▼ 一夜の獣に‐03
「自分からねだったくせに、今更恥ずかしがってんの?」
「んうっ!うううッふぁ、あっ!ああ゙ぁあっ!」
膣内に埋まっていた指が激しく肉壁を揺さぶり始める。
凶悪なまでの快感に頭の中が真っ白に弾けて私は樹さんの指をくわえたまま獣のような悲鳴を上げた。
樹さんの言葉が鼓膜を突くたび背筋や胸の奥が震え上がって脳内が掻き乱される。
こんな感覚は今まで感じたことがなかった。
彼の深い熱情に精神が蝕まれていく。支配されていく。
全ての細胞が彼の意思に服従して発情していくみたいだ。
…怖い。
けど、心の片隅ではこのまま樹さんに全て委ねて溺れてしまいたいという願望が確かな熱をもって揺らいでいた。
「泣くほど恥ずかしい? いや、気持ちいいのか」
「ふぐっ、ううう!んぅうう…っ!」
「結花はこれを望んでたんだろ? 嫌なことから逃げたくて、何もかも忘れるくらい気持ちよくなりたくて、あんな自暴自棄な書き込みして手っ取り早く快楽を与えてくれる男を求めたんだろ?」
「…っ!ふ、うっううぅッ…!」
樹さんの声が耳を突き抜けて心臓を鷲掴みにする。
…私の心の中、全部、樹さんは見透かしてたんだ。
私の子供じみた欲心を全部わかってて、私を快楽に導いてくれてる。
私は溢れ出す歓喜と快感に全身を打ち震わせた。
「俺が全部忘れさせてやるよ。だから余計なこと考えるな。今は俺のことだけ感じてろ」
「っあ…!は、ッあぁ!あああぁっ!」
指を入れられているせいでうまく飲み込みきれない唾液がダラダラとこぼれて頬や彼の手を汚していく。
汚いとか恥ずかしいとか、そんなことはもうどうでもよかった。
体中を駆け抜けていく灼熱の快感に頭の中枢がビリビリと痺れる。
彼に完全に屈服した身体は彼の望むままに悦楽の極みへと上り詰めていく。
「あっあ、あぁあッ!や…っあぅ!ううぐッううううぅっ!!」
…もうダメ…ッ!
そう思うと同時に、腰元で弾けた快感が稲妻のように脳天を突き抜けた。
思考を総ざらいしていく狂悦の高波に打たれ、私は樹さんの指をキツく噛み締めながら全身を激しく痙攣させて絶頂の悦びに浸り尽くした。
「…やっと素直になった」
「っふ…ぁ、あ…っ」
樹さんの笑顔に張り詰めていた神経が解きほぐされて、ドクドクと高鳴る胸の内が甘く締め付けられる。
口から抜け出た指がヨダレまみれの頬を撫でてせわしなく上下する胸へと移動し、そして流れるように下半身まで滑り降りた。
下着を引かれ、私は脱がせやすいように自ら腰を浮かせる。
彼の眼前に晒された恥部は未だ絶頂の興奮が抜けきらず、ヒクヒクと伸縮して愛液を滲ませていた。
「手かして」
「へ…?」
何だろう?と疑問を抱きつつ私は素直に樹さんに右手を差し出す。
「こっちも」
シーツの上に力無く投げ出していた左手も掴まれ、両手が下半身へと導かれていく。
「自分で開いて」
「…っ…!」
期待を膨らませて熱を上げる恥部に手を下ろすと、樹さんは恥辱の命令を私に言い付けた。
…自分の手で、グチャグチャになった痴態を彼に見せ付ける…
その行為の恥ずかしさに一気に体中の血液が沸騰して頭が熱くなる。
けれど、心に根付いた彼への服従心が羞恥を押しのけて私の体を突き動かす。
震える手に力を込めて媚肉を押し広げると、淫水がクチュリと粘着質な音を立てた。
「そのまま、動かしちゃ駄目だよ」
「…っはぃ…」
反射的にそう答えてしました自分にはもう反抗する意思なんて残っていないんだなと改めて思い知る。
樹さんは私の脚を更に大きく広げると、無防備な太ももに舌を這わせ始めた。
その感触や熱を感じて、だらしなく広げた淫部がどんどん血走っていく。
…お願い、早くここに来て…っ
痴女みたいな淫らな欲求を頭の中で叫んでいると、濡れた粘膜に彼の吐息を感じて私は思わず息を飲み込んだ。
「ッふあ!ああぁっ!」
先を尖らせた舌が膣口からゆっくりと這い上がって淫核をえぐり、すでに固く充血しているそこをキュッと唇が吸い上げる。
今までまともに触ってもらえず、ただひたすらに感度を高めていた淫核から受ける刺激は恐ろしいほどの快感となって全身を熱く痺れさせる。
「指の力抜けてる」
「あっ…ぁ、ごめんなさ…ッうあぁあっ!」
淡々とした樹さんの一言に真っ白に霞んでしまいそいになっていた意識を奮い立たされ、私は慌てて指先に力を込めた。
溢れ出る愛液で滑ってしまうのと、思い通りに力を入れられないせいでうまく陰唇を開くことが出来ない。
「ん…っあぁ!あッああぁ!」
必死に言いつけを守ろうとしている私を更に追い詰めるように舌先が淫核を執拗なまでに激しく摩擦していく。
さっきみたいに思考が溶けきるまで快感に溺れてしまいたい。
けれど意識を手放すと、同時に力が抜けて手も離してしまう。
悦楽に浸りきれないもどかしさに目と恥部の上下で涙しながら私は再び訪れた絶頂感に背中を仰け反らせて甲高い喘ぎ声を上げた。
「ああぁっ!もぉ…ッい、イッちゃ…う、ううぅぅっ!あッやあぁああ!」
無我夢中で快楽の限界を訴えると、充血しきった肉芽を歯で甘噛みされ、舌が一層機敏に蠢き始めた。
容赦のない刺激に襲われ、受け止めきれない快感が瞬く間に私の身を焦がし、高みへと突き上げていく。
「あっあ!あぁああッ!イクッイクぅ…ッひあ!あああぁあっ!!」
駆け抜ける法悦の衝撃に開いた脚がガクガクと激しく痙攣を起こす。
淫核からもたらさた灼けるような恍惚感は体中の細胞を快美に溶かしていく。
すっかり力の抜けてしまった手は太ももの上にダラリと乗っているだけの状態になっていた。
それを咎めることなく、樹さんはドクドクと脈動する恥部を優しくひと撫でする。
下半身に心地よさが広がって、私は吐息混じりにか細い声を漏らした。
「まだビクビクしてる。そんなに気持ちよかった?」
「あっ!ん…っふ、ぅう…っ!」
愛液を塗りつけるように粘膜の上を滑っていた指が、疼きの抜けない膣の奥へジワジワと侵入していく。
神経の研ぎ澄まされた内部は彼の指の感触を過剰なくらい感じ取ってしまう。
背筋をくすぐられるような甘やかな快感が駆け上がり、私は切なげに息を弾ませて小さく悶えた。
「さっきよりキツくなってる。…それに、感度も随分上がったみたいだね」
「んぁっ!あっあ…!んん…っ!」
指の角度が変わるたび体のあちこちを跳ね上がらせる私を見て樹さんはクスクスと楽しそうに笑う。
その笑い声すらも興奮材料となって私の体の芯をくすぐる。
身体が自分の意思で制御出来ない。
彼の細い指先が内壁を擦るだけで、恥部は狂おしいほどの悦びに満たされ、とめどなく蜜を吹きこぼす。
「あーあ。シーツまでビシャビシャ。ホントにいやらしいね結花の体は」
「っふ…!あ、あぁっ!」
「気持ちいい? じゃあこのまま中でもう一回イッちゃおうか」
「ふぇ…っ!あ、あぁっ!いや…っあ!あぁあっ!」
「…いや? ふーん、まだそんな口きけるんだ?」
「ふああぁッ!や…っちが…、っあ!ああああっ!!」
不意にこぼれた言葉が彼の加虐心に火を付けてしまったらしい。
部屋中に響くほどの水音を立てて膣内を何本もの指が暴れ始め、まどろんでいた身体に強烈な快感が貫き渡る。
指は私の中を熟知しているように、一番の急所を徹底的に掻き荒らしていく。
打ち付けられる刺激になすすべもなく快楽の臨界まで引き上げられ、私は無我夢中で樹さんの体を掴んで鳴き叫んだ。
「やぁああっ!イク、イッちゃうよぉ…っ!樹さ…っあ、ああああッ!」
「…っ、その声で呼ばれると凄い興奮する。もっと俺の名前言って」
「んあっ!あぁ…っい、つきさん…っ! 樹、樹…っ!!」
快楽に悶えながら何度も名前を叫んでいると、突然体を力強く抱き寄せられた。
クシャリと頭を撫でられた瞬間、極悦の疼きが一気に押し寄せ、彼の腕の中で私は全身を駆け巡る絶頂に涙を流して感極まった。
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