飲みに行きましょう。
これは、死んだ人間が集まり謎の星人と戦う一風かわった物語である。
『え!? よりにもよって今日、今川先輩が変態すぎて捕まった!? いやあ、やっと捕まったんですかぁ。でも、あの人で捕まるんなら桑原さんは?って話ですよね。絶対やばいですよね。星人レイプ罪で逮捕ーー』
「オイお前犯したろかほんま」
ペチンと軽やかに少女の頭を叩くのは、顎髭を生やした色男、桑原和男である。叩かれた女、名字名前はムッとした顔をすると、桑原に食い入るように反論をした。
『犯したろかって何ですか!そんなツッコミいらないんですよ求めてないんですよ!あっホラ私がまたツッコんじゃってるし!』
「突っ込む?どこに」
『ああもう!!一日下ネタは一回までって言いましたよね!?大の男がちゃんと守って下さいよ!』
「この俺に下ネタ一回は無理やろうが。常識的に考えて分かるやろアホ」
『いや無理でも頑張れよ!なに変態気取ってんだ!』
「まぁ落ち着けや名前。それに今川は捕まった訳やない」
名前にそう言ったのは、黒い肌で筋骨隆々、スキンヘッドの男、島木である。あだ名は、ジョージ。彼は誰もが認める唯一の常識人とも云える。
『落ち着いてられますか!…いややっぱ落ち着きましょう。今川が何ですって?』
「今川は知らん女に訴えられただけや。捕まってへん。ただ何で訴えられたのかは分からんけど」
『いや大抵予想付きますよ。痴漢とかですよきっと』
「痴漢やったら笑えるわな」
「でもアイツ痴漢モノのAV嫌い言うてたし違うやろ。多分詐欺やな」
『あ〜してそうですね。詐欺してそうな顔してますもんあの人」
「お前どんだけ今川嫌いやねん」
「なあ」
クツクツと島木と桑原は笑う。だッて、あの性格ですしね。と、釣られて笑いながら名前は言った。
そして、彼らが向かっていたのは行きつけの居酒屋である。もう一人今川という男を誘ったのだが、彼らが話していた通り、今日は来れないようだった。
折角、誘ったのに。名前は頬をぷうとふくらませた。
彼らが居酒屋に着いたのは夜の七時を過ぎてからだった。
『乾杯〜っ!!』
名前の掛け声と共に、三人は生ビールや烏龍茶を飲む。名前が烏龍茶なのは、成人になって間もなくビールに慣れていないからである。
桑原はイッキ飲みを豪快にすると、ジョッキを音を立てて机に置いた。
「あ〜生き返った…花金バンザーイ!!」
『明日から休みですね〜。といっても私達は黒飴があるんでしたね』
「そやで。ほんま疲れるなぁ。夜くらい女の子と遊ばせてくれてもええのに」
「お前の為に黒飴があるんやろ」
『そうですよ。ていうか十分遊んでるでしょ桑原さん』
「え?俺?いやいや、全然遊んでへんて」
ヒラヒラと手を振りながら桑原は否定をする。そんな訳ないと、疑念が混じった目を二人は彼に向けた。
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