∴ 9 「ぁ、あっ、」 「ふふ、ぐずぐず…かわいい…」 「やぁ、や…」 もうそんな所を刺激されては限界を迎えてしまう。 大した愛撫をされていないのに、桜介の体は全身を小刻みに震わせ、絶頂へとじりじり近付いていた。 「も、おねがい…もっと…」 「おっぱい触ってほしい?」 「さ、さわっ、さわ…て…」 「かわいい…いいよ。沢山してあげる」 ふうふうと荒い呼吸を枕に押し付けながら、お腹の奥の方に力を入れたその時、アキラの指がキュッと乳首を摘んだ。 「あん!あっ、あぁ!」 ソフトタッチをされて焦らされまくった体は、待ってましたと言わんばかりにびくん!と跳ね、その刺激を逃すことなく下腹部へと伝える。 「あ、やあ……!!」 タオルの中でだらしなくカウパーを垂れ流し、痛いほど勃起しているソレは、遠慮なく痙攣して精を吐き出した。 タオルを汚し、溜まっていた精液を惜しげも無く出し続ける。 「あっ、あっ、あ」 腰に力が入ったかと思うと、一切力めないくらいへなへなと力が抜けていき、何故だか手が痺れた。熱を放出した体は全身汗をかいていて、どこもかしこもビショビショだ。 「出しちゃったんだ?」 「…や」 「エッチだね。俺はマッサージをしていただけなんだけどな?」 「…だって…」 「軽く触られただけでイッちゃうなんていやらしいよ。桜ははしたない子だね?」 赤くなった耳元でそんな事を囁かれたのに、言い返す気力がない。何でもいい。いやらしくてはしたない子でもいいから、アキラが欲しい。 「あきらくん…好き」 「俺もだよ」 痺れて震えている手を伸ばし、アキラの体に触れると、彼は桜介の体をひっくり返して覆いかぶさってきた。 *** アキラも桜介も一糸まとわぬ姿になった。アキラはベッドに腰をかけ、その筋肉質な両足をたらりと垂らしている。 桜介はその足の間に入り、蹲った。 「んっ、ん」 「うん、上手。そう、イかせようと考えないで俺のチンコ味わうようにして」 彼の髪の色と同じ黒い陰毛からは、怒張して雫を零す陰茎が飛び出している。桜介はそれを両手で丁寧に握ると、舌を絡ませながらゆっくりと口に含んでいるのだ。 尻にバイブをはめながら。 『お尻、変な感じする…』 微動するそれはアナル用の細いタイプで、肉を想像させるピンク色をしている。快感を与えるような動きをしていないから、ただ挿れられているだけで気持ち良いというより違和感を覚える程度だ。 だが、これをアキラが購入したとか、これを荷物に入れていたとか考えると、勝手に尻の奥へ誘うように締めてしまう。 あんな爽やかな笑顔を見せておいて、夜には桜介に使おうなどと考えていたのだろうか。 『あ、だめ…』 そんな事を想像するだけで尻に力が入り、再びバイブを締め付けた。 「ん、ふ…うう」 「かわいい…一生懸命だね」 堪らずアキラのに吸い付くと、彼は嬉しそうに口角を上げて桜介の耳や陰茎に押されて膨れた頬を撫でる。 特に咥えているせいで不細工に歪んだ頬や口元が気に入っているようで、その辺りを手が行ったり来たりし、桜介の瞳をトロンとさせた。 こうして甘やかされるのが好きだ。撫でられた部分から官能が体中を走って満たしていく気がする。 犬が嬉しさのあまり粗相をするのと同じように、桜介の陰茎からどぷりとカウパーが零れた。 「うっとりしちゃって。本当エッチになったね。そんなに俺が好きなの?」 「う、ん…んん」 「俺も好きだよ。世界一桜が好き」 頷けないから代わりにちゅっと吸い付くと、少しだけ片目を眇めて短く吐息し、嬉しそうに口角を上げた。 桜介の口淫に感じて反応するその表情は快美的でセクシーだ。 こういう時に見せる彼の"雄の顔"が堪らない。いつもの上品でいやらしさの欠片もないクリーンなアキラが崩れ、獣のようなワイルドな面を少しずつ露わにさせていくのだ。 |