▼ 秘め事‐05
「…うぁ…、凄い勃ってる…」
「そりゃあ勃つ」
「そ、そう」
…じゃあ、夏見も結構興奮してたんだ…。
天井を仰ぎ、勇ましくそそり立つ夏見のモノは無駄に巨根でもなく小さくもなく、絶妙に快楽を掻き出してくれそうな凄くちょうどいいサイズだった。
これが私の中に入ったら…なんて想像を脳が勝手にしてしまい、下半身の奥が愚かしくもドクンと息づく。
「…っ、電気っ、もっと暗くする!」
股間を見ているだけで妄想が一人歩きしてしまいそうになり、私は急いで電気を調整するパネルに手を伸ばした。
手当たり次第にスイッチを押し、橙の明かりでぼんやりと相手の体が見えるくらいにまで電光を落とす。
「全然見えないですが」
「いいのっ、これで!」
気休め程度に強気を取り直し、夏見の膝に手を置いて淡い光を吸い込む瞳を見詰める。
「じゃあ…っ、やるからねっ?」
「はい」
手のひらで包み込んだそこはじんわりと熱く波打っていた。
恐る恐る先っぽに唇を付け、そして一息に奥までくわえる。
ゆっくりと引き抜いて唾液をまとわせ、徐々に竿を扱く速度を速めていく。
おりゃあああっと激しく頭を上下させて、顎が疲れてきたところで一旦奉仕を止めて満足げな笑みを夏見に向けた。
「どうっ?」
「…うん。下手というか雑というか」
「へっ…?!」
へっ、
へっ…下手!?
「下手っ?!」
「下手」
嘘ーーーーっ!!
そ、そんなっ、本当に下手だったの私!?
ていうか酷い!
下手とはいえそんなまともにズケッと言うなんて! 酷い酷い!
私は夏見に背を向け、体育座りをして縮こまった。
…まあ、逆に上手いとか気を遣われてたら、これから先も勘違いし続けることになってたけど!
でもそこまでストレートに言うことないじゃない!!
「そんなわかりやすいいじけ方しなくても」
「うっさい! 夏見がきっぱり下手って言…、っ!」
後ろから抱き締められ、悪態ごとゴクリと息を呑み込む。
愛想のない言葉とは裏腹に背中全体に染み入ってくる体温は悔しいけれどあったかい。
…ていうか、一部分が凄く熱い。
「ちょっ…、当たってるから!」
「当ててる」
「な、にそれっ…変態! っあ! や…っ!」
素早く下腹部に移動した手が下着の上から敏感なしこりを押す。
一度絶頂を迎えた体内を再燃させるには十分すぎる刺激だった。
爪で細かく掻かれ、すべやかなサテン生地から至高の喜悦が伝い来る。
…ずるい。女の感じさせ方をこんなにも熟知してるなんて、夏見はずるすぎる。
そんな子供じみた悔しさも、さっきまでのショックも何もかもがどうでもよくなってしまう悦楽の波。
私はその中にどんどん溺れていく。
「んっ、う…っ」
抵抗する気が削がれたのを見計らってか、反対の手がウエスト部分の布地を掴んで下着と一緒に引き下ろし始めた。
私は素直に腰を浮かせ脱がせやすいよう自らも下着を引く。
露わになった下半身は一糸まとわずとも心まで火照るほど熱く、飢えた膣口からヨダレをこぼして早速シーツを汚した。
グズグズにとろけきった淫裂を指先がひと掻きして水音を弾く。
そして、快感を待ちわびてヒクつく蕾へ降り、ゆるりと内部の肉を押し分け沈み込んでいった。
「ん、んっ…! あ、あぁあ…っ!」
胸の奥で渦を巻いていた欲望が喜びの痺れとなって全身を奮い立たせる。
中に埋まっただけで壮絶な快感を生み出す指は、私を狂わせるのを目的にしているかのように容赦なく媚肉を掻き乱す。
「っあ、あぁっ! やあぁぁっ!」
グジュグジュと耳にうるさい音を立て奥の上側を乱暴に掻かれ、衝動を瞬く間に揺すり起こされていく。
望んだ刺激は想像してたような生易しいものじゃなかった。
受け止めきれない快感が体の隅々で暴れまわり、耐えきれず私はシーツを固く握り締めて身をかがめた。
「あっ、ぅああっ! くっ…、ふうぅっ!」
早すぎる絶頂の余波を受け、唇を噛み締める。
指を入れられて即行でイクなんて…
締まりが無さ過ぎてさすがに夏見にも引かれちゃうかもしれない。
痴態を晒すわけにはいかないと指を噛んで痛みで快楽をごまかす。
「んっ、んうぅっ…! ふ、うぅ…っ!」
「…なんで我慢してるの」
「ふぁっ…!」
囁きと共に耳の軟骨を噛まれ、ピリッと走った刺激に声を漏らす。
口から離してしまった指を即座に掴まれ、爪先で歯型をなぞられる。
痛痒さは下半身に伝って熱情に足されていく。
「やあぁっ…! だ、めぇ…っ! とめっ…、ぅあっ! あああッ」
意識が快楽だけに集中してしまい、欲望は急速に高みへと上り詰めていく。
歯止めをかけるものはもう何もない。
一線を越えた衝動は途端に弾け、全身を熱く感極まらせた。
「ふあっ…! っは、う、うぅぅっ! うあっ、あッ! やあああっ!」
最果てに達してうねり、蜜を吹きこぼす秘唇。
中がしぼまり夏見にもイッたことが伝わっただろう。
…けれど指は速度を緩めることすらしないで限界に震える内壁をえぐり続ける。
「やっ、やッ、ふああぁっ! そ、んな…っ、やっあああぁっ!」
飛翔感から解かれてもいない過敏すぎる体を獰猛なまでに掻き荒らされ、あっという間に快感が頂点へと駆け上がっていく。
「やだぁぁっ! あっ、あ、ッふぁう!」
夏見の腕が胸元へと回り、かがめていた上半身を力任せに起こされた。
夏見の胸にもたれかかる体勢になり、反れた背筋に鋭敏な快楽の電流が勢いを増して貫き渡っていく。
「ぅあああっ! あっ、また…っ、あッ、あぁあっ、ふあぁあああっ!!」
そして私は混乱の内に再び下腹部を波打たせた。
恥部から湯だった飛沫が飛び散っていくのが、目を閉じていても感覚として伝わってくる。
きっと夏見の手は私の体液でベタベタだ。
それでも荒れ狂う快感は静まらない。
「あぁああっ! と、めてっ…、やだっ、やぁあああっ!」
膣口から響いてくる音は水面をかき混ぜてるかのようだ。
幾度となく熱の上がった膣が鼓動して稲妻のような快感を体中に走らせる。
終わることのない絶頂の波に頭の奥が痺れて、意識が白く霞んでいく。
「んあっ、あぁあっ! も…っ、おかしくなる、からぁ…っ! やあぁっ、あッあああぁ!」
「まだ早い」
「ふぇっ…?」
本当に快楽で頭がどうにかなりそうになって、掻き乱される意識の中で必死に悲願の悲鳴を吐き出すと、それが夏見に届いたのか突然手の動きがピタリと止んだ。
とろけた脳内では何も考えだすことが出来なくて、私は呆然てただ細かい痙攣を繰り返す。
そんな私を仰向けに寝かせると、夏見は鋭く熱気立った瞳を向けて、そして…クスリと微笑んだ。
「壊れるのはこれから」
「……っ!」
凶暴な獣の血を秘めているかのような、胸の奥にまで突き刺さる眼光に私は息を呑み込む。
ベッドの先に伸びていく腕。
カタンと音を立てて戻ってくると、その手からはコンドームの姿が覗いていた。
…挿れるんだ。…挿れられるんだ、夏見のが私の中に…っ!
指だけでこんなグチャグチャになってるのに…これ以上、しかも夏見ので突かれたら私どうなっちゃうんだろう…っ。
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