いつの間にか元就は怒鳴るのをやめていて、振り向けば膝を抱えるように壁に向かって座っていた。
「…元就?」
「…」
拗ねちまったか?
「毛利元就。」
「…」
「もーうーり。」
「…」
「もーとーなーり。」
「…何ぞ。」
「元就。」
「何ぞ。」
「元就。」
「用件を申せ。」
「オクラ。」
「だから何ぞと問うておる…ッ!!」
あ。
「元就…お前やっぱりオク「ち、違っ!!」ラ」





元就は完全に拗ねて…というより機嫌を悪くしちまった。
俺が何を言っても完全無視。
「悪かったって。」
俺は鉢植えを抱えて元就の隣に腰を下ろした。
「…」
「でもさ、やっぱそっくりだよ。」
「…」
まだ言うか、と言わんばかりに睨んでくる。
「お前さ、おてんとさん…日輪大好きだろ。毎日参拝して。」
「当然よ。」
漸く口を開いてくれた。日輪は効果絶大だ。
「オクラもさ、日輪大好きなんだよ。」
「…こやつもか?」
元就がオクラを除きこむ。今は花が咲いていて身はできていない。
「オクラの実って茄子なんかみてぇに下向きにできるんじゃなくて、おてんとさんに向かって上向きにできるんだぜ。」
な、似てるだろ、と笑えば「ふん。」と返ってきた。
そして黙って立ち上がる。
「どした?」
「帰る。見送りは要らぬ。」
「そうか、また来いよ。」
そのまま部屋を出ていく振り返らない背中に声を掛けると、
「…その日輪信者になら会いに来てやってもよい。」
珍しく返事があった。






○月△日 (晴れ)
今日は珍しく元就が四国にやってきた。
この日記がバレそうになったので部屋にあったオクラで誤魔化した。
オクラを見るたび元就を思い出していたのは本当だから嘘じゃねぇ…と思う。
もう油断はしねぇから見られることは無いと思うが、珍しい元就を見た。
あいつと戦うのも楽しいが、こういうのも悪くねぇ。
実ができたら、今度は俺が会いに行ってやろうか。
多分オクラは全部食われるだろうがな。










――――――――――――――――――

最後ほのぼの…だろうか?

え、この時代にオクラあったの?とか元親ストーカーじゃない?とか言っちゃいけなあーあーあー聞こえませんよ。







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