多分目の前にいる彼女はこう思っている。何故こんな小さなことで正座をさせられているのだろう。

「こんくらいで正座させなくても…」

ドンぴしゃだったので軽く頬を叩いた。ぎゃん、とまぁ間抜けな声が耳に届くが知ったことじゃあない。

「貴女は自分がしたことの重大さが分かっていない」
「うん。こんなに重大になると思わなかった」
「もう少し考えて行動しろといつも言っているでしょう」
「考えた上で行動に起こしました。それでいてこのような結果になりまひた」

どうやら彼女の足りない頭に常識を求めた僕が悪かったようだ。一応は反省しているようだが、この憤りを彼女にぶつけなければ僕の気が晴れやしないので肩を押して床につけた。

「え、なになになに」
「貴女が僕から奪ったものを僕も貴女から奪います」
「意味わから」

馬鹿みたいに開いた口を口で塞ぐ。簡単に入り込んだ舌が彼女の無防備さを物語っていた。これが僕以外の男だったのならちゃんと拒むのだろうか。咥内に広がる甘味と共に要らない心配が癇に障ったので下唇を軽く噛んでやる。

「もう二度と曽良くんのもの食べないから許して」

涙目で懇願しても、もとよりそれはどうでもいいことで。僕の狙いはこの先にあることを馬鹿な彼女は気がつかない。

まんじゅうこわい


120213


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「見えない臓器の名前は」
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