短編[甘] | ナノ


▼ 操られ人形2‐03

表面をそっと撫で、ヒクッと身震いした裂け目を割り開く。

曝された粘膜は真っ赤に熟れ、愛液を吐露する蕾は獲物を誘い入れるように蠢いていた。

「はっ、恥ずかしいからあんまり見ないで…っ」

あまりに淫靡なその眺めに心奪われていると、上から美園さんの切羽詰まった声が降ってきた。

「ごめん、あんまり綺麗だから見とれてた」

「綺麗なんかじゃないよ…!」

上手い言葉も思いつかず素直に思ったままを口にすると美園さんはますます恥ずかしそうにして腰元を捩らせた。

「美園さんのここが、こんなにいやらしい形してるなんて想像もつかなかった。ドロドロに濡れて、ずっと物欲しそうに動いてて…凄くやらしいよ」

「やだっ…そんなこと言わないでよ…っ!」

「ほらまた溢れてきた」

「やっ、あ!!」

蕾からこぼれた蜜を指ですくい取ると、美園さんの体が大げさなくらいビクンッと跳ね上がった。

濡れた指先を舐め取り、今度は股間に顔を寄せて直接舌で熱い体液を味わう。

「ふぁ、あっ、あぁっ!」

脳内に美園さんの心地よい声を響かせながら、今度は舌先を尖らせえぐるように往復させる。

すると蜜が洪水のようにドッと溢れ出した。

俺は無意識の内に蕾に唇を当てて、ジュルジュルとわざと音を立てながら全ての愛液を吸い取る。

「やあぁっ! あっ、だめぇ…っ!」

激しくよじる脚を押さえ無我夢中で美園さんの強欲をむしゃぶりつくす。

快感によって目覚め、自ら皮を脱いだ淫核を舌ですくって唇で挟むと、途端に美園さんの全身が小刻みな痙攣を始めた。

「そっ、そこだめっ…あッあぁああ!」

喘ぎ声が悲鳴に変わり、教室内に響き渡る。

神経が密集している無防備な部分を弄られる衝撃がどれほどのものなのか、男の僕には想像もつかない。

だから容赦なく徹底的に、そこをキツく吸い上げ舌でこねくり回す。

「あっ、やあああーーっ!! だめっ、イッちゃう!」

その声を聞き、絶頂へとたたみかけるように小さな淫核を乱暴に揺さぶる。

そしてとうとう限界を迎えた美園さんが両脚を硬く強張らせて激しく身震いした。

「あああっ! も…っ、だめ…ぇっ! あっ、ふああっ! あああああっ!!」

ドクンッと媚肉全体が大きく波打つ。

…美園さんをイかせることができた。人形の力じゃなく、この俺の手で。

優越感や支配欲が今までにないぐらい漲って全身を昂ぶらせる。

理性なんてとっくにぶっ壊れて、俺は美園さんをもっともっと狂わせたいという一心で休む間もなく再び舌を蠢かせた。

「んん…っ、あ、あ…っ! だ、め…っあ! ああぁッ!」

イッた直後に加えてメンタームの効果まで続いている媚肉に与えられる刺激はきっと我慢しがたいほど強烈なものだろう。

それを察したうえで非情なまでに猛威を奮わせて舌全体で蕾を襲い、膨張した突起をさらに吸い弄ぶ。

「…っはぁ、美園さん、気持ちい…っ?」

「んっ、うぅ…っ! い、い…っ、感じすぎて…っおかしくなっちゃ…ッふあ!あぁあっ」

「と、止まんないね? ここ」

「ひあ…!あっ、あっ、はうぅぅっ!」

止めどなく蜜を潤し続ける蕾は、軽く力を入れただけで容易く俺の指を根元まで呑み込んでいく。

中は指が蕩けそうなほど熱く熟れていた。

美園さんの体温に酔いしれながら、うねる肉壁を押し広げるように指全体を突き動かす。

「やあぁあっ!イッちゃう…っあぁ!あああぁッ」

指をもう一本追加して膣内を掻き乱すと、波のような伸縮と共に透明の液体が勢い良く吹き上がった。

二度目の絶頂を迎えた秘部は何度も痙攣を繰り返し、俺の指をギューッと締め付ける。

美園さんはもはや完全に力尽きて自分の体を支えることすらままならない様子だ。髪は乱れて、切れ切れの息を吐く口の端からは唾液が伝っている。

…でも、それでもまだ俺の欲望は燃え尽きない。

俺はゴクリと唾を飲み込み、めまいの起こりそうな荒い欲情を指に込めて膣内に更なる刺激を与えていく。

「ふあぁ…ッ! あ、あっ、ああぁぁっ」

奥の肉壁をグリグリと押し上げながら、舌で陰核を摩擦して軽く歯を立てる。

すると、暴走する俺を止めようと美園さんの手が俺の肩をギュッと掴んだ。

「もっ…、もぅ、挿れて…っ」

「…えっ?」

予想外の言葉に思わず身体が固まる。

「我慢、できなぃ…っお願い…!」

確かにそう口にした美園さんは顔をクシャクシャにして目隠し越しに真っ直ぐ俺を見下ろしていた。

「なっ…、そっ、それ、…ぼっ…僕に言ってんの?」

急激に喉が渇いて、発した声は情けなくかすれていた。

美園さんは鼻をすすりながらコクリと頷く。

「……っ」

俺は恐る恐る肩に置かれていた手を取り、指の間に自分の指を差し入れて掴む。

と同時に美園さんの体がビクッと跳ね上がった。

「へっ? …今、感じた? 手握っただけで」

「…ふ…、ぅ…っ」

唇を噛み、美園さんは顔を背ける。だけどビクビクと震える腕がその答えを示していた。

ああもう、なんでそんなに可愛いんだよ…っ!

込み上がる熱情に焚き付けられて俺はおもむろに立ち上がる。

そして彼女の視界を遮っているネクタイに手をかけた。


…もしかしたら、美園さんは俺を受け入れてくれるかもしれない。

電話越しじゃなくても生身の俺をここまで求めてくれた。

だからきっと…正体を知っても、美園さんなら……


淡い期待に心が揺らぎ、ネクタイを掴む手にだんだんと力が加わっていく。

──とそのとき、隣りの席に置いてあった立て鏡が真っ白になっていた俺の意識を捕えた。

「っあ…」

地味で軟弱で薄気味悪い男。

鏡の中の自分と目が合った瞬間、一気に頭の中が冷えて激しい自己嫌悪が襲いかかってきた。

馬鹿か俺は。美園さんがこんな俺を認めてくれるわけがないじゃないか。

欲情に流されて愚かな期待を抱いてしまった自分を罵り、…そして気が付くと俺は繋いでいた美園さんの手を振り払って教室から逃げ出していた。


廊下を全速力で走って足音が美園さんに届かなくなるぐらい遠くまで来たところで呼吸を落ち着かせながら携帯を取り出す。

…鏡があって良かった。危うく全てを失ってしまうとこだった。

「…はぁ…っ」

その場にズルズルとへたり込んで通話ボタンを押す。

電話は数秒も経たずに繋がった。

『もしもし…っ? ごめんなさい、わがまま言って…』

「ふふっ、まさか挿れて欲しいなんて言うとは思ってなかったよ。美園さんってほんとに淫乱なんだね」

『…嫌いになった…?』

「まさか。本当は挿れてあげたかったけどさ…、ほら、授業があと10分くらいで終わっちゃうから。オアズケってことで。家に帰ったらまた思う存分遊んであげるよ」

自分でも驚くほど電話だとさっきとは打って変わってスラスラと言葉を発することができた。

…やっぱり、俺はこの距離感でなきゃダメなんだ。下手に近づいたらどんどんボロが出てしまう。

美園さんは俺のことは何も知らないままでいい。

もう直接触れたいなんて望まない。この関係を壊したくない。

声だけの絶対的な存在となって彼女を支配し、自分だけの人形にして操り続ける。


そう胸に刻み込んで、俺は糸を切るようにプツリと電話を切った。


‐END‐



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