短編[苦] | ナノ


▼ 実験体‐05

「ふぁっ…! あっ、あ…! ふうぅッ」

イッたばかりの私にとってはそのささやかな愛撫ですら全身を痺れさせるほどの刺激だった。

情欲の芯は擦り上げられるごとに血走り、ドクドクと熱く息づいてくる。

「っや、ぁ…! あぅッ! ふああぁあっ!」

器用に包皮をめくられ、剥き出しになった淫核。

今までの刺激で極限まで感度を引き上げられたそこに無数の触手が襲いかかり、私は背筋を突き抜けた快感に嬌声を上げた。

「ひあっ! あッああぁっ!ッやあああーーっ!」

細かくグリグリとつねられ押しつぶされ、絶え間なく送られてくる鋭い電流のような感覚に、欲望を急速に高められていく。

「あああっあ! やっあぁっ!いっ…ひゃうっいっちゃうぅ!ひあッああぁーーーっ!!」

快楽に心を奪われタガの取り払われた身体は、触手に導かれ情欲の極みへと上り詰めいき、

私は抵抗を一つもできないままもう何度目かもわからない絶頂を迎えてしまった。

「いやっ…やぁあっ!ひッ!あっあぅッああああーーっっ!!」

それでも体中を責める植物は動きを止めようとしない。

もうこれ以上の快感は受け止めきれないとジンジンと痺れ始めた肉芽を触手たちはさらに獰猛に弄くり回す。

雷のような強烈すぎる快楽が何度も脳天を突き抜け、もう何も考えることもできない。

再び訪れた果ての見えない快楽地獄に私は身を揺さぶって泣き喚くしかなかった。

「あああっ!あ…んッんぐ…!! んーーっ! んふッ…んんぅぅ!」

よだれをこぼしながら悲鳴を上げていた口に、一本のツタが不意を付いてねじ込んできた。

ツタは首を振っても全然離れようとせず、私の舌を無理やり起こして絡み付き、グチュグチュと口内中を掻き回し始める。

「んんんっ!んふ…っん!んうぅっ!」

それでもまだ責め足りないのか、今度は別のツタがへばりついている花をめくり愛液まみれの媚肉を押し撫でてきた。

…けれど、そのまま膣内を貫くのかと思いきやツタは膣口からさらに下へと移動していく。

「んぅっ!? んーっ!ん…ぐぐううっうぅーーっ!」

ツタが狙いを定めたのは、お尻の穴だった。

彼氏にすら触らせたことのないそこをつつかれ、熱に浮かされていた脳内が一気に冷め渡る。

「んんんーーっ!んぶっんんうぅ!うぅううっ!」

嫌だと絶叫したいけれど口を塞ぐツタのせいでくぐもった声しか出せない。

体は淫核や胸から流れてくる刺激を受け止めるのに精一杯で、とても抵抗する力なんて残っていない。

そんな無抵抗な蕾の内部へと、ツタは愛液をまとわせてゆっくりゆっくりと切っ先をうずめていく。

「んぐっう、ううぅ! むうぅーーっ!」

メリメリと穴をこじ開けられていく痛みと激しい異物感が全身を駆け巡る。

それと同時にゾワゾワッとしたこそばゆさが走り、私は背筋を震わせた。

「んっんん!んふ…っんんぅう!」

深く沈んだツタが腸壁をえぐりながら引き戻っていくと、こそばゆい感覚は一層強くなって体の芯までもを揺さぶった。

その感覚は次第に甘い痺れに変わり、ジワリジワリと嫌悪感を飲み込んでいく。

こんなのを快楽とは認めたくないと羞恥が働くけれど、貪欲に支配された身体は後ろの穴からなだれ込む疼きを受け取って狂喜する。

「んんんっ!んっんん…!…ッふ、うっうぅんんッ!」

硬く緊張していた肉壁がツタの強引な摩擦によって熱く溶かされていく。

慣れない快感はいつの間にか麻薬のように体も心も惑わし、私を淫欲の坩堝に突き落としていた。

「えゔぅっ!んっ!んふッ…!んんっんうぅーーっ!」

ツタが内部を掘り返すごとに総毛立つような痺れが背筋を突き抜け、呆気なく限界を迫られた私は弓なりに背中をそらせて全身を強ばらせた。

「んんぐっ…ふ…っあ!あッああ!ぃや…っお尻…ッ!おしりでイッちゃ…っうぅ!ヒッひあぁっ!ひゃううぅぅぅっっ!!」

いっぱいの唾液を引きながらツタが抜け出し、私は今まで塞がれていた喘ぎ声を全て吐き出すかのように鳴き喚いた。

そして、体がビクンッと大きく跳ね上がる共に全神経をゾワゾワと騒ぎ立てていた感覚が一気に甘やかで狂おしい法悦へと昇華していった。

「あっ、あ…ッぁ! あうっうぅう…ッ!」

麻痺したみたいに体中が痺れて、物音が遠くに聞こえる。

まるでソーダ水の中に突き落とされたみたいだ。

それでもツタは猛威を奮い続け、限界を超えた快楽が何度も脳天でバチバチと泡のように弾けていく。

そんな抱えきれない快感に震えている私の目の前に一本のツタが姿を見せた。

口内を荒らしていたツタだろうか。
切っ先がべとべとに濡れている。

けれどツタは私の口に埋まっていたときとはまるで違う形状になっていた。

太さは二周り以上も増し、表面にはボコボコとイボのようなものが出来ている。

ツタは私が存在を認識したのがわかったのか、ゆるりと視界からそれて下半身の方へと移動していった。

…これからツタが行き着く場所…。

想像するよりも先に、欲情しきった淫部がどくんと脈打って卑しい涎をこぼした。

「ああッ、ひぁ…っ! おっ…き…っあ! やああああぁああーーーッッ!!!」

期待するなんて、私はもう壊れちゃってるのかもしれない──

頭の片隅にそんな考えがよぎった瞬間、肉を裂かれるような衝撃が下半身全体に駆け渡り、私は肺の空気を全て吐き出すほどの絶叫を上げた。

「やあああーーっ!ひッうぅ!お…くっ奥っ…当たりすぎちゃ…っうあぁッ!あっ!やああぁッおまんこ擦れるうぅっ!!」

子宮を突き破る勢いで膣内を串刺すツタ。

それだけでも意識が吹っ飛んでしまいそうな刺激なのに、凶器と化したツタに同調してお尻に埋まっていたツタまでもが獰猛にナカを荒らし始めて、下半身は壮絶な圧迫感と狂悦で今にも砕けてしまいそうだ。

突起にへばりついている花も今まで以上に激しく暴れ、瀕死のクリが千切れるほどに引っ張られてグチュグチュとがむしゃらに揺さぶられる。

「あひ…ああぁッ!変に…へんになるぅっだめ…ああああッ!おしっこ出ちゃうっやぁああーっ!出るっイッちゃうぅ!あっああぁッおしっこ出うぅぅっ!!」

身体の中心に稲妻のような快感が突き抜けたと同時に、下腹部から勢いよく肉悦の飛沫が上がった。

息が止まるほどのとてつもない解放感に呑まれ、脳内が真っ白に染まり尽くす。

「んひっ!…んッあぅあ!あんんッ!あっああーーっ!らめ…っおかひく…なるうぅっ!おまんこっ壊れちゃうよぉぉっ!!」

それでもツタの猛撃は一向に衰えない。

快楽神経の崩壊した身体を徹底的に犯し舐り、数秒置きの間隔で絶頂へと引き連れていく。

そんな狂気の植物に囲まれている私も、いつしか自ら腰を振り上下の口からとめどなく涎をこぼして狂喜していた。

「いッああぁあ!!もっと…お…っ!もっとイジメてえっ!ああうあッあひ…っ!まっまたイッひゃう…!おしっこひてイッひゃ…ッあっああああああーーっ!!」

汗に濡れた髪を振り乱し、ガクガクと絶え間なく身体を痙攣させながら、私は完全に意識が途切れるまで極悦の波に溺れ悶え続けた。


・ ・ ・ ・ ・


蛍光灯の光を乱反射するほど真っ白に染め上げられた廊下を靴音を響かせながら男は歩く。

そしてたどり着いた一つの扉を、わざと音が立つように勢い良く開け放った。

「…っあ! あ、ああぁッ!」

閑散とした部屋の中でうずくまっていた一人の女性が、とろけた表情に驚きを交えて扉の方を見向く。

「…ツタはっ…あの植物はどこいっちゃったの!? ねぇっ!」

中に入ってきた男に駆け寄ると、女は必死の形相でそう訴えた。

「成長し尽くして枯れてしまいました」

「そんな…っやだあぁぁっ!もっと欲しいっあれじゃなきゃいやあっ!」

「安心して下さい。無事、種を採取することができましたよ。…ただ三つしか採ることが出来ませんでした。繁殖力をもっと改良する必要が」

男の話しが終わらぬ内に差し出された手のひらの上の種を全て奪い取ると、女は部屋の中心にある植木鉢にその種を埋め込み、植木鉢にまたがってあられもなく自らの淫部を指で掻き回し始めた。


「…どうやらこの植物には、精神が崩壊するほどの高い依存性があるようですね」

予想を超えた結果に嬉しそうに目を細めると、男は喘ぎ声と卑猥な水音の充満する部屋を出て、扉を固く閉ざした。



‐END‐



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