一番好きな場所


 青学テニス部3年の不二周助です。皆には内緒だけど部長の手塚とは恋人同士なんだ。

 でもこの恋人、実はすごく天然でね……今日だって、
「今度の連休、二人でどこか行かない?…泊まりがけでさ」
 って思い切って誘ったら、
「じゃあキャンプに行こう」
 って、これだもん。普通、恋人同士が『お泊まり★』といえば、もっとロマンチックな場所が出てきそうなものなんだけど……ま、手塚らしいよね。そういう所も好きなんだけど。おかげで僕達の関係はキス止まり。

 でもね、本当はどこだっていいんだ。大好きなキミと一緒に過ごせるのなら。


 キャンプ当日。晴れて良かった。
 大きな荷物を背負っての山歩きはなかなかハードだったけど、手塚が手を引いてくれて嬉しかった。街中じゃ手も繋いだことないからね。
「いい所だね。カメラ持ってきとくんだった」
 山のおいしい空気をいっぱいに吸い込んで手塚に微笑みかける。
「気に入ったか」
「うん♪」
「そうか。よかった。俺の一番気に入っている場所なんだ。ずっと不二と来たかった」
 さりげなく言うキミ。これで本人は口説いてる自覚ないんだから……天然過ぎて言葉も出ないよ。
「ほら、後少し……行くぞ、不二」


「この辺りにするか……」
 さすが連休だけあって、穴場と思われるこの辺りも既にいくつかテントが張ってあったけど。位置も決まり、僕達は準備し始めた。……と、その時。

「にわか雨だ!」

 山の天気は変わりやすい。
「この先に山小屋がある! 走れそうか、不二」
「日頃鍛えてるからね」
 僕達は荷物を抱えて、その山小屋を目指した。


「誰もいないね」
「長く降る雨じゃなさそうだしな、皆テントに潜ったんだろう」
「僕達も早くテント張っとけばよかったかな……フフ」
「不二……髪が濡れてるぞ」
「手塚の眼鏡だって……」
 手塚が僕の濡れて貼り付いた前髪を優しく払ってくれ、僕は彼の眼鏡を外す……。どちらからともなく唇を重ねた。
 もっと深く味わいたい……手塚も同じ気持ちなのかな?……珍しく積極的なんだもん。
 僕達は角度を変え何度も何度も重ね合わせる。

 深い長いキスは雨が止むまで続いた。


「雨が上がったな」
「うん。ねえ、手塚……力が抜けちゃった。しばらくこうしてちゃダメ?」
「しかし、テントが……」
「ねえ、手塚……こっちに張ってあるテント……片付けてからにしない?」
「・・・は?」
 僕は手塚の股間を悪戯っぽく見つめる。
 僕の力が抜けちゃったように、さっきのキスで手塚も感じちゃったんだね。何だか嬉しいな。
「かっ……片付けるって、どうやって、その……っ」
「こうするの♪」
 僕は手塚のズボンのチャックを下ろし、下着の股間から彼の逞しいモノを取り出すと、口と手で愛してあげる。自分でも大胆なコトしてるなー……って、ちょっと恥ずかしいけど、手塚に気持ちよくなって欲しくて頑張ってみた。


「不二……すまない。口の中に……」
 そう言って僕を抱きしめる少し照れ顔の彼。

 とても愛しい彼……。

「手塚のだから平気。それより本物のテント張りに行こ」


 この続きはその中でね──。


 END


◇あとがき◇

 原点に戻ってラブラブな塚不二をお送りしてみましたー♪
 とにかく『可愛くて幸せな塚不二★』を目指して書いたので、エロが物足りなくてスミマセンι
 この後のテントの中でのイロイロは皆様の脳内補完でよろしくです〜。


オトナの書庫へ戻る

- ナノ -