▼ お兄ちゃんの玩具‐04
「ほら、ちゃんと自分で動かして」
「やっ…あ、うぅうっ!」
払われた手をまたバイブの持ち手に誘導されても、振動に耐えるので精一杯な私はそのままどうすることもできずただ体のあちこちを震わせ続ける。
「どうしたの? あのときは部屋中に音が響くくらいジュッポジュッポやってたのに」
「…っん…!ふ、ぅぅぅう…っ!」
意地悪な挑発のせいでお兄ちゃんにオナニーを見られたときのことが鮮明に蘇って、渦巻いていた羞恥心が余計に膨れ上がる。
もし今これを動かしたら…これ以上快楽に呑み込まれてしまったら…、完全にタガが外れて本当にあのときみたいに周りがわからなくなるくらい乱れきってしまうかもしれない。
あんな痴態はもう晒したくない。
溶け尽きようとしている脳内に歯止めをかけ、私は頑なに唇を噛み締めて声と快感を押し殺した。
「…照れ屋さんだなぁ奈津は。じゃあお兄ちゃんが手伝ってあげますか」
「へっ…? あっ」
私の背後へと移動するとお兄ちゃんは後ろから私をぎゅっと抱きしめた。
「目、閉じて」
「ひゃっ…!?」
大きな手に両目を覆われて途端に視界が真っ暗になる。
不安とも安堵ともつかない曖昧な心地に胸の奥が震え、視覚を奪われたぶん他の感覚がどんどん研ぎ澄まされていく。
バイブの振動音も私を包むお兄ちゃんの体温もそして快感も、全部が色濃くなって、私を狂わせようと責め立てる。
「ひあっ!あぁっ…!」
不意に耳の先に走った熱い感触。
お兄ちゃんの舌に耳をくすぐられ、そのゾクゾクとした刺激に私は声を我慢しきれず甘ったるい鳴き声を漏らした。
「んっ…ふ…! ぁッ!いゃっ…!」
耳を責めながらお兄ちゃんは私のシャツを捲って片手で器用にホックを外してブラも上にたくし上げた。
見えなくても曝け出された胸の先端がどれだけ恥ずかしく起き上ってしまっているかわかる。
そこは“触って欲しい”とねだるようにジンジンと熱く焦がれていた。
「…っん…! あっ、んん…!」
指先が火照って汗ばんだ肌の上を滑り、胸の膨らみをクルクルと辿っていく。
そしてぎゅうっと乳房を掴むと、柔らかさを楽しむように揉み始めた。
けれど中心にある突起には決して触れようとしてくれない。
わざとそうしているのはわかってる。
けど私は我慢しきれず、腰をもじもじとくねらせて欲求を訴えた。
「乳首も触って欲しい?」
「……っ」
「バイブ動かしたら触ってあげる」
耳を舐めながらお兄ちゃんはそう意地悪く囁く。
視界を塞がれて研ぎ澄まされた快感に支配された私にはもう理性なんてほとんど残っていなかった。
どんどん膨らんでいく欲情に突き動かされるがまま、私はバイブを持つ手に力を込める。
「あぁっ…! ふぁッ、んん…っ!」
グジュッと粘着質な音を弾かせながらバイブが内壁をグリグリとえぐっては奥を突き上げる。
手を速く動かせば動かすほど狂おしい快感が湧き起こり、私はそれを絶やさないようになりふり構わずバイブを何度も出し入れさせた。
「やっと本調子になった」
「んあっ!ああぁっ…!」
乳首を摘ままれて途端に甘い電流が体中を駆け巡る。
軽い痛みが走るくらい強くつねられても、私の身体はそれを快感に変換してしまうくらい発情しきっていた。
「この前は俺が邪魔しちゃったせいでイけなかったもんねー。そのときの分も含めて、思いっきりイッてみせてよ」
「ふあぁっ!あっあぁ…ッ!」
鼓膜に直接注がれる声に体の芯を震わせながら無我夢中で膣内を掻き荒す。
完全に蕩けきった媚肉はとっくに絶頂の寸前にまで到達していた。
最奥をあと一突きでもすればあっという間にイクことができるだろう。
…でも、淫欲にまみれた私の心はもうこの玩具なんかじゃ満足しきれなくなってしまっていた。
「そろそろイけそう?」
「んぁっ…!んっ…うぅぅ…っ!」
お兄ちゃんの問いかけに弱く首を横に振る。
…バイブじゃなくて、私が欲しいのは…
「ん?どーしたの?」
「…バッ、バイブじゃ、なくてっ…、お兄ちゃんので、イきたい…っ!」
喘ぎ混じりに本能のままを口にすると、私の腰元に当たっていたお兄ちゃんのモノがピクンと呼応したのがわかった。
けど反応したのはそれっきり。お兄ちゃんは何も返事を返さないどころかぴたりと動きを止めてしまった。
「お兄ちゃん…っ?」
「今こっち向いちゃダメ」
「ぅわっ!?」
不安に思ってお兄ちゃんの顔を見ようとすると、頭を掴まれて強引に正面を向かされた。
泣いたり照れたりして私に顔を見られるのが恥ずかしいときにときにとる行動と全く同じだ。
「…妹にねだられて興奮したの?…いたっ!」
散々意地悪された仕返しに挑発的な言葉で突いてみると、ペンッと頭を軽く叩かれた。
「奈津が淫乱すぎてビックリしただけですー」
「そっ、それは…だって、お兄ちゃんのせいだもんっ…! こんなことされたら欲しくなるに決まってるじゃん!」
「全く…。親の顔が見てみたいわ」
「あんたに言われたくないっ」
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