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捕食事情






「源田ぁーバナナ食いてぇ」

「…」

「源田ぁー」

返事はなくてイライラする。寝そべったまま振り返ると源田はじっと俺を見ていて予想外だったからうろたえた。


「…無視すんなよ」

「不動、いい加減掃除をしろ」

「…はいはい」

お前は母親か。あーあ。せっかく人ん家上げてやってこうやってベッドでダラダラしてんのにあんのヘタレはちっとも手出してこねーし付き合ってんならさあ、こう…なあ。

ため息をついてベッドから下りると散らかったままの雑誌を踏んでしまってかかとから滑った。やべ、頭打つ。


「おわ」

「…はあ、ほら言っただろ」

反射的に目をきつく閉じたけど痛くなくて…おお、やるじゃん源田。どうやら源田に支えられて間一髪だったらしい。床が近い。髪の毛が俺の顔にかかってくすぐったい。こいつ髪切らねーのかなぁ・・・ま、かっこいいからいーけど。

「さんきゅ」

「ん、いーから片付け、ちょっ…」

「お礼ー、なんてな」

覆いかぶさるよいにして支えてくれてた源田の首に腕を回しその唇に軽くキスしてやった。うわー真っ赤になってやんの。だっせー。
そうしたら真っ赤な顔の源田が何度か口をあけたりしめたり何か言いたげな顔で急に怒ったような顔になってそのまま床に倒された。俺の腕は源田の首に回ったまんま。

「げん・・・」

噛み付くようにキスをされて思わずたじろいだ。ええ、おい、いきなりどうしたよ。
何度も執拗にむさぼられる。気持ちよくて目を閉じる。俺はこのキスが好きだ。
口を開くと薄く酸素が入ってきたけれどそれはすぐに源田の舌でふさがれた。器用に絡みとられて僅かな空気は源田の匂いをまとっていて胸が一杯になるような。


「っふ・・・ん・・・は・・・」

そこで唇が離れて息が零れた。肩がゆれる。源田の熱っぽい視線は瞼を閉じて開いた時にはいつもの視線に戻っていた。顔は赤いまんまだけど。優しく笑って瞼に唇を落とされた。

「我慢してるこっちの身にもなれ」

ぐいと抱き起こされて視線が交わる。ぐしゃりと髪を撫でられた。はぁ?眉をひそめて首を傾げると照れたように頭を掻いた後形のいい唇が動いた。

「・・・散らかってる部屋でしたら不動が汚れるだろ」

だからほら、片付けよう。源田が足元に散らばった雑誌を拾って端を揃える。
ああもうなんでそんなかっこいいんだよ馬鹿。めちゃくちゃ余裕の顔が悔しかったからまた不意打ちでキスしてやろうかな。まねるように雑誌を拾い上げて何食わぬ顔で源田に近づいた。










(いろいろとありまして)




あとがき

源田は野獣で紳士です。
不動かわいい。

20101229



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