覆いかぶさった体制でいるから、ハーフパンツがだらんと前に弛んでいて気付かなかった。玖斗のアレはめちゃくちゃ勃起している。

『うわっ、うわうわうわっ…』

人間の肉特有の柔らかさを表面に携えながらも、中心には鉄の棒が入っているんじゃないかと思うくらい硬くなっていて熱い。触った瞬間、ドクンと脈打つような動きもしたし、熱も伝えてくる。気のせいかもしれないけれど、偵之のものよりグンッと上を向いている気がした。
実沙季は一気に顔を真っ赤にして、目を白黒させて見上げる。

「うわやっば。高まるー…みーちゃんがかわいくしてると、僕はこうなっちゃうんだよ。だからさ、にゃんにゃんシよ?誰もいないんだし…」
「え、えっ、にゃんにゃんって…だって、なに、なんで」

必死に手を引っ込め、右手で左手を摩るように握るが感触は消えない。寧ろ、思い出して余計に恥ずかしくなった。

「何で?うーんとね、僕の部屋より、こっちの部屋の方が近かったからじゃん?僕の部屋まではマジメンディーだしさぁ」
「なんでここの部屋?って意味じゃなくてぇ…!!あ!ん!?」

マジメンディーとは何だと訊く余裕すら与えられないらしい。
玖斗はいきなり大きな手が包むように実沙季の顎を掴み上げた。されるがままに上を向くと子犬のように人懐っこい顔のはずが、いつの間にか狼のような獰猛さを持った表情に変化している。
欲望丸出しのギラギラとした瞳を向けられ「誰ですかー!?」と心の中で叫んだと同時に唇を塞がれ、彼の欲求をこれでもかと注がれた感覚になり、実沙季の顔は真っ赤に変化する。

「んん!んー!ふぅ、うっ!」

人の体温ではないと錯覚してしまうくらいの熱い舌が、チャンスを逃すつもりは無いと言うように容赦無く口腔を這いずり回って行く。歯の裏や内壁、上顎、舌の至る所…届く範囲全てを舐められて、背筋がゾクゾクした。
思わず縋るように玖斗のTシャツを掴むと、彼は背中や後頭部に腕を回してきて体を密着させた。
長い前髪が実沙季の額や頬に触れて、汗を滴らせる。物凄く興奮していると訴えているみたいだ。

「んっ、ふぁ、らめ…んん」

偵之とのキスとは違い、野生的で乱暴なそれは、本当に実沙季を求めているみたいで胸が痛いくらい高鳴ってしまう。普段との無邪気で可愛いワガママを言う玖斗からは想像出来ないこのギャップのせいで余計にときめいた。

「ふ、んっ、んっ」

口の端から唾液が零れ頬を汚してしまうくらいの情熱的なキスや、カイロでも貼られているんじゃないかと疑ってしまうほどの体温も堪らない。
玖斗に好きにされるんだと想像すると、ダメなのにそうされたいと願ってしまう。

「ぷは、は……みーちゃん、ベロ出して」
「ン……」

だからほら、舌を出せと言われ何の抵抗も無く従ってしまった。だって、玖斗のことも大好きだから…

「んっ、ん」

薄くて小さな舌を懸命に突き出し、先を尖らせると、玖斗も同じように舌を突き出して実沙季のそれに絡めてくる。キャンディでも舐めているようにくるくると動かし、舌先だけで愛撫するその動きのいやらしさに、実沙季のアレは桃色の下着を押し上げ始めた。

「おに、ちゃ…やぁ…」
「ちゅ、くちゅ、ふっ、ふっ…」

こんないやらしいキスはダメ、と訴えるように玖斗のシャツを引っ張るが、そんな可愛いことをしても彼を煽るだけだ。

『あ、お兄ちゃんの舌に凄いなでられちゃってる…エッチ…』

意図に気付いた玖斗にからかうようにチロチロと先を舐められて、恥ずかしさに体が熱くなってしまう。

「はあ、ぁ、ふぅ」
「くちゅ、ぴちゃ…」

あまりイメージには無いが大人な偵之やセクシーな志尚がこんなキスをするなら理解出来る。しかしクリーンなイメージが強く、いやらしい事をしてもサラッとしていそうな玖斗がこんな舌だけで触れ合うキスをするなんて意外過ぎて頭が働かない。

『こんなエッチなちゅう、しちゃダメだよ…』

とにかく恥ずかしさと嬉しさと、いやらしい気持ちでいっぱいいっぱいな心は、これ以上はダメだと警告を発した。

「おにぃちゃ…らめ、らめ…」
「んっ、何で?ちゅっ」
「ん!」

薄目を開けて玖斗の肩を押しながらダメだと言うが、聞く耳持たずと言った感じでちゅっと舌を吸われてしまった。その、少しだけ痛いけれどでも唇に挟まれた柔らかく淫靡な快感に、背筋が官能的に震える。







prev next TOP