▼ 抵抗
初めの内は拘束した両手両足を揺さぶり暴言を叩いていた彼女も、今ではすっかり大人しくなった。
むき出しの白い肌に伝わせていく指を、重力に負け横に流れている乳房の先端のしこりにかすめるたび、彼女は噛み締めた唇から熱のこもった吐息を漏らす。
快楽に呑まれた声は決して出すまいという脆弱の虚勢。
彼女なりの精いっぱいの抵抗だろう。
涙ぐましいものだ。
その姿がさらにこちらの欲望を高めているとも知らず。
「だんだん湿り気を帯びてきたな」
M字に固定した脚を撫で、恥辱に歪んでいく彼女の表情を堪能しつつ、中心の柔らかな裂け目をそっと押し上げる。
「く、ふ……っ!」
ピチャリというかすかな水音。
それはこの静まり返った空間に嫌みなほど響いた。
耳を塞がない限り嫌でも耳につくだろう。
彼女は赤らめていた頬をますます紅潮させ、強張った体を小刻みに震わせる。
今ごろ心の内で己の淫乱さを呪っているに違いない。
……さて、そろそろひと思いにやってしまおうか。
決断したと同時に私は人差し指をゆっくりと快楽の坩堝の中へと沈めていった。
「ふ、あ! あ……っ、く……!」
突然侵入した私の指を拒絶するかのように内壁が伸縮しうねる。
それを押し分け付け根まで深々と差し込み、グルリと指を回転させ中を探る。
「んあっ! ぅ……っ!」
ある一カ所を突いた瞬間、彼女の体と声が跳ね上がった。
「ここがいいのか?」
「……っ、ふ、ぅ……!」
“違う”と首を振る彼女とは裏腹にそこをつつくたび奥から熱い蜜が溢れ、指に絡まっていく。
どんなに理性を強いたって快楽には勝てない。
どこまで虚勢を保てるか、じっくりと見物させてもらおう。
外まで漏れ出した愛液を絡ませ、さらに一本指を突き立てる。
「くっ……! ふ! ふぅぅっ」
まだ唇を噛み、声を我慢することはできるらしい。
沈んだ2本を滑らかにピストンさせ、一番感じる部分を時おり掻くように刺激する。
とめどなくこぼれる雫がローション代わりとなり、指はよりリズミカルに動き絶大な快感を運んでいく。
「んっ! んぅうっ、うぅーーっ!」
ずいぶんと頑張るな。
しかしいい加減甘い喘ぎも聞きたいものだ。
私は持て余していたもう片方の手を蜜壷の上で眠る淫核に伸ばした。
「ヒッ……!」
どこを弄られるか悟ったのか、彼女の体が途端に強張った。
薄い包皮を剥き、小さな快感の塊に爪を立て弾く。
「あうっ!」
叩き起こされたそこは赤く充血し、存在を膨らませていく。
蜜をからめ取り、塗りたくってやると指の動きに合わせて彼女の体がビクビクと跳ねた。
蜜の艶を帯びた淫核を摘み、左右に揺さぶる。
中のヒダは一層うねり指を締め上げる。
「ぅあっ! ああっ! いやぁ……っも……ああぁっ!」
「声を我慢するのはもう止めたのか?」
「……っ! ぐ、うっ、うあ! あうぅっ」
なんとか噛み締めようと唇はわななくが、込み上がる淫情を制御しきれず、欲にまみれた声が絶えず口を割って飛び出す。
唯一、まどろんだ瞳だけは涙を滲ませ抵抗の色を見せていた。
「淫乱女を堕とすほど簡単なものはないな」
「ヒッ、ひぅ……っ! あうぁあッ」
優越感に自然と口元が緩む。
さあ、ラストスパートだ。
淫核を揺する動きに力を加え、指を3本に増やし激しく中を突き上げ掻き乱す。
「いやっ! いやああぁあっ! あっ、あっ! ああぁーーっ」
ドクンと波打つ身体。
尿のような大量の飛沫と共に、中が限界まで収縮する。
「……っは……ぁ……っ」
気だるく宙の一点を見つめたまま、痙攣を繰り返す彼女の頬には澄んだ涙が伝っていた。
私は抵抗を尽くしたその証をそっと舐めとり、彼女に微笑みかけた。
楽しみは、まだまだこれからだよ。