家を出てみれば2
――――○○県○○市で起きた、一家バラバラ殺人事件！原因は恋愛のもつれか、それとも元妻等には憎しみか。
……？
男性が読んでいた雑誌には大きくそう書かれていた。○○県○○市、ここの事だ。男の人が満足したのかその雑誌を元の棚に戻した時、私は好奇心からなのか、はたまた嫌な予感がしたからなのか、お握り等をカゴに入れて持ち、棚に置かれたその雑誌を手に取って、先程のページをペラペラと捲った。一家殺人事件と書かれていたページを見た途端、私の胸はどくんと大きく波を立て、そして唸った。大きく書かれた例の一文の下には目に黒線が入った、父の顔が写っていた。
――何で、お父さんが。
必死に目を凝らし、小さく文字が次々と書かれている下文を読む。内容は勿論、お察しの通り私の家の事件の事だった。バラバラ殺人、と書かれた文章に鼓動がドクドクと気持ち悪く音を立てる。どういう事だろう。父が、父が、お母さん達を殺して、バラバラに？
父がお母さん達を殺した推測が書かれていて、読む度に頭がクラクラとする。お母さんを恨んでいただとか、養育費問題だとか、まるで意味が分からない。
カゴを床に放って、私は雨がザアザアと突飛に振り出した外を走った。自分が好奇心で仕入れた情報に吐き気がして、私は泣きながら走る。苦しくて、辛くて、息が出来なかった。
冷えた雨が、気持ち悪く服に染み込んでいた。
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