寒天 匿名様・ガジル総受ローグ落



「ガッジルさーん!!会いに来ましたよー!!」

弾む声と共に、腰に抱きついてきた大型犬のような金髪に、ガジルは「おう」と言ってその頭をわしゃわしゃと撫でてやった。
ガジルさん今日も素っ気ないっス!!でもそんなところが好きっス!!
縋りつかれている事に目もくれずに、ずるずると金髪〜スティングを引きずりながら、ガジルはカウンターに座る。

「ミラ、コーヒー飲みたい」
「は〜い、ちょっと待っててね?」
「ガジルさん!俺も何か飲みたいっス!!」
「知るか」
「素っ気ないー!!「何やってんだテメー!!」あぶっ!!」

熱風が吹き荒れ、同時に腰の重みが消えたと思って振り向けば、スティングは遥か彼方に転がっていた。
代わりに、炎を纏ったナツが立っていた。
あぁ、これもいつもの光景。

「お前がガジルにベタベタするなんて百年早いんだよ!!なー、ガジルー!!」
「うっせぇ消えろ」
「わかってるわかってる、それも照れ隠しだろ?」
「うぜぇ…」

カワイイー!!と抱きついてくるナツを押し返しながら額に青筋を浮かべる。
なんでこうも変な物ばかり引き寄せてしまうのだろうか。
異世界に帰ってしまった青髪も思い出しながらため息を吐いた。
その間にも、復活したスティングが自分の憧れだったはずのナツをガジルから引きはがし、赤目を釣り上げて睨みをきかせる。

「ナツさんはいいじゃないっすか!毎日ガジルさんと会えるんだから!!」
「はんっ!!毎日無視されてんだから何したっていいだろ!!」
「え、えぇ…それは、その…ご愁傷さまです」
「おい止めろよそんな憐れんだ目で俺を見るなよ」
「はいガジル君、お待たせ〜。おまけにアールグレイのクッキーもあるわよ〜」

微妙な空気が漂う中、ほかほかと湯気を上げるコーヒーと美味しそうなクッキーに、ガジルは瞳を輝かせた。
熱いから気をつけてね?とミラジェーンの一言に頷き、ゆっくりとコーヒーを一口。
ミルクが多めに入ってまろやかな口当たりにほっと一息つく。
これで後ろの二人がいなければもっと落ち着くのにな…
おまけで出してくれたクッキーを頬張って少し肩を落とした。
これ以上増えないでくれ…

「ようガジル」

増えたー!!!!
ギャグ漫画よろしくコーヒーを吹き出しそうになりつつ、耳に響く低音へ視線をやる。
よっと片手を上げるそれ〜ラクサスは、口元に笑みを浮かべて然も当然のようにガジルの隣へ腰を下ろした。
ある意味ナツやスティングよりも面倒くさい奴かもしれない。
何故か自然とクッキーとコーヒーを遠ざける。

「何で距離とんだゴラ」
「知るか!本能だ本能!!」
「はんっ…照れ隠しか」
「火竜と同じ事言うなよ鬱陶しい…」

腰を撫でようとする手を叩き落とせば、隠すそぶりも見せずに舌打ちされた。
睨むなよ怖いだろ。
それよりもアレだ!!

「おいスティング、何でローグがいねーんだよ」
「えーだってガジルさん、ローグがいたらローグとしか話さないじゃないっすか!!だから置いてきました」
「「よし良くやった」」
「良くねーよ!!」

得意気に、ふん!っと胸を張るスティングに殺意を覚えながら、弟分の不始末だからと親指を立てるナツを殴っておいた。
ラクサスも足の脛を蹴っておいた。
よくもまぁこんな下らないことで毎日盛り上がれるものだ。
ガジルさん撫でてください!!と千切れんばかりに尻尾を振る(幻覚)スティングにヘッドロックをかけながら、ガジルはため息を吐く。
もうこっちから会いに行ってしまおうか…と考え出したところで、コツンと靴音が聞こえて反射的に顔を上げた。

「スティング…貴様…」
「げっローグ…!!」
「ローグ!!」

置いていかれた事に腹を立てているのか、ガジルの意中の人物は修羅を背負ってそこにいた。
青ざめるスティングをポイとナツとラクサスの方へ投げ捨て頬を綻ばせる。
ローグも、背負っていた修羅をパッと消し去り、抱き着いてきたガジルを受け止めて頬を緩めた。
そして叫び声が3つ。

「待ってたぜローグ!!寒いのにいつも悪ぃな!!ミラ、ローグにも同じやつ出してくれ!!」
「はーい」
「ガジルがこんな寒空の下を歩くなんて、風邪を引いてしまうかもしれないからな」
「な、何だよ!嬉しい事言ってくれるじゃねーか!!」

こいつー!!可愛いやつだなー!!
ポンポンとあやすように背中を叩かれながらガジルは尚更ローグに抱き付く。
本人は可愛がっているつもりだろうが、どう見たって甘えさせられているのだが、ガジルは気づいていなかった…

「そうだ!!お前今日泊まってけよ!!」
「「はぁ!?」」
「…良いのか?」
「当たり前だろー!リリーのやつ猫達でクエスト行ったんだけどよ、泊まりになるらしいんだ」

外野から見ればかなりの爆弾発言だが、ガジルは可愛い弟分を覗き込み、嫌だったか?と眉尻を下げる。
嫌なわけあるか。
この時ばかりは外野とローグの心の声が重なったのだった。

「そう言う事ならば邪魔しよう」
「おう!!へへっ今夜は俺が背中を流してやるからなー」
「わー!!ナツさんが鼻血吹いて倒れたー!!」
「きったねぇな!!俺の方に倒れてくんなナツ!!」

今度こそ許容範囲を越えたナツがぶっ倒れて血の海が広がった。
何はともあれ今日も平和なのです。

「ローグ、見ちゃダメだ目が腐るぞ」
「あぁ…」



E N D



リクエストありがとうございました!!
遅くなりすぎて切腹ものですかいかがだったでしょうか?
ガジルはリリー同様自分の気に入った存在には甘いような、極端に甘いような気がして、ニヤニヤしちゃいます!!
スティングを邪見しきれてないのはまだ「可愛いやつ」の部類に入っているからだと思います。でっかい犬に絡まれちまったぜ!みたいな。


飛鳥


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