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■ エイプリルフールの巻

『彼氏ができました』

「あ?」



「彼氏?は?おまえが?」

『うん。結婚を前提にお付き合いすることにした』

「は…はァ!?まッ…聞いてねェぞそんな事!ど、どんな奴だよ、名前はッ!?」

「土方さん落ち着きなせェ。じゃじゃ馬に交尾相手が出来ただけでしょう。そんな驚くことでもないですって」

『ブン殴るぞ総悟』

「そうかそうか名前ちゃんもようやく男が出来たか!何か写メとかあるのかい?」

『イエス!ありますあります!拝見してください』

「拝見します」



「なッ…ゴ、ゴリラァアアア!?えっちょっと待って?これゴリラじゃない名前ちゃん!?えッナニコレ!」

「よし、近藤さんもナニコレって言いやしたし、じゃじゃ馬と結婚したゴリラってことで珍百景に出しやしょう。十万ゲットでさァ」

『超恥さらしだねソレ。十万私にくれ』

「…名前、おまえ疲れてんのか?疲れてんだろ」

『え?疲れてないよ?』

「飯でも食いに行くか。俺が奢ってやる」

『マジかトシ!よし行こう!近くに出来た焼肉屋がいいな!』

「俺もあそこでたらふく食いたいでさァ。土方コノヤロー連れてってくださいよ」

「なッ…!…分あッたよ。連れてきゃいいんだろ」

『イエーイ焼肉〜!』

「イエーイ土方死ね〜!」

「ブッ殺されてェのかテメー総悟!!」

「いいのか?トシ。お前金あんのか?」

「…給料入ったばっかだし、大丈夫だよ。名前を肉で釣って別れさせる」

「…おまえ、ホント名前ちゃん好きだな」



『上カルビとネギ塩タン四人前と、あとは何が食べたい?』

「俺ァ特選和牛ヒレ食いたいでさァ。十人前」

「てめッ総悟それ高えやつだろ!十人前って、十人も居ねェしよ!」

「トシ俺は」

「アンタはバナナだろ」

「違えよ!なんで本格的に近藤勲=ゴリラになってんの!?ていうかバナナってあんのかよ!」

「あ、近藤さんバナナの盛り合わせってありやすぜ」

「あんの!?盛り合わせ!?ここの焼肉屋おかしいだろ!普通の店でもないからねバナナなんて!」

『あぁじゃあ店員さんバナナの盛り合わせニ十人前で』

「ニ十人前!?いらないよそんなに!てか盛り合わせって一人前どんな感じなの」

『皿に一房乗ってるんだって』

「ええええ!?じゃあ二十房も来んの!?バナナで机埋まるから!店員さん二十人前変更で五人前で」

「結局バナナ頼むのかよ!五房でも十分机埋まるしよ!」

『そういえばトシ』

「あ?ンだよ」

『ゴリラと付き合うわけないじゃん。嘘だよ』

「…」

「おー来たぜ特選和牛ヒレ。名前さん焼いてくだせェ」

『はーい。近藤さん、ここ焼酎たくさんありますよ』

「うーん。じゃあ俺は芋焼酎の桜紋ってのにしようかな」

『ロックですか?』

「水割りでいこうかな。トシ、お前も何か飲むか?」

「…おい、いや、待てお前ら」

「土方さんって、名前さんのこと好きすぎて時々キモいですよねィ。ホント引くわー」

「俺でもアレは気付くぞトシ。お妙さんがゴリラと付き合うんなら凄い俺は嬉しいけど。ゴリ専ってワケだし」

『ゴリ専の女なんてこの世に居るんですかね』

「……ッて待てゴラァアア!!お前ら気付いてたんなら言えよ!金が無駄になったじゃねェか!」

「面白そうだったし。このまま黙ってたら良いことありそ〜だなーと思ったし」

「トシ。冷静になって考えてみろ。名前ちゃんがゴリラと付き合うわけないだろ。名前ちゃんの生理的に無理ランキングでいつも俺が一位なんだし」

「もうそれ近藤さん、自分がゴリラだって認めてんだろーが。…ったく、下らねえ嘘つきやがって。どうせその時に思いついた嘘なんだろ」

『いや。前から言おうと思ってたよ。今日をずっと楽しみにしてたし』

「は?」

『だって今日エイプリルフールだし』



『パアッと騙そうと思って。トシの困った顔が見たくて。てへ』
「…はァ?そんな理由かよ。馬鹿じゃねェの、お前」
「あ、とか言いながら土方さんが嬉しそうな顔してやすよ。キッモ〜!!」
「ツンデレか!?今時のツンデレってやつか!?」
『近藤さん。今時って…時代遅れ過ぎますよ』
「(まァ…これはこれで楽しいしいいか)」




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