窓辺の君に
「やだっ!」
隣の部屋からサクラの叫び声がした。
すわなにごとか!と、ナルトは慌ててサクラの元へと向かった。
部屋に入ると、こちらに背を向けてペタリと座り込むサクラの後ろ姿。
「ナルト……ごめん」
ナルトがサクラの後ろに膝をつくと同時に、サクラの弱々しい声がした。その両手にはオレンジ色の布が掲げられている。
「サクラちゃん、どうしたの?」
ナルトがサクラの顔を覗き込むと、掲げ持った布ごとサクラがくるりとこちらを向いた。
「やっちゃった……」
そう言ったサクラの手に吊り下げられたオレンジ色の真ん中にはアイロンの形をした穴が開いている。
「たまにね、アイロンかけようと思ったら」
ナルトのシャツこんなんなっちゃった。申し訳なさそうなサクラの顔が、焦げ色に縁取りされたアイロンの形をした窓からナルトを覗いていた。
「ごめんなさい」
何でもそつなくこなすサクラがたまにやらかす失敗が
シュンとしながら謝るその顔が
どうにもこうにも可愛くて
ナルトは小さな窓辺へと、ついと顔を寄せた
柔らかな感触からそっと離れて窓を覗けば
顔を真っ赤にしたサクラがこちらを見ていた
(2012.2.25)
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