元親目線











「なんでしょうか、このもちもちした生き物は…」


元就もちの事をあいつの部下に伝えながら歩いていたら、人だかりを見つけた。



















「このような生き物は見たことがございませんな…」

「もちもちしてよく弾みますな。」

元就の部下が廊下の隅に群がってざわざわしてやがる。
どうやら歩いていたらもちのような物を発見したらしい。
まさか元就もちが見つかったのか?
部屋に置いてきた筈なのに。

が―――







「どこか、四国の長曾我部殿に似ておりませぬか。」



咄嗟に物陰に身を隠した。

俺に似てるだぁ?元就もちはどう見ても俺には見えねぇはずだが。

「そうですな、この薄紫色など長曾我部殿のような。」

元就もちは薄緑のはずだぜ?

「この布は眼帯でございましょうか。」

眼帯だぁ?
どうもおかしいと思いながら窺っていると、向こうからまた一人元就の部下が走ってきて、

「おい!!元就様が見つかったよう、だ、ぞ…?」

最後まで言い切れずに固まった。
そして







「長曾我部殿!?」








は?








「長曾我部殿までもちになられてしまったのですか!?」

「本当に長曾我部殿なのか!?」

「先程その長曾我部殿が元就様はもちになられたと伝えてくださったのです!!」

「ご自身までもちになられてしまったのか…」

え?
俺はちゃんとここに…

「大丈夫でございます長曽我部殿、必ずや我々が元に戻す術を見つけ申し上げて差し上げますぞ!!」

「さ、お部屋へ!!」

え?え?









長曾我部殿、長曾我部殿と呼ばれながらもちらしき物体(俺の位置からは確認できなかった)は連れていかれちまった。
誰も居なくなった廊下で一人物陰に隠れたままの俺。

「ちょ、俺…ここに…だって…え?俺がもち…?」







まぁ確かに元就がもちになったっつったのは俺だしな。
そう考えると俺がもちになってもおかしくねぇわけだ。



じゃあ俺は、誰なのか?
考えれば考えるほど自分が「長曾我部 元親」じゃない気がしてきやがった。










「…俺は、誰なんだ…?」

…分からなくなってきた。










あれ…?
どうしてこうなった


あかさたなはまやらわやったねぇ|



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