▼13/03/30 秋茜
(竹谷と孫兵/ちょっと注意)
(あの夕日 ジュンコの色に見えます)
その日竹谷先輩は委員会に来ることはなかった。竹谷先輩五年生は実習で少し遠出をしていたのだが数々の災難に巻き込まれ皆帰ってきた頃には憔悴しきっていた。そして皆血の匂いがした。生き物達に慣れきった鼻に鉄臭いすえた匂いがした。そのとき私は吐き気がした。あんなに大好きな竹谷先輩を見て。私は自分が嫌いになった。
そうして自分に嫌悪を抱きながら先輩がくることがなかった委員会をおひらきにし虫達の世話を少し残ってやっていた。人という生き物は集中すると不思議と何もかも忘れるようになっているから。
「孫兵………」
でもそうも長く集中は出来なかった。
「竹谷…先輩…」
「そろそろ夕暮れだし食堂も混んでくるだろ。今日は其処までにしておけ」
「はい」
聞きたいことが山ほど私の中にはあった。でも竹谷先輩はそれを言わせる機会をどこか雰囲気で消していた。
先輩の背中越しに見える空は絵に描いたような素晴らしい夕焼けだったけど何故か私にはそれが悲しく見えた。
(そうか 俺はな血の色に見える)