突然




「んっ…」
暗くなった部屋にくぐもった声が響く。目の前いるのは、小さいときから一緒にいる、よく知った顔ー…

オレ、今大輔にキスされてる…!?

唇を離してほしくて、大輔の胸を叩き抵抗するがびくともしない。そうこうしてるうちに、唇を割って舌が入り込んできた。
「んんっ!?…ふぅっ、ん、ふぁ…」
俺のものでないそれは口のなかを荒らしていく。こんな蕩けるようなキスに、なんだかぼうっとしてしまう。キスはもちろん、誰かと恋愛経験もしたことのないオレは初めての感触に堪えるしかなかった。
大輔はオレの口内を十分に濡らし、口を離した。
「ぷはっ…はぁ、は、っ!?」
同時に制服のシャツのボタンを手早く外した。
「や、止めろって!だい!本気で笑えなーー」
しかし大輔はオレの言葉を遮るように胸先に触れた。
「ひゃあっ!?っ、あっ…ぁんっっ」
それをこねるように撫でる。それから強く摘まんだり軽く触ったりを繰り返す。そのたびに体の中心が熱くなる。
「やっ、あ、止めろ…っん、あ!やめっ、ん、っ」
自分の口から甘い声が出る。
何度もなんども止めて、とお願いしているが返事はない。大輔は何考えてるんだ。
「だ、だいっ!ひっく、やめっ、んあ!ひっく、や、止めろってば!!」
気が付けばオレは両腕で顔を覆い泣いていた。
大輔はその姿を見てびっくりしたのか、手を止めた。
「…怖い思いさせてごめん」
大輔にぎゅっとされた。それから、大輔の長い指がオレの目尻にふれた。その手付きは先ほどとは違いオレを落ち着かせるためのものだった。目尻に垂れた涙を拭われ、その仕草に目を閉じる。
怖い大輔からいつもの大輔に変わって安心したのか、しばらくして眠気に襲われた。
それに気付いたのか気付いてないのか、大輔はあぐらをかき、その上にオレをのせた。背中を大輔の手が心地いいリズムで優しく叩く。気が付けば大輔の腕の中で昔の夢を見ていたー。


「お邪魔しました…」
「…おう」
あれから2時間ほどして目が覚めた。寝る前のはだけた制服は起きたときには整えられていた。きっと大輔が直してくれたのだろう。そいつはつい先ほどまでオレを見送ってくれていた。

すぐ近くにある自宅に着き、鍵を開ける。玄関の先は雨のせいなのかいつも以上に暗い。靴を脱ぎ階段を上がって部屋に入った。
あれは本当に現実たったのだろうか。もしかしたら自分の夢ということもあり得る。いや、むしろそっちの方がしっくりくる。
そんなことを考えながら部屋着に着替える。ズボンは着替えたからあとは上を着替える。一つ、二つ、三つー…
「あ…」
四つ目のボタンをはずそうとしたときボタンが互い違いになっていることに気付いた。それが先ほどの行為が現実であったことを教えてくれる。

(あいつとオレ、これからどうなるんだろう)
着替え終わり、ベッドに溺れるように寝転がった。
そんなことを思いながら深い眠りに落ちていった。
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