▼ お兄ちゃんの玩具‐03
「ローターももっと強くしよっか」
「だめぇっ…!そんな…っ、ゃ…ッひあぁあっ!」
今以上の刺激を受けることに戸惑いを感じて無意識に腰を引こうとした瞬間、電流のような強い衝撃が下腹部で弾けた。
「あああぁっ!いやっあ、ああぁあ!」
耳障りな高い振動音を上げて、ローターが腫れた陰核を執拗に揺さぶり立てる。
その恐ろしいほどの痺れに私は反らせた喉からあられもない声を響かせて、疼きの止まらない腰元をわななかせた。
「おっ、中がキツくなった。もうイきそ?」
限界に近づいて脈打つ内壁を、お兄ちゃんの指が突き上げては摩擦して更に追い込みをかけていく。
玩具の振動と指の動きに弄ばれ、なす術もなく快楽の頂点に達せられた私はお兄ちゃんの問いかけに必死に何度もコクコクと頷いた。
「あッ、ぁああっ!イっちゃう…っふあぁっああぁあ!」
ビクンッと全身が震え、そしてこれまで散々溜められ続けていた熱い情欲が一気に解放されていく。
ようやく味わうことのできた甘美な法悦感。
その蕩けるような心地に酔いしれ、チカチカと瞬く瞳からは悦びの涙がこぼれ落ちた。
「…はいっ。奈津ちゃんのはじめてのおつかい、これにて無事終了ー」
「んぁっ…!ぁ、ふぅ…っ」
ヒクつく膣内から指が引き抜かれてスイッチを切ったローターの接着を剥されていく。
長い間振動を与えられ続けていた陰核はローターが外されてもジンジンと微弱の電流が流されているような感覚が残っていた。
「ちゃんとおつかいができたお利口さんな奈津には、素敵なご褒美があります」
「……っ?」
“ご褒美”という言葉に嫌な予感しかしない私は反射的に眉を潜める。
…けれど、どこか胸の片隅では、ふしだらな期待を膨らませてしまっていた。
「じゃじゃーん」
そう言ってクッションの下から取り出したのは、あの日お兄ちゃんに没収されたバイブだった。
途端にそれが膣内に入った時の感触がよみがえって、充血しきった秘部がズクズクと疼き始める。
けれどそんな欲情を悟られまいと、私はうんざりとした表情を繕ってみせた。
「あれ? 嬉しくない?」
「当たり前でしょっ…!」
「とか言いつつおまんこはきゅんきゅんしてるくせに」
「しっ、してないっ!」
声を荒げて否定する私を「はいはいそーですか」と適当にあしらいながらお兄ちゃんはバイブにご丁寧にコンドームを被せ始めた。
「はい」
桃色が薄緑のゴムに覆われて奇妙な色合いになったバイブを私の目の前に突き出してニッコリと微笑むお兄ちゃん。
「…は?」
「どうぞ」
「…どうぞ、って…何?」
「ご褒美に今だけこのバイブの使用を許可してあげるから、心行くまでズボズボしたまえよ」
「…っはあ!?」
てっきりそのままお兄ちゃんがバイブを使って私を責めるのかと思っていた私は思わず驚愕の声を漏らした。
「なんでそんなことっ…」
「バイブ使って思いっきりオナニーしたいでしょ?」
「したくない!」
「意地っ張りだなー奈津は」
「意地なんか張ってない!絶対やんないから!」
「…じゃあ、これは命令」
「っ…!」
「今すぐ、これを使ってオナニーしろ」
固まる私に無理やりバイブを持たせて、お兄ちゃんはますます笑みを歪める。
「俺の命令は絶対、だよね?」
抗いようのない言葉に私はどうすることもできなかった。
手にしたバイブを壊れんばかりにギュッと握りしめて、怒りと羞恥で震える目でお兄ちゃんを睨みつける。
「…っ、あんたなんか、大っ嫌い!」
「お兄ちゃんのことは嫌いになっても、バイブのことは嫌いにならないで下さい!」
「死ね!!」
暴言を吐き捨てて投げやりに体を起こす。
そしてなるべく股間を見られないように脚を閉じ気味にしながら、ぎこちなくバイブの先端を割れ目にあてがった。
…顔を反らしていてもヒシヒシと感じるお兄ちゃんの視線。
バイブを軽く押し込んだけでクチュリと水音を立てるくらい濡れそぼった秘部、恥ずかしさに歪む顔、熱く火照った身体…
そんな醜態の全部をまざまざと見られてしまっているということに、泣き出したくなるくらいの羞恥が込み上がってバイブを持つ手を震わせる。
…でも逃げることはできない。
お兄ちゃんが満足するまで、私はいいなりのオモチャになるしかないんだ。
「くっ…ぅ、んんぅっ…!」
尻込みする気持ちを掻き消すように一息に淫具を秘部に埋め込んでいく。
だらしなく溢れる愛液とゴムに付いている潤滑油のおかげで固い棒は難なく膣内の奥深くへと突き進んでいった。
たちまち激しい痺れが下腹部から体中へ駆け抜けて、冷めていた脳内が再び熱く蕩け始める。
恥辱と快感の狭間で揺れながら私は甘い声がこぼれ出ないようにキツく唇を噛んだ。
「バイブのスイッチ入れて」
「…っ…!」
疼きに浸食されて白く霞みだした意識をお兄ちゃんの声が冷たく撫でる。
この玩具の振動が自身にどれだけの快感をもたらすかは十分に知っていた。
…入れただけでこんなにいっぱいいっぱいになってるのに、これ以上なんて…っ。
イったばかりだからか、久しぶりの挿入のせいか、身体はいつもより何倍も過敏になっていた。
バイブが駆動したときの刺激を想像するだけでも肉壁がビクビクとうねって悶えだす。
それでもお兄ちゃんに逆らうわけにはいかない私は、スイッチに指を添え、遠慮がちにゆっくりと指先に力を込めていった。
──…ブブブブ…ッ
「ひぅっ!…っん、んぅぅぅっ…!」
こもった唸り声を上げてバイブが熟れた膣内を揺さぶり始める。
下腹部全体に機械的な痺れが駆け巡り、そのどうしようもない快感にますます体内の温度が上がって頭の中が溶かされていく。
「そんな弱いのじゃダメ。最大にして」
「…っえ…? …そっそんなの、むりっ…!」
「これも命令」
そう言われても今の状態でもう限界だった私は「これ以上なんて無理」と涙ながらに訴えた。
…けれど、必死にお願いしたところでこの悪魔のような男が許してくれるわけがなく…
バイブに添えていた手を払われ、そしてお兄ちゃんの指がスイッチを捕えた。
「あのときみたいに、めちゃくちゃに乱れてみせてよ」
「ぃや…、やだっ…やめ…っ」
──ブブヴヴゥゥゥーーッ!!
「ひああぁあっ!あうぅッ…ううぅぅーっ!」
一瞬視界が真っ白に染まるほどの衝撃が背筋を突き抜けて頭の中枢で熱く弾ける。
痙攣の止まない体を縮こまらせ、私は首を横に何度も振り乱しながら襲い来る壮絶な快感に狂い悶えた。
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