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船長パロディ03

「断る。」

狭い船内にマルコの声が響き渡った。その返答に目の前の赤髪の男、シャンクスが大きく目を見開いた。まさか断られると思ってなかったのだろうか、びっくりしたような顔をして固まっている。(アホ面だな…。)ハッとマルコは喉の奥で笑った。取り合えず、聞き直されないようにもう一度言っておく。

「断るよい」

流石に、次はシャンクスも動きだした。

「いやいやいや、断るの早すぎるだろ!?少しは悩んでくれ!!それにさっき何言ってるんだぃ?って顔してたじゃねーか。普通もう一回聞き直さないか!?」

「そんな馬鹿げた事二回も言わせるかよぃ。馬鹿なのは頭の中だけにしといてくれ。」

さぁ、話は終わりだ。帰ってくれ!というようにマルコはシッシッと追い払うように手を振った。

「そんな連れない事言うなよ。俺とお前の仲じゃねーか。なっ♪」

その発言にマルコは思いっきり顔を歪めた。しかし、シャンクスは良いというまで絶対逃がさない。というようにマルコの肩に腕を回そうとする。が、それを屈んで避け、その勢いのまま後ろへ一歩飛び退いた。

「残念ながらお前とそんな“仲”になった覚えはねぇよい。それに俺は嘘つきは嫌いでねぃ。諦めて帰ってくれないかい?」

「無理だな。何せ俺は嘘はつかねー男だ。冗談は言うけどな!だっはっはっ♪」と、大きな笑い声を響かせる。そんな様子に額に青筋を浮かべながらマルコはゆっくり口開く。

「なら、親友ってのはなんなんだい?あれは嘘だろい?」

シャンクスはチッチッチと効果音を付けながら指を振る。なんかムカツク…そんな理由でマルコは回し蹴りを繰り出した。マルコの蹴りは、油断してたのか、シャンクスの脇腹に見事命中し、うめき声を上げながらシャンクスはその場に崩れ落ちた。……。まぁ、良い。と、マルコはペンギンの下へと戻る事にした。
甲板に戻り、きょろきょろとペンギンを探していると、マルコー!!と手を降りながらエースが笑顔で走ってきた。「シャンクス来てるんだってな!」 「…あぁ。たった今殺ってきた所だい」
マルコがエースの頭をグリグリと撫でてやりながらそういうと、エースは目を見開き慌てたようにシャンクスの側へと走って行った。「………親友じゃなかったのか?」マルコの先程の発言が聞こえてたようで、エースとは入れ違いに今度はキラーが首を傾げながらやってきた。
「ありえないよい。」と言いマルコは大きな溜め息を吐いた後、力なく笑う。 そのようすにキラーは一度フム。と頷くと、何を思ったのかマルコの肩をポンッと叩き「……頑張ってくれ。何かあったら力になろう」とだけ言うと船内へと入っていった。
その様子に軽く目を見開いたマルコは優しく微笑んだ。誰にもきこえないぐらい小さな声で「ありがとよい」と言うと、またペンギン探しを再開させた。


食堂に行くと、ペンギンはいた。なにやらノートに真剣に何かを書き込んでいる。「何やってんだい?」と聞くと、ペンギンは顔をあげた。「航海日誌だ。…客人はもう帰ったのか?」「……あぁ。たった今。それより押し付けて悪かったねい」と、マルコが謝ると、ペンギンは気にするな。と目を細めて笑った。船内がやけに静かだ。疑問に思い聞いてみると皆街に出掛けたらしい。とくにする事もなく、ペンギンに何かないかと聞こうとした時、バンッとドアが開いた。シャンクスだった。背中にはルフィが張り付いている。後ろからはエース。その様子は親子連れのようだ
「マルコお前…行きなり回し蹴りはないだろ!」入ってくるなり詰め寄ってくるシャンクスに軽く舌打ちをする。 せっかくの静かな時間がとたんに騒がしくなった。「もう復活したのかい…」ボソッと小さな声で呟いた。一応聴こえないようにいったつもりだが目の前のペンギンには聴こえたみたいで苦笑いしていた。そんなペンギンにマルコも軽く笑う。後ろでまだギャアギャア騒いでるが無視する事にした。

もう一度、仕事はないかい?とペンギンに聞いてみるとペンギンは困惑したような顔をしてマルコの後ろに目を向ける。マルコの後ろではシャンクスがまだ何か言っている。相手にしなくていいのか?とペンギンは言いたいのだろう。マルコが「大丈夫だぃ」と言うとペンギンは笑った。 それなら。とペンギンは一冊のノートとペンを出してきた。ノートの表紙には【船内の決まり】とだけ書いてあり、中はまだ白紙だ。これだけ個性的な面子揃いだと【決まり】を決めないと纏まる物も纏まらないのだとペンギンは言う。確かに一理ある。大雑把で構わないから大まかに決めてほしいらしい。「日誌が終わったら俺も考える」というと、ペンギンは再びノートに目を向けた。マルコもペンギンにならうようにノートに目を落とす。 暫くすると、ルフィが口を開いた。「なぁなぁ、パイナップルのおっさん。話終わっ…」ルフィは吹っ飛んだ。マルコによって…。マルコの蹴りが綺麗にルフィの顔面に直撃した。……静まり返る食堂。マルコは何事もなかったかのように椅子に座り直し、ペンを取る。……沈黙を破ったのはシャンクスの笑い声だった。船全体に響き渡るぐらい豪快に笑い転げる。途中酸欠になったのか笑い声の合間にゴホゴホと咳き込んでいるが、まだまだ止まる様子はない。パイナップル…パイナップルのおっさん…と呟いた後、思い出したようにさらに豪快に笑う。余程壺に入ったようで、ひたすら笑い続けている。しかし、次の瞬間、ガハッと言う音と共にシャンクスは静かになった。マルコの右足が思いっきりシャンクスの腹に落とされたのである。一向に動かなくなったルフィとシャンクス。マルコは依然ノートに目を向けたままだ。その様子には、さすがにペンギンも顔を上げる。エースは2人を青ざめた顔で見た後、場の空気を変えるように「街行ってくる。 」と2人を連れて出ていった。マルコはそんなエースに「ありがとよぃ」と伝え片手を上げる。ペンギンは、マルコとエースを交互に見た後、「大変だな。」と言い、静かに笑った。

何時間も集中してたようで辺りは暗くなっていた。一息入れようとマルコが調度立ち上がった時、食堂のドアが開いた。他のクルーが帰ってきたようだ。見ると、全員揃っている。何故かシャンクスも当たり前のようにいるのだが…。その一番後ろには、この船にはいない、しかし見慣れた長髪の男が立っていた。ベンだ。マルコは、今までで一番の笑顔を浮かべるとベンのそばへと寄っていった。「待ってたよい。早くあいつを連れて帰ってくれ!」と言うと「迷惑かけたな。もう連れて帰る。」すまない。と片手を顔の前に立ててベンは謝った。それに反応したのはルフィで、宴会の後でいいじゃねーかぁ。とぶつくさ文句を言っている。シャンクスも同意するように何か言っているが、マルコの耳には入っていなかった。……宴会??マルコはペンギンを見る。とペンギンも訳がわからないと首を傾げている。訳が分かってない2人に気付いたのかサッチが笑って説明した。今日はこの船に乗ってからの初めての街なので、祝いで宴会をするのだと。3人の船長の申し出だから決定事項だということだ。
サッチとペンギンが頭を抱えたのは言うまでもない。
その後予定通り甲板で、宴会が開かれた。三人の船長とエースとシャンクスはキャイキャイとはしゃいでいる。それにサンジとサッチとゾロも混じり楽しそうだ。それを見守るようにマルコとベンとペンギンとキラーは静かに酒を飲み笑っている。



T子さんから頂きました。
これで完結です。

素敵な小説をありがとうございます!