Il eclate


 うぅ…

 なんなんだってばよ……


 ナルトは背中の薄皮一枚を引かれているような妙な緊張感に包まれていた。


 ここ数日。同じような緊迫感が背中に張り付く気配を感じている。それは決まって自宅に居る時であり、サクラがいる時だった。

 つい今の今まで心地よい穏やかな空気が流れていたのに、急にピンと張り詰めた空気に変わったのだ。それを背中で感じる。

 自分の後方には間違いなくサクラが居り、ピリリとした気配も恐らくサクラから感じているはずなのだ。


 振り向けない…


 今の会話、行動の中にこんな張り詰めた空気をもたらす「何か」が潜んでいたのだろうか

 考えてみるもナルトには何一つ思いあたる事は浮かんではこなかった

 自分では全く自覚のないままにサクラの気に障る「何か」をしでかしているのだろうか。それに関しては残念ながら「無い」とは言い切れないだけに、どこか後ろめたさにも似た気持ちがよぎる。


 せっかく二人で過ごしているのだから、先程までの穏やかで心地よい空気に包まれていたいと思うのに
 こんなにも穏やかで満たされる時間はサクラとでしか過ごす事ができないのだから


 ナルトはゴクリと唾を飲み込んだ。



 今日こそは。



 意を決したナルトの背後で

 ゆらり

 動く気配を感じた





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