∴ 3 −恵くん、俺に見せられるかい?もう少しだけ脚、開けるかな? 『や、ぃゃ…だめ…』 妄想の中のアキラは、皺一つ無く、ちゃんと詰襟がある制服を着ている。 全て曝け出している桜介と違い、上まで止められた学ランに包まれ、アキラはいつもの柔和な笑顔で、桜介に"お願い"をする。 見えるように脚を開いてほしいと言うアキラの表情には嫌悪の色は見えず、どこまでの優しい。 『三島くん、はずかしぃです…』 −そうだよね、恥ずかしいよね。ごめんね、こんなお願いして。でも大丈夫だよ。恵くんとても可愛いし、綺麗だから… 怖がらなくていい、と頭を撫で、額にキスを落としてくれる。 可愛くて綺麗だと何回も繰り返し、桜介の柔らかい肩を抱いた。 頗る甘やかしてくる妄想の彼に甘えるように、桜介は少しだけ脚を開き、その部分を見せ付ける。 先端を赤く腫らし、てらてらと濡れていた。 『み、みなぃで…』 −凄いね…たくさん濡れてる。こんなに勃ってて、気持ち良さそうだ 『…ぃわな、で、ください…』 −ごめんね、恥ずかしいよね。でも可愛いから大丈夫だよ。だから、いじっているところを見せてほしいな 実際にされていないのに、桜介の瞳は快楽と羞恥で濡れている。 アキラに見られたら死ぬ程恥ずかしいのに、気持ち良くて堪らない。 はしたない姿を見せ、更に自慰まで見せなければならないと思うと、ゾクゾクとしたものが背筋を走り、桜介の呼吸を更に乱す。 「ぁ、ゃ、やぁ…いゃ、いやぁ…」 妄想のアキラに見守られながら、陰茎を扱いた。 先端の方を皮で少し隠すように扱く。仮性包茎である彼は、このゆるゆるとした愛撫が好きだ。 −全部、剥けてないんだね 『だ、だめ、ですか…』 −ううん、可愛いよ。恵くんはそうやるのが好きなのかな?あまり激しくしないんだね 『は、はげしいのは、痛いので…ん、んっ』 −そっか。じゃあ優しくされるのがいいんだね?今度、俺が優しく触ってあげるよ びくん!と、躰が跳ねた。 アキラに触られる自分を想像したからだ。 「ゃ、も、むり、むりっ…」 アキラの愛撫を思っただけで、もう抑えられなくなる。 桜介は全身を小刻みに奮わせ、前屈みになり、両手で陰茎を扱いた。 「がま、できなぃ…いじっちゃ、自分で、ォナニー、しちゃっ、よぉ…」 ぐずぐずと鼻をならして泣きながら、びしょびしょのソコを慰め、官能に従順になる。立たせた膝がひっきり無しに跳ね、跳ねるたびにより開脚してアキラに見せ付ける。 その痴態を見詰めるアキラに「見ないで」と言う気持ちと「もっと見て」と言う気持ちを抱きながら、桜介は快感の涙を流した。 −気持ち良い?いいよ、俺に遠慮しないで沢山いじって 「ぁ、ぁんっ、ぁぁ…だめ、ゃっ…」 −声、出ちゃってるね。そんなにイイんだね。いいんだよ、好きなようにして大丈夫だから 『三島くん…!三島くん!』 心の中で何度もアキラの名前を呼びながら、手を動かす。 ぬちゅぬちゅと粘着く音や、荒い呼吸、時折漏れる喘ぎ声はシャワー音でかき消され、湯と共に流れていく。 だから外には桜介のこの行為が聞こえていないはずだ。 それ故に気持ちが少し開放的になった。 「みしま、くん、すき、好きっ、」 実際に口に出しながらの自慰。 アキラを想いながら陰茎をどんどん濡らす。 −うん、俺も恵くんが好きだよ 「ぁ、すき、すきぃ…みしまくん、ィッちゃ、でちゃぅ…」 名前を呼ぶ度に熱が集まり、思考がいやらしく蕩けていく。 −いいよ。出して。俺に恵くんが出しているところ見せて 「ぁ、あっ、でる、出るの、はずかしぃ、やっ、やぁぁん……!!」 淫らに頬を赤く染めた顔をアキラに向け、射精を宣言した途端、ソレが来て思わず目を瞑る。 そして腰が縛られるようにぐっと動かなくなった瞬間、何かが弾け、刹那、痙攣が襲った。 「あんっ、ぁぁっ、あっ!」 幼い陰茎からは欲望の液体が飛び出す。 両手を汚しながら流れ、湯と混じる。 「はぁん、ぁぁ、や、あ…はぁ、はぁ…」 余韻に浸る躰は射精しても奮え続け、陰茎の先端は数度跳ねた。 汗やシャワーからの湯で濡れた躰は、興奮して熱くなり、このまま溶けてしまいそうだ。 ぐったりと項垂れ、壁に背を預け息を整える。左半身に降りかかる湯が心地良く、敏感になった肌を刺激する。 脚を投げ出し、放心状態になった桜介は、頭の中でアキラに謝った。 『三島くん、ごめんなさい…』 実は、アキラを想っての自慰は初めてではない。もう何度もアキラを想いながら自慰をしている。 そういうのもあり、自分に優しくしてくれるアキラに罪悪感があり、余計に彼と関わってはいけない気がするのだ。 『明日も、頑張って無視しなきゃ…三島くんだけは、僕と関わってはダメ』 こんな妄想をしている人間に優しくしないで。 そう思いながら、桜介は躰を清め、浴室から出た。 しかし、翌日− 今日の放課後、誰にも見られずに、第一美術準備室に来て下さい。 三島アキラ そんなアキラからの手紙を受け取ってしまうのである。 |