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- ナノ -

02 彼の色気の謎。



『氷川さんって性欲あるんですか?』

「...あァ?」


再びクラブにてーー。夜八時、名前は持っていた葡萄ジュースを飲み干すと、平然と氷川に訊いた。氷川は煙草を口から離し、フーと煙を名前に向けて吹きかけた。


『ゴホッ!ちょっまたですか!何回やるんですかそれ!』

「あるに決まってンだろ。悪魔でも俺ァ男だ」

『え...まぁそうですけど。...いや...女の話をしてるのを聞いたことがないなと思いまして...』

「あァ...まあ、興味無ェしな...。女つっても吸血鬼の中だから範囲狭ェしな」

『あぁそうですよね...。えっとでも、こうムラッてくることはないんですか!?』

「......何訊いてんだテメー」


ジロリと氷川に睨まれるも、名前はそれに対してヘラりと笑い返す。氷川の睨みに動じないのはこのクラブ内では名前だけなのだが、本人はそれに気付いていない。名前は仲のいい友人に話しかけるような調子で言う。


『だって気になったんですもん。氷川さんのそういう系の話っていうか、氷川さんのタイプの女性とか!聞いたことないですし、あの、氷川さん。私を男だと思って話してみませんか?』


「はァ?何でお前にーー」と言おうとしたが、名前も所詮は二十歳未満の餓鬼。エロいことを適当に言ってからかうか。氷川は名前の反応見たさの好奇心で目の前にいる名前の頭を撫でながら話し始めた。


「そうだな...やっぱ血が上手ェ奴が良いな...」

『! へぇ、やっぱり味重視ですか?』

「重視っつーかまァ上手ェ方が良いな。後は...髪が綺麗で、肌も白い方が良い。胸はまァそんなこだわらねェが綺麗な形が良いし...」


そう言いながら、名前の頭に乗せていた手をゆっくりと下ろし、髪、首、胸、腰といった順に撫でていく。名前の顔をちらりと見れば、もう既に真っ赤だった。『そ、そうですか...』と震える声で言っている名前にくつくつと俺は心の中で笑いを漏らす。
最後に仕上げと言ったように名前の耳元に口を寄せた。


「......ンな事聞いて...俺の女になりてェのか?」

『...っっ!!』


そう言って笑うと、名前はボン!と前よりも更に顔を真っ赤にした。
ーーああ、やべえ。こいつ超ウケる。
氷川は笑いを漏らしながら、名前の頭を撫でた。


「くくっ、冗談だよ。そんな顔真っ赤にすンな」

『っひ、ひどいですよそんなからかって...!ひ、氷川さんの色気はほんと何処から来てるんですか...!エロすぎですよ...!』

「ンなことねーよ。お前も十分無意識にエロい顔してんだろ」

『へ...?』


氷川は名前の首に左手を回すと、名前の右首筋にキスをした。何も言わないで固まっている名前とあと少しでぶつかるっていうくらいに顔を近付けてーー。


「お前の痛がってる顔と声に興奮してる俺のこと...引く?」

『ッ...!!』


そう言えば一発だ。
そう言った途端、名前はふにゃあと身体の力を抜いて倒れそうになった。ははは、と氷川は名前を見ながら笑う。


「お前、ホントに大丈夫か?沸騰してんぞ、くくっ」

『ちょ...本当にもう...本当に駄目だ...あの...エロい話とかもうしなくていいんで...もういつも通りにお願いします...』

「了解。」


そう言って氷川は新しい煙草を口に咥えて火をつけた。