽しそうにそう言うからアホらしくなって思わず声を上げて笑う。綱海も笑って思い切り俺の背中を叩いた。思わず声が漏れる。
「いってーよ!」
「はは、お前凄かったぞー!さすが司令塔っつーかさ。俺らあんま試合中ボール回しあったりしねぇけど今日は楽しかった」
相変わらず笑ったまま機嫌よく喋る。「俺も楽しかった」口角を上げて笑って言う。
掛け布団を剥いでベッドから出ると綱海が俺を見ながら立ち上がった。
「やっぱお前サッカーうまいよなあ」
綱海が立ち上がった俺の肩に腕を回しながら感心したように呟く。いつもみたいに当たり前だろって皮肉っぽく言ってやろうと思ったけどなんか心配して居てくれたみてーだし、飯も食ってないみたいだしな、空気は読める。普段は読まねえだけで。
「お前も上手いぜ?」
予想外だったのか驚いたように目を大きく開いた後益々嬉しそうに歯を見せ笑いながら歩き出す。肩を組んでるから必然的に俺も歩き出す。
「いつか必殺技できたりしてな!」
「想像つかねー」
「ペンギンウェーブとか!」
「わけわかんねーよ」
突飛な案に可笑しくて笑っていると肩に回っていた手が俺の頭をぽんぽんと叩いた。
「おつかれさん」
兄貴みたいな仕草になんだか急に気恥ずかしくなって適当に返事をした。
夕飯のいいにおいがする。
あとがき
例のちょい悪組み活躍後
兄貴なにーにイイネ!この二人はくだらんことで笑ってればいい^^
20101229
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