四月馬鹿夢 | ナノ

お兄ちゃんは許しません

「俺、名前のこと好きなんだ。付き合ってくれないか?」


放課後、エースお兄ちゃんと校門で待ち合わせていた。
すると一人の男の子が私に近づいてきて、いきなり告白された。
彼は隣のクラスメイト。それなりに喋ったことはあるけど、まさか告白されるとは思ってもみなかった。


「えーっと…」


恋人を作る気なんてさらさらない。
というか恋人ができたら長男二人と弟一人がうるさそう…。
……でも、欲しいな。って思うときは時々ある。花の高校生だもん!


「だ、ダメかな…?」
「え?いや、うん…。そう、なんだけど…」
「ダメだったらキッパリ断ってくれ。頼む!」

「テメェみたいな奴が名前を幸せにできるわけねェだろ」

「エースお兄ちゃん!?」


付き合ってみるのもいいかも?なんて思って濁していると、エースお兄ちゃんがやって来た。
私を後ろから抱きしめて、鋭い視線で彼を睨みつける。
ああ…、彼ちょっと泣きそう…。


「それとも何か?名前を幸せにできるってか?」
「あ、あのっ…。俺、名前が好きで…」
「人の妹を勝手に呼び捨てすんじゃねェ!」
「ひいいい!」
「エースお兄ちゃん!」
「いいか、名前と付き合いたいならまずルフィを倒せ!それができたら俺とサボを倒せ!じゃねェと交際は認めねェからな!解ったか!名前、行くぞ!」
「あ、うんっ…。ごめんね」


エースお兄ちゃんに手をとられ、強引に学校をあとにする。
顔が見えないからよく解らないけど、…ちょっと怒ってる?


「エースお兄ちゃん?」
「名前は彼氏欲しいのか?」
「え?」
「断るの躊躇ってただろ」
「あれは…。初めてだったからどう答えていいか解らなかっただけで…」
「名前」


足を止め、振り返る。
珍しく真面目な顔をしたエースお兄ちゃんが私をジッと見つめ、少し悲しげに聞いてきた。
欲しいと思ったけど……。


「エースお兄ちゃんとサボお兄ちゃんとルフィがいるから、いらないかな」
「よし、それでいい!」


道路の真ん中だと言うのに思いっきり抱きついてきたエースお兄ちゃん。
どこでもいつでも情熱系のお兄ちゃんだけど、私はそんなエースお兄ちゃんが大好きです。


「俺も名前が大好きだ!だから嫁に行くな!」
「それは…」
「じゃあ恋人ができたら教えてくれ」
「……倒さないでね?」
「可愛い妹の頼みだ。善処しよう」
「目見て言ってよ…」





リクエスト。
「妹の告白(されている)現場を目撃!」