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BADENDも終わり/西






『っぁ、…っ、あぁあ……い、たい…はは、痛いんだけど……ねぇ西くん…?』


血が溢れ出てくる目を片方の手で抑えると、私は横にいる西に訴える。


「名前…!」
『ははは…どうしたの西。何で泣いてんの?』
「……た、すけれなかったからに決まってンだろ…バカが」
『ふふっ…西くんらしい……』


西は相変わらず目から涙を零しながら、私を抱きしめた。


なに、こんな優しい西くんみたことない。
なによ、私がもうすぐ死ぬみたいじゃない。


「名前…さん」
『玄野も何で泣いてんのよ…私はまだ生きてる。死んでなんかいないのよ?』
「……でも」


そうは言っても、腹や手、足から裂かれた血がドバドバと流れる。支えてくれてる西くんにもかかってしまっていた。


ちょっともう、止まってよ。
私、もうすぐ大量出血で死んじゃうよ。


不安が集う。私は必死の笑顔で話しかける。


『…ね、転送はまだなの?死んじゃうって、私…』
「……ごめん。まだ、1匹いるんだ。敵が…」
『…そう、なの』
「……加藤達がもうすぐ殺す。それまで頑張ッて…耐えてくれ」
『あはは、私を舐めてるの?……死ぬわけないじゃない、皆を置い…っがはっ…!』
「名前!?」「名前さん!?」


吐血だ、私の口から大量の血が出る。痛い。頭もくらくらしてきた。体が震える。本当に痛い。やばいって、もうすぐ死んじゃう。助けて、やばい、ねぇ。


『だいじょ、大丈夫…よ。もうすぐ殺してくれるんでしょ?』
「……名前」
『…どうしたの、西くん?』
「…はッきり言ッていい?」
『……いいわ』
「………名前は、もうすぐ死ぬ」
「!?…おい西!?」
『……』
「その大量出血じゃ助かるわけがない。…悪ィけど、名前はもう死ぬ」
『…言ってくれるじゃない、西くんの分際で…』
「希望持ッて死ぬより、死ぬこと覚悟して死ンだほうがいいだろ?俺なりの気遣いだッて」

西くんは冷めた目でそう言う。
ああ、そっか。


『…そう…私、もうすぐ死ぬの』
「で、でも!加藤達がもうすぐ…!」
『もういいの玄野…』
「……名前さん」
『……私、死んじゃうのね…』


ぽたり、ぽたりと、片目から涙が流れた。死ぬんだ、私は。みんな置いて死ぬんだ。いやでも皆は悲しまないかな。ほら、西は悲しんでないし。西が泣いてるのは助けれなかったことであって、プライドが傷ついただけだからね。


でも、でもさ…私も、少しぐらいは感情を出していいよね…いいよ、ね…?


「……っ名前…?」
『…西。私、今とっても悲しいわ。悔しい…貴方と一緒に居れられないことが…とっても悔しいの』
「……」
『…大好きだったわ。その歪んだ心も、時々見せる無邪気な子供のような笑顔も…。…私を心配してくれる優しい貴方が…大好きでした』
「…俺も、無駄に偽善者で、笑顔が幼稚で、馬鹿に心配する名前が…大好きだッた…っ!俺から離れンじゃねーよ…誰も許可してねーよ阿呆が、馬鹿が、カスが…!名前の分際で生意気なんだよ…ッ!」
『……そう…。…がはッ…!ッ…ねえ、聞いて?私ね…本当は、本当はね…っ…まだ死にたくないの…っ生きてたいの……っぉ!』


下に溢れまくる涙。


あはは、西くん号泣じゃん……可愛いったらないね。玄野も…奥で泣いてる。あぁ、なんて最悪な女なんだ私は…みんなを泣かしちゃって……。何で悲しませた?何で私は倒れた?最悪だ、もう最悪だ。生きたいよ、まだ生きてたいよ。死ぬのが怖いよ助けてよ誰か…っ


『何で…いやだ、怖いよ、死んじゃうの?私。いやだいやだいやだ死にたくない…っ』
「名前…ゴメン、ゴメン……ゴメン……ッ』
『お願い助けて…っ西くん……死にたく、ないよぉ…っ!』
「ゴメン…な、何もしてやれなくて…ゴメン…!」


そして



ドクン




『あ……やばい、もう死ぬ…』


心臓が悪いように高鳴った。もうすぐ私は死ぬらしい。心臓が終わりを告げた。


「名前…?」


西も震えている。涙を流しながら。玄野はひたすら泣いていた。手で拭いながらひたすら。



私は――――――――――――――死ぬらしい。




『に、西くん…玄野…本当に今までありがとう……本当に…っほんと、う……ありがとう…だい、すき……』



ドクン


再び気味の悪い音が高鳴り、私は息を引き取った。


「っ…!!!!…返事しろよ…名前!おい……俺を置いてくンじゃねぇ…なぁ…なぁ…名前…!」
「西……」
「名前……く…ごめん、ごめん…!何もしてやれなくてごめん……ぁああ……ッごめん…ごめん…っ!!!」



あぁ……ホントに、とっても、幸せだったな。




***




[ それぢわ ちいてんを はじぬる  


 西君     100てん   ]




「え…おい、西…?」
「……」




[   100点めにゅ〜    
    1 記憶を消されて解放される
    2 より強力な武器を与えられる
    3 MEMORYの中から人間を再生する。   ]



「……GANTZ、3だ。…名前を……再生してくれ」


ジジ………ジジジジジ


「………!」
「……名前」
「え……?」
「……名前さ……」
『……ん、あれ…私……』
「……名前……」
『…西くん……あれ、じゃあ…私……』
「……俺が再生してやったンだよ、感謝しろ馬鹿が」
『……西くんが…?……ありがと、ありがとう……っありがとぉ……っ西くん…ありがとぅ……ありがとう……っ!!』
「ばーか、うるせーっつの」
『……あはは……でも、本当に…ありがとう』



ありがとうございました