頂き物小説 | ナノ

船長パロディ02

!注意!
こちらは、T子さんから頂きました。





カーンカーンと景気の良い音が船内に響き渡った。ご飯が出来たと言う合図だ。その音に逸早く反応したのは、他でもないエースとルフィである。飯だー!!と叫びながら駆ける2人の姿はなかなか滑稽で、とてもじゃないが憶超えの賞金首には見えない。2人は食堂に着くないなや叩き割るかのようにドアを開いた。そんな2人に「うるせーんだよ!!!」と叫んだのは勿論マルコだ。しかし、飯を前にしている兄弟には聞こえていないも同然で、机をバンバン叩きながらめーし。めーし。と言い続ける。しまいにはホークとスプーンを手に持ちリズム良くカンカンカン♪と鳴らし始めた。

「……そんなに腹が減っているのか?(たしか凄い量の盗み食いをしてたよな…)」

とペンギンが尋ねたが勿論返ってくる返事はない。全員が、煩い!と思った次の瞬間、サンジの踵落としが2人の頭を直撃した。
少しの間静かになった。
2人が頭を抑え、痛みに堪えていた時、ようやくゾロゾロと他の4人が入って来た。4人は席に座って静かに準備が整うのを待っている。当たり前だ。当たり前なんだが凄い。ペンギンとマルコは小さな感動を覚えた。

今の、この静かなうちに次の進路の話をしよう。とペンギンとマルコは口を開いた。もうほぼ決まっているが、最終確認だ。船はログポースを無視して近くの島に停まる事になった。食料が無しの状態で、この海を後悔するのは危険だと判断したのだ。次の島で買い出しをして、天候が良くなり次第島を出発するという流れになった。後一時間もしたら島には着くだろう。2人は頷き、取りあえず先に昼食をとる事にした。が、今まで黙ってたローが口を開いた。

「進路を変えるのか?俺は何も聞いてない。勝手な事をするな。」

それに反応したのはペンギンだった。

「…あぁ、悪かったな。(今忙しいから黙っててくれないか?)少しドタバタしてたから報告が遅れた。本来なら一番に船長に言うべきだった。次からは気をつける。」

それに相槌を打つようにマルコも便乗した。

「そうだな。次からは(たぶん)一番に報告するようにするよい。悪かったねい。未来の船長さん」

そんな2人に気を良くしたのかローは黙って頷いた。しかし、そのまま食事再開とはならないのがローである。

「…だとよ。聴いたか?ユースタス屋。未来の船長は俺らしい」

ニヤニヤと笑いながらローはキッドを見た。そんなローの言葉にユースタス・キッドは片眉を上げる。

「…あ"?口には気をつけろよトラファルガー。船長は俺だ。」
「フン。残念ながら決定事項だ。諦めろ。お前では力不足だ。」
「…もう一度言ってみろ。発言次第では…さっきの言葉は取り消してやる!」
「何度でも言ってやろう。お前には無理だユースタス屋。諦めろ。」
「……表に出ろ隈野郎。どうやら俺はお前を殺さないと駄目みたいだ。」
「奇遇だな。俺もそう思ったところだ。」

2人は静かに立ち上がる。
“めんどくさい奴らだ”
ペンギンとマルコは小さな溜め息を吐いた。

「食事が終わってからにしたらどうだ?せっかくの料理が冷めてしまう。作ってくれたコックに申し訳ない。」

静かに聞いていたキラーが口を挟んだ。

「俺に命令するな。」
「ケンカを売ってきたのは向こうだ。」

互いを睨み付けながらキラーに反発する。そんなキラーにサンジが助け舟をだした。

「悪いが、食事中に席を立つような礼儀知らずを俺は船長とは認めねーぞ」

その発言にローは鼻で笑った。

「別に黒足屋に認められなくても関係ない。」
「そうだな。俺もトラファルガーの意見に賛成だ。不本意だがな。」
「関係なくはないと思うが…この船の船長になるなら全員を納得させる必要があるんじゃないのか?」

そんな2人に意見したのはペンギンだ。ペンギンの発言に2人は眉間に深くシワを寄せる。

「何が言いたい。」

ローはペンギンを睨み付けるが、ペンギンは全く動じる事はなく続けた。

「食べてからにしたらどうだ?」

暫くの沈黙の後、チッとローが舌打ちをして席に着いた。 割りと素直だな。と、その場にいた全員が思う。一方キッドはやってられるか!!とドアを蹴り開け食堂を後にしようとした。が、

「デザートはいらないのか?」

と言うキラーの発言によって舌打ちをしながら椅子に座り直した。
“かわいい所もあるんだな…”
マルコ、ペンギン、サンジとサッチの4人は心の中で苦笑した。これで静かに飯が食える。と皆が安心したのも束の間、珍しく今まで何も言わなかったルフィがここに来てついに口を開いた。出来る事なら一生黙っていて欲しかったものだ。

「みんははにいってんは、へんひょうはおへは 」

しかし、口一杯に物を詰め込み喋るから何を言ってるのかは分からない。そんなルフィをゾロが呆れたように叩いた。

「食い終わってからにしろ!」

暫くモグモグモグと口を動かした後、一気に飲み込む。近くにあったお茶を流し込み一息ついた。

“ ……。 ”
「船長になるのは俺だ!そして俺は海賊王になる。」

どうやら話は振り出しに戻ったようだ。当たり前だがローとキッドの片眉がピクッと動いた。また言い争いが始まるかと思ったが、意外にも割って入ったのはエースだった。

「ルフィ。そいつは無理だ。海賊王になるのは親父だからな。」

足を組み、流し目で格好良く決めるエース。もともと顔立ちは凄く良いのでかなり格好良い。が、顔中にご飯粒を付けた状態では何も決まらなかった。今まで静かだったのは寝ていたからだったようで、そんな2人に、マルコもペンギンも溜め息を吐くしかなかった。もう突っ込む気力もないようである。

“船を降りたい”

この時2人が強くそう願っていた事など誰も知らない。


予定通り船は島に付き、上陸の準備をしようと指示を出すマルコとペンギン。そんな時キラーがマルコを呼んだ。珍しい事もあるものだ。今まで会話らしい会話もした事がないので少し驚いた。

「客人が来てる。」

キラーの言葉に益々首を傾げる。客人…?どうやらその客人とやらは自分はマルコの親友だと名乗ったようだ。言っちゃ悪いが全く心当たりがない。このグランドラインで自分の知り合い等、白ひげ海賊団ぐらいだ。でもそれは家族になる。間違っても親友ではない。誰だ?と思いながら、指示をペンギンに任せ、取り合えず見に行く事にした。キラーの話によると、客室にいるらしい。キラーに軽く礼を言って足を客室へと向けた。客室の扉は閉まっている。まぁ、そうだろう。開いてはいないのは分かっていたが、誰がいるのか分からない部屋には入りたくないものだ。しかも見に覚えのない“親友”ときたのだ。キラーに名前ぐらい聞いておけば良かったと少し後悔した。

「入るよい」

と言いながら扉を開ける。瞬間、目に飛び込んで来たのは“赤”だった。
“嫌な予感がする”
見てはいけないような。……扉をもう一度閉めてもと来た道を引き返した。否、引き返そうとした時、ふいに客室の扉が開き、客人が出てきた。赤い髪の…嫌な予感は的中してしまった。赤い髪の客人はにやにや笑いながら寄ってくる。蹴飛ばしたくなった。その顔を…マルコは反射的に蹴りつけた。しかし客人はその蹴りをヒラリとかわす。口元の笑みはそのままで。

「何の用だい」

マルコは不機嫌を隠そうともせず全面に押しだした。そんなマルコに客人は頬を膨らまし、拗ねた顔をする。

「おいおい、随分ご挨拶だな?久し振りに会ったんだ。歓迎の言葉の1つぐらいないのか?」

ブーブーと文句を上げる。可愛いと思っているのか?自分の年齢と差ほど変わらない男の拗ねた顔等、正直イラッとするだけだ。それ以前に男の拗ねた顔等見たくない。

「正直一生会いたくなかったよい」

マルコは吐き捨てるように言い、踵を返す。その様子に男は慌てる。

「まぁ、待て待て!!」

チッとマルコは舌打ちをした。

「天下の赤髪海賊団の船長様が俺になんのようだい?」

下らない用なら殺す。
そう目で訴えるが目の前の男は動じない。それどころか聞き捨てならない事を口走った。

「俺もこの船に乗せてくれないか? 」

マルコは大きく目を見開いた。





T子さんより。