アレン×女(愛架)





「では、新しい本部の設立にかんぱーい!!」

コムイさんのその言葉でみんなのグラスがガチャガチャと音を上げる。今日は本部を移動させた記念に栄養会をするらしい。一人ひとりの顔を見ると、そこにはしかめっ面をしている人はいない。いつも無愛想な神田くんを覗いて。でも隣のひととお話してるからおこってはないんだよね。
「愛架、僕たちも乾杯しましょう」
後ろから聞きなれた声が聞こえて心臓が跳ねる。
「あ、うん。かんぱーい」
その声は、隣の席にいるアレンの声だった。
ーずっと前からアレンに好意を抱いているー。
そんな意識をし始めたひからアレンにちゃんとした態度でせっせなくなってしまった。
栄養会が始まる直前に任務から帰って来たので、座れる席がほとんど決まっていた。アレンの隣が空いているのに気づきはしていたが、隣に座れるような勇気はない。ラビにムリやり隣にさせらせたようなものだった。
この距離だと肘が当たってしまう。ちらと横にいるアレンを見ると、取り皿には大量の食べ物が乗っていた。
あたしのことなんてー。最近はそんなネガティブな思考ばかりが巡っている。

「愛架はなにか食べなくていいんですか?」
当の本人に急に聞かれ、脈拍があがる。
「あ、うん!ありがとうね」
そっけなく返してしまった。
なんで普通に接することが出来ないんだろう。
もう片方の隣のラビを見ると、苦笑いしていた。
「そんなこともあるさ。」そういって慰めるように頭を撫でられた。ラビだったらそんなことないのに…。改めて自分がいやになる。あたしはやけになって飲み物をぐい飲みした。喉を通るその冷たさと、焼けるような熱さに気持ちよくて目をつむる。(甘くて美味しい…)


気が付くと5、6杯おかわりしていた。
なんかクラクラするし、頭がボーッとして体が熱いー。少し風にあたって涼みたいなぁ…そう思って席を立つ。
「あれ?愛架どこにいくさ。」
「ん〜…??そとに涼みに〜」
足を動かすが地面が揺れたようにふらつく。
「おっと、危ないさ〜!もしかして愛架お酒飲んじゃったさ?」
ラビがフラついた体を支えてくれた。あたしの肩をしっかり抱き、ラビの胸のなかにおさまってしまった。うとうとして目をつむる。
「しゃーねーさ。部屋に運ぶか。」
「僕が運びます。」
その時、アレンの声が聞こえた。…気がする。そこからは覚えていない。


「ありゃーそーとーイカってたな。」
消えた二人の席を見つめる。
「あの二人、とっくに両想いなのに気づかないんさ。」

アレン??廊下??どうしてー…
あたしの頭にハテナが浮かぶ。
さっきまでラビに支えられてて、なのにどうして今はアレンにーおひめさま抱っこされてるの…?
見慣れた通路を通っていくと、一つの部屋に連れていかれた。
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