短編[甘] | ナノ


▼ お兄ちゃんの玩具‐02

「わかった…っ。買えばいいんでしょっ!変態野郎!」

「変態なのはお互い様」

睨み付ける私をものともせず、お兄ちゃんは私に白いプリーツスカートを手渡す。

それは私が中学生だった頃に購入して、それから処分することすら忘れてタンスの奥で眠っていたものだった。

中学生の頃より体はだいぶ成長している。

履いてみると、予想してた通り少し前かがみになっただけでお尻が見えてしまいそうなぐらい短かかった。

…こんなの履いて外出するなんて…

羞恥心や不安が入り混じって心臓がバクバクと痛いくらいに鼓動する。


「んじゃ、行ってらっしゃ〜い」

ヒラヒラと呑気に手を振るお兄ちゃんを背に、私は苛立ちをぶつけるように玄関のドアを乱暴に開け外に飛び出した。


「っは…、あぅ…ぅうっ…!」

家から離れるにつれ、どんどん体の力が抜けていく。

お兄ちゃんの前では余裕のなくなった姿なんて絶対見せまいと気を張っていたけれど、私の身体はもうまともに歩けないくらい熱い疼きに支配されてしまっていた。

装着されたローターは冷酷なまでに一番感じやすい場所を揺さぶり、快感を全身に広げ続ける。

スイッチの部分にも絆創膏が貼られて固定されてしまっているため振動を止めることはできない。

「くっ…ふ、」

電柱にもたれ掛り、声を押し殺しながら辺りを見回す。

幸いなことに人影はどこにも見当たらなかった。


誰かに見られてしまう前にこんなこと早く終わらせなきゃ…。

けれど、そんな焦る気持ちとは裏腹に、足は今にも崩れそうなくらいガクガクと震えてしまう。

「…はぁ…っあ、んん…ッ!」

微弱に、だけど的確にクリを捕らえ続ける小さな淫具。

痙攣のおさまらない媚肉からとうとう熱い雫がトプリとこぼれて太ももに伝い落ちた。

私はそれを慌ててスカートで拭い取る。

…このままじゃビショ濡れになっちゃう。
早く、早くコンビニに行かないとっ…。

何とか気を奮い立たせ、私は目的地へと向かって行った。

途中何度も電柱や塀にもたれかかり、それでもどうにか歩を進めていくとようやく視界の先に煌々とした明かりが見えてきた。

時間を確かめると、普段なら10分もかからないで着くはずが家を出てからもう20分を過ぎていた。


平静を装って店内に入り、すぐさまエロ本のコーナーへ向かう。

漫画の雑誌を立ち読みしている男の人が一人。

下品な表紙だらけの場所に立つと、その人がチラッと私の方を向くのがわかった。

恥ずかしさに顔が熱くなるのを感じながら私はとにかく指定された雑誌のタイトルを探した。

…だけど、隅から隅まで見渡してもその雑誌は見付からない。

鞄から携帯を取り出してお兄ちゃんに電話をかける。

すると、私からの電話を待っていたかのようにワンコールもしない内に電話が繋がった。

『はいはーい』

緊張感のない声が受話器から流れる。

「ないんだけど、雑誌…!」

『…え? あっれー、俺なんてやつ欲しいって言ったっけ?』

「はっ? あの…っ、濡れなんとかってやつでしょっ…!」

『んー、名前ちゃんと言ってくれないとわかんない』

…絶っ対わざとだ。

だけどここで言うのを拒んだところでお兄ちゃんが許してくれる訳がない。

「…っ…ぬ……ぬれ、まん てんごく…っ」

私は周囲を気にしながら聞こえるか聞こえないかくらいの小声でタイトルを口にした。

『何ー? 聞こえない。もっと大きい声で言って』

「…っこの…!」

あまりの意地悪っぷりに、頭の血がグツグツと沸騰するような感覚がした。

唇を噛み締め、何とか怒りを抑えて半ば投げやりに叫ぶ。

「濡れマン天国っ!」

当然周囲にその声は響きわたっただろう。

店内にいる人全員の視線が私に集中しているような気がして、私は耐え切れず髪で顔が隠れるくらいうつむいて身をすくめる。

『……あぁっ、ごめんそれ発売まだだったー。緊縛ランドってやつ買ってきて』

──はあああああっ!!?

お兄ちゃんの非道すぎる発言に、私は思わず頭の中でそう叫んだ。

…ムカつく…っ。ムカつく、ムカつくっ!!

逆らえない悔しさに通話を切った携帯を壊れんばかりに握りしめる私なんかお構いなしに、それどころか私を更に追い詰めるかのように、お兄ちゃんの分身とも言えるローターが秘部をくすぐり続ける。

「…くっ…!」

再び唇を噛み締めて、タイトル通りの雑誌を抜き出しレジへ持っていく。

店内は30代後半くらいのオバサンで、男じゃないぶんだけはほんの少し気が楽だった。

会計を済ませてそそくさと店を後にする。

行き同様、帰りもローターの拷問とも言える刺激に弄ばれっぱなしだった。

散々擦られ続けた淫核は灼けるような熱を孕んでジンジンと痺れている。

…けれど、野外にいるという緊張のせいでどんなに体中が疼いても絶頂に達することはできなかった。

ただひたすらに快楽だけが蓄積されて、もどかしさに悶える膣からまるで涙のように愛液が溢れてジワジワと太ももを伝っていく。


「…っは、はあ…っ! く、ぅ…っ」

やっとの思いで家につき、玄関に入るや否や私はその場に崩れ落ちた。

…この疼きから早く解放されたい…。

ドロドロに溶けた意識の中で、ペタペタと裸足で廊下を歩く音が聞こえてくる。

「おっ帰りー」

相変わらずの腑抜けた声と涼しい顔が私を出迎えた。

「…っこ、これで、いいんでしょ…!」

雑誌の入ったビニール袋を乱暴に手渡す。

「そうそう、これこれ。…で、どうだった? 興奮した?」

「はっ…!? する訳ないじゃんっ…!」

「ふーん、そう?」

「ひゃっ!?」

突然、お兄ちゃんに体を抱きかかえられる。

そして何がなんだかわからないままリビングに連れてかれ、ソファーに寝かされた。

「いやっ…!なにす…っ」

「濡れ濡れ度チェックでーす」

スカートを捲られ、強引に脚を開かされる。

そこがどれだけ発情して淫らになってしまっているか、見なくてもわかっていた私はお兄ちゃんの目に曝されると一気に羞恥が込み上がって顔が熱くなった。

「うっわぁー、大洪水」

「…ちょ、ゃ…あっ!」

慌ててアソコを隠すように覆った手を呆気なく捕らえられ、お兄ちゃんの指が裂け目の奥にジワジワと侵入してくる。

「もうグッチョグチョだな。ほら、すんなり2本入った」

「や、だ…っ! ぁッ、あ!」

「客や店員にジロジロ見られながらエロい汁垂らしまくってたんだ?」

「違っ…あっ、ぁん…っ!」

グチュ…ッ、と中に侵入した指が蠢き、気持ちいい所を探る。

「何回イッた?」

「んっ…、イってない、よ…っ」

「ふーん、やっぱり奈津は中をこうやってされないとイけないんだ?」

「やぁあっ!やめっ…!あっ、ああんっ!」

不意に指が激しいピストンを始め、強い快楽が湧き上がってくる。

私はただただ身悶えて、情けないくらい甘ったるい声を漏らし続けた。

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