「ん、」
「おはようございます、宗」
「…レギュ、俺、」

どうやら机に突っ伏して寝てしまったようで、広がる羊皮紙には課題の途中で蚯蚓が這っていた。
くあ、と欠伸を噛み殺して体勢を起こすといつもより重い背中。

「ん、これ」
「少し寒そうだったので…」

迷惑でしたか?と少し眉を下げて遠慮がちに言うレギュラスに、身体が急に暑くなる。暖かくて良い匂いだと寝ぼけた頭で考えたのはこの肩に掛かる、愛しい恋人のローブだったのか。
カッターシャツにベストのみでローブを着用しない宗一郎の格好はしっかりと制服を着こなすレギュラスに見ているだけで寒いと言われたことを思い出し、愛されているなぁと頬を弛ませる。

「良い匂いする。まだ借りてて良い?」
「え、匂い、ですか?どうぞ…」

承諾を得ると宗一郎は簡単に畳んだレギュラスのローブを抱き締め再び体勢を倒した。羊皮紙は整えられ、課題は後回しにされてしまうようだ。

「宗、」
「これで夢でもレギュと一緒にいれるかな」

困ったように宗一郎の様子を見るレギュラスにとろけた笑顔を送るとレギュラスはぼんっと音が出る勢いで顔を赤くした。

「照れてんの?」
「宗のばか…っ」
「ふふ、レギュかわいー」
「あなたという人は…もう、」
「レギュ、怒んないで」

ローブを包んでいた片手を伸ばした宗一郎がレギュラスの柔らかい髪を撫でると眉間に寄っていた皺は次第に消えた。

「ね、レギュラス、笑って」
「宗?また寝ちゃうんですか?」

徐々にゆうるりと動きが鈍くなる宗一郎の手に細い指をそっと添えて握る。まだ起きていて、というレギュラスの願いも虚しく、宗一郎の鋭い目は閉じていく。

「レギュラス、一緒にいよーな」
「宗のばか、僕はずっとあなたの隣にいますよ」

おやすみなさい。
そっと頬にキスをして座り直す。もっと宗一郎の近くにいられるように。宗一郎が起きたら一番におはようを言えるように。




「あのさ、授業中なんだけど」


教室でうたた寝するはなし


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