▼ 操られ人形2‐02
欲望と理性の泥沼に埋もれて悶々としていると、美園さんを保健室まで送って行った子が教室に戻ってきた。
…美園さんは今頃どうしているだろう。
静かな保健室のベッドの中、独りで絶頂の余韻に浸っているのかな。
そんな姿を想像すると余計に体中の血が熱くなった。
その衝動に押されるがまま俺はこっそりと携帯を取り出して美園さんにメールを打った。
『気持ちよかった?』
少しの間をおいて受信ランプが点滅する。
『ジンジンするのがずっとつづいてておかしくなりそうです』
…思っていた以上に軟膏の効果が長続きしているらしい。
それもそうか。塗ったのは人形の体だ。美園さんがどんなに身をよじっても汗や愛液を滲ませても軟膏が拭い去られることはない。
『もうやめて欲しい? それとも、もっと気持ちよくなりたい?』
『もっと気持ちよくなりたいです』
『じゃあオナニーでもしてれば?』
『今日はこれでおわり?』
『なに? どうして欲しいの?』
『もっと、いじめてください』
その返信を見た瞬間、周りの景色も音も何も感じられなくなるくらい頭の中が真っ白に染まった。
わざと試すような質問をしたり突き放したりしてみても、それでも美園さんは俺を求めてくれた。この俺を。
はやる呼吸を抑えて震える手でなんとか文字を打ち込む。
『じゃあ次の授業が始まったら教室に来て』
…次の教科は音楽。この教室には誰もいなくなる。
わかりました。という返答を確認して携帯を手放す。その手は自分でも笑いたくなるくらい汗ばんで震えていた。
・ ・ ・ ・ ・
チャイムの響く廊下の片隅に身を潜め、目を閉じて周りの音に意識を集中させる。
隣りのクラスもどこかの教室へ移動したらしい。チャイムが終わると辺りは物悲しさを覚えるほどシンと静まり返った。
そんな静寂の中、遠くから流れてくる小さな足音。
一歩一歩踏みしめるような弱々しいその音はだんだんと近づいてきて、そしてガラガラ…と遠慮がちにドアを開ける音に変わった。
ドアの閉まる音を聞き終え、手にしていた携帯の通話ボタンを押す。
──プルルルル、プルル…ッ
『…もしもし…っ』
「教室、着いた?」
『うん…』
「じゃあ椅子に座って目を閉じてて。絶対に目開けるなよ」
『…はい…』
電話を切って教室に向かい、ドアの窓から中の様子を伺う。
美園さんは不安げに背筋を丸めて自分の席に座っていた。
後ろ姿だから目を閉じているかどうかはわからない。でも美園さんは俺の言うことを素直に聞いてくれているはず。
恐る恐るドアを開けて中に入ると、途端に心臓が荒く脈打ち始めた。
…美園さんと二人っきり。
夢にまで見たシチュエーションに否が応でも胸の奥が騒いで全身が震え上がってしまう。
美園さんとの距離を詰めていくとますます心臓は鼓動を強めていった。
ネクタイを解く手が情けないぐらい震える。
落ち着けよ俺っ。と自分を奮い立たせて美園さんの後ろ髪に手を伸ばす。
「ひゃっ…!?」
美園さんの髪はビックリするほどサラサラできめ細かかった。
その感触に息を呑みながらもなんとかネクタイを結んでいく。
…よし、目隠しはできた。これで俺の姿を見られる心配はない。
ようやく見ることのできた美園さんの顔は、トマトみたいに真っ赤に染まっていた。
呼吸もすでに早くなっていて、身体のあちこちが小刻みに痙攣している。
“発情しすぎ。そんなに苛めて欲しかったんだ?”
“保健室で何回オナニーしたの?”
“とりあえず服全部脱ごうか”
「……っ」
頭の中では色んな言葉が湧いてくるのに、喉が委縮して声が出てこない。
俺がずっと黙っているせいで美園さんはさらに身を小さくすくめてモジモジし始める。
…早くなんか言わないと…早く…っ
「どっ、どうして、ほしい…ですか…っ?」
「へっ…?」
…うわ、なにどもってんだ俺…! なんで敬語になるんだよ…っ!
「いや、えっと…っ」
「…さ…触って欲しい…」
俺がおかしな言い回しをしたにも関わらず美園さんは恥じらいながらも正直にそう答えてくれた。
…でも、触って欲しいってどこをだろう。
胸? 背中? いきなりアソコ?
…ああクソッ…なんなんだよ俺は…!
人形相手にだったらスムーズにできるのに…っ
「…体が、ずっと熱くて…、自分で触っても全然足りないの…っ」
まごついていると美園さんがか細い声でそう言い、自らブラウスの裾を掴んだ。
そして、焦らしているかのようにゆっくりと引き上がり、艶やかな肌が姿を現す。
白い生地に水色の花柄の刺繍。
美園さんらしい可愛くて清楚な雰囲気の下着だ。
背中に手を回してブラのホックを外そうとしている間も俺は目の前で起こっている光景に頭が追い付かず、ただ馬鹿みたいに突っ立っていることしかできなかった。
ホックが外された途端、二つの大きな膨らみがその重みを主張するように揺れる。
下着の締め付けから解放されたからか、美園さんからハァッと艶めかしい溜息がこぼれた。
「…っ…、」
乳房を覆う下着に手を添えたところで美園さんの動きが急にぎこちなくなる。
…さすがに胸を自らの手で曝け出すのは抵抗があるのだろう。
そう理解すると同時に固まっていた俺の足がようやく動き出した。
吸い寄せられるように、無意識のまま床に膝をついて両手を差し伸ばす。
「ん…っ!」
そっとブラを上げると、身じろいだ美園さんに合わせて形の整った乳房がフルッとこぼれ落ちた。
桃色に色づいた先端は固く尖っている。
あまりの興奮に瞬きすることも忘れて俺は視界いっぱいに広がる二つの柔房を鷲掴んだ。
「ふ、ぁッ! ゃ…っ!」
どこまでも柔らかな肌に指を食い込ませて自在に形を歪ませ感触を堪能する。
円を描くように何度も揉み上げて、そして勃起したしこりを指で摘まむ。
グミの弾力に似たそれをグリグリと弄ぶと、美園さんが体をビクつかせながら甲高い声を跳ね上がらせた。
「…っ、気、持ちいい…?」
「んんっ…! ん、ふ…ッぅん…!」
美園さんは夢中で首を縦に振って俺の問いに答える。
…足の先から頭の天辺まで、全身が異常なほど熱い。脳が焼き切れそうだ。
「ッんあ!」
もっと俺の手で美園さんを感じさせたい。
そんな衝動に突き動かされて、むしゃぶりつくように先端を口に含む。
固くなった実を舌で舐め上げると美園さんは一段と高い鳴き声を上げて背中を反らせた。
「や…っ、やあぁ…っ!」
チロチロと突起を舌先でこねくり回しながら反対側も指で弄び、強弱をつけて執拗に刺激を送り込む。
すると美園さんの脚が落ち着きなく身動ぎ始めた。
彼女が欲していることを本能で感じ取り、俺はその白い太ももに手を乗せて、吸い付くような滑らかさを味わいながら徐々にスカートの中へと移動させていく。
「…こっ、こっちも、舐めて欲しい?」
美園さんは喘ぎ混じりに「うん」と頷いた。
「じゃあ…っ、パンツ脱いで、机の上に座って」
俺の指示に従い、ブラと同じデザインのパンツを脱いで丁寧にたたんで椅子に置く。
目隠しのせいで動きのおぼつかない美園さんの体を支えて机の上に乗せ、俺はためらいがちに閉ざしている脚を掴んで強引に割り開いた。
「やあ…っ!」
美園さんはとっさに身を屈めて両手で丸出しになった股間を隠す。
細い指の隙間からは蜂蜜を注いだように艶めいている淫らなピンク色の割れ目が覗いていた。
「ちゃんと見せて」
「…ゃ…っ」
手を退かせて露わになった秘部をジックリと観察する。
溢れ出ている蜜が薄い花びらを淫猥に湿らせ、早くも机にまで滴り落ちていた。
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