短編[甘] | ナノ


▼ お兄ちゃんの玩具2‐02


・ ・ ・ ・ ・


──ピピピピッ

「…36.8℃…。ちょっと熱っぽいわね」

「…はい」

「とりあえず休んで、良くなりそうもなかったら早退しなさい」

「はい」

保健室の真っ白なベッドに横になる。

ヒンヤリとした清潔な布団に包まれて凄く心地いい。


少しして、先生が用事があるからと言って保健室を出て行った。

…途端に静かになる室内。

コチコチとリズムを刻む時計の音を聞きながら私は深く溜息を吐いた。

胸を押さえながら仰向けから横向きに寝返りを打って目を閉じる。

時計に合わせてドクン、ドクンと速く大きく脈打つ心臓。

胸の刺激のせいで私の体はおかしくなりっぱなしだった。

布団の中に潜り、胎児のように体を縮こまらせて私はまた溜息を吐く。

アソコが疼いてしょうがない…。

恐る恐る手を伸ばすとそこは異様なほど熱を持って、指先で軽く触れただけでもわかるくらい下着を潤わせていた。

…どうしよう、オナニーしちゃおうかな…。

ここは学校なのに…という後ろめたさを感じながらも下着に添えた指に少しずつ力を込めていく。

「んっ…!」

割れ目をなぞって奥に潜んでいる小さなしこりに触れた瞬間一気に身体の芯が燃え盛った。

背徳感なんてあっという間に捨て去って、私は更に指に力を加えて秘部に快感を与える。

そうしてふしだらな行為に夢中になっていると突然、ガラガラ…ッと控えめにドアを開ける音が聞こえてきた。

私は思わずビクッと飛び跳ねながらも慌てて手を股からどかして息を押し殺した。


…コツ…コツ…

足音がだんだん私の方へ近付いてくる。

──誰…? 先生?


「観月?」

私の名を呼ぶ若い男の声。

「だっ、誰?!」

「…やっと2人きりになれた」

仕切りのカーテンを開けて1人の男子生徒が姿を見せる。

「二宮…っ?」

現れたのは私と同じクラスの二宮だった。

なんで私の所に…?

二宮とは今までまともに会話をしたことなんてないし、接点も何もない。

意外を通り越したまさかの訪問者に私は目を点にして固まり尽くした。

「ずっと、観月と2人だけで話したいって思ってたんだよね」

……え?

なにそれ、まさか告白っ…?!

思いもよらない展開にドキドキしながら次の言葉を待っていると、二宮はポケットから携帯を取り出していじり始めた。

「…これ、観月だろ?」

突き付けられた携帯の画面

そこにはコンビニでエロ本を買っている私の姿が写っていた。

「……っあ…!」

あのときのだ…!

写真を撮られてたなんて気付きもしなかった…っ。

「まさか観月がこんな変態だったなんてねぇ〜」

「…っ、それで私を揺するつもり?」

睨み付けると二宮はニタリと薄気味悪い笑みを浮かべた。

そして間髪入れず、獲物を捕らえる獣のように勢い良く私の上にのしかかってきた。

「や…っ!! 何す…っ」

「写メばらまかれたくねぇだろ? おとなしくしろよ」

「いやぁっ!」

二宮は息を荒くして私の胸を強引に揉みしだく。

「あ? 何、お前ノーブラ?」

「っん…!触んない…で…っ!」

「とか言って、声エロくなってんじゃん」

ますます顔を醜く歪めて笑う二宮。

「ほんとはこーゆーことされたかったんだろ?」

「やだっ! ぃや…っあ!」

敏感になってる胸の先の部分に手が当たるたび感情とは裏腹に快感が走ってしまう。

身体を震わせると二宮は余計に力を入れて鷲掴んだ胸を捏ね始めた。

己の欲望を押し付けるだけの乱暴な手つきに、嫌悪感が激しく込み上がって涙が溢れる。

…こんなの嫌だ。誰か助けて…っ!

そう願う私の脳裏に映っていたのは、奇しくもあのクソ変態野郎のお兄ちゃんの姿だった。

「暴れんなって、気持ちよくしてやるからさぁ」

「やっ…触んな! 気持ち悪いっ」

いよいよ二宮が制服を脱がしにかかった。

なにがなんでもお兄ちゃんに細工された胸を見られるわけにはいかないと、私は必死で身をよじって抵抗を続ける。

「言うこと聞けよ!このメス豚っ!」

「はぁっ!?」

メス豚…って、リアルでそういうこと言うなよ!キモい!!

こんな奴にいいようにされてたまるかとますます反抗心に火がついて両手足を力いっぱい振り乱す。

「写メばらまいてもいいのかよっ? 手どけ……っ」

「……っ?」

突然、二宮の動きがピタリと止まる。

そして何も言わず唐突にベッドから降りたかと思うと一目散にカーテンの外へと出て行った。


──ガラッ

「…あら、どうしたの?」

保健の先生の落ち着いた声が殺伐とした室内に流れる。


…良かった…助かった…っ

そう思うと張り詰めていた緊張が一気に切れて全身から力が抜けていった。

「あっ、いや、その…怪我して、絆創膏貰いに来ただけです…っ」

二宮はわざとらしい言い訳を吐くなり足早に保健室を出て逃げ去って行った。

緊張から解かれた代わりに後から後からどんどん恐怖心が湧き起こって胸を締め付ける。

私はすがるように布団をぎゅっと掴んでドクドクと激しく鼓動する胸を押さえた。

「……はぁ…っ」

早く気持ちを落ち着かせようと深く息を吐き出して、縮こまらせていた脚をゆるりと伸ばす。

すると、コン と何か固い物に触れた。

見るとそこには二宮の携帯が落ちていた。

すかさず手にとって、画面に映っている私の写メを削除する。

…良かった。これでもう脅される心配はなくなった。

二宮が間抜けだったことに感謝しつつ他にも撮られた写メはないかとフォルダをチェックしてみると、どこのサイトから拾ってきたかSMチックなどぎついアダルト画像がビッシリと詰まっていた。

…救いようのない奴…。


「どぉー? 体調は?」

うんざりと顔をしかめていると、先生の声が近付いてきた。

私はコホッと小さく咳払いをして「あんまり良くなってないです…」と弱々しく答える。

「あー…、さっきより顔色悪くなってるね」

私の顔を見ると先生は心配そうにそう言った。

どうやら今の私は端から見たら相当具合が悪そうに見えるらしい。

確かに精神的にも肉体的にも疲れ果てて、これからまた教室に戻って勉強しようという気力はとてもじゃないけど残っていない。

「早退していいですか…?」

そう告げると先生はあっさりと承諾してくれて、私はフラフラとおぼつかない足取りで身支度を済ませて学校を後にした。


・ ・ ・ ・ ・


家族は全員仕事に出ていて家の中は怖いくらいに静まり返っていた。

部屋に入って鞄を適当に投げ捨てる。

そして崩れるようにベッドに座り込んで、せっかちにブラウスのボタンを外して胸を曝け出した。

糸で縛られて動くたびに布と擦れていた乳首は少し赤く腫れている。

ジンジンと途切れることなく体を蝕み続ける甘痒い痺れ。

その刺激のせいで私の中の欲情は限界まで熱く煮詰まっていた。

「…っあ!!」

先端にそっと触れると一段と感覚を増して痺れが全身に駆け巡った。

「っん、ぅう…!」

摘むと無意識に体が震えて抑えきれず声が漏れる。

私は壁に寄りかかって目を閉じて、甘い快楽に意識を委ねた。

何も考えられなくなるくらい堕ちてしまいたい……

ドロドロと溢れる欲望に突き動かされるがまま私は夢中で胸を愛撫した。


「盛り上がってますねぇ」

「──っ!?」

突如聞こえてきた聞き慣れた声。

溶けかけていた頭の中が一気に凍り付いて体が硬直する。


「ごめん。また邪魔しちゃった」

私のあからさまな反応が面白かったのか、お兄ちゃんはクスクスと笑いながら目の前へと歩み寄ってくる。

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