∴ 4 指先でちょんちょんとつつくだけで、硬さを持ち、少しずつ大きくなる乳首。薄い色が少しだけ濃くなり、さくらんぼのような艶を見せる。 もう片方も触れると同じように突起し、つやつやとしたほのかに赤い果実を実らせる。 白い肌の上にぷくりと立ち上がるそれが本物の果実だと錯覚しそうになるくらい、美味しそうに艶を放っていて、直人は思わずごくりと喉を鳴らした。 口に含んで転がしたいが、そんな事をしたら絶対に起きてしまうので、それは出来ない。 「ん、ん…」 そこよりももっと重要な場所を見なければいけないからだ。 額から汗が流れる。静かにそれを拭い、床を這うようにゆっくりと移動した。再び汗が流れ落ち、床にぽたりと落ちる。自分の躰が随分熱くなっていることに気付き、その原因である桜介にこの熱を発散させてほしいと思った。 ベッドの下の方、つまりは桜介の下半身の方へ行く。 『はあ、すごっ…』 脚を曲げてM字よりも大きく広げているそこは、何もしなくても丸見えだ。 乳首をいじったせいか、軽く上を向いている陰茎から、可愛らしいぷりぷりとした陰嚢、そのさらに置くにある、オイルで濡れた慎ましい後孔まで、全て直人の視界に入ってきた。 毛がない、真っ白な雪原が広がる中、陰茎の先端と、後孔は熟れた肉の色をしていて、怪しく直人を誘っている。 特に、中からオイルを垂らし、てらてらと光る後孔は、挿れてくれとでも訴えているようで、直人の中にある雄をこれでもかと煽った。 「はあっ…はあ」 だからその柔らかく脆そうな太ももを掴み、思い切り顔を突っ込んで舌を這わす。 鼻先や唇、頬に当たる極上の肌が、ふわふわと直人を包み歓迎した。つるつるするその皮膚に舌を滑らせ味や香りや感触を愉しみ、擦り付ける。 「んぷ、んっ、うっ」 尻肉をがっしりと掴んで持ち上げ、より大胆に曝された後孔を観察し、鼻先を陰嚢にうずめ、甘い香りがするその穴へと舌を捩じ込み、吸い付いた。 −ぢゅ、ぢゅぢゅる、ぢゅー! これでもかと舌先で内壁をつつき、媚肉を吸い上げ、激しく愛撫する。同時に、自分のジッパーをおろしていきり勃った自身を取り出した。 そんなことをすれば、勿論桜介は起きるわけで、小さな悲鳴が耳に届く。 「ひゃぁあ!誰ですか!?」 嗚呼、可愛い。驚いている声すら愛しい。 「恵くん、何で僕が来ること分かっていたのにこんな恰好で扉開けて寝てたのさ」 「中野島くん!?なんで!?」 驚いて大きな瞳を丸くさせる桜介は、女のように両手で躰を隠す。そんな恥じらいある仕草が彼らしくて堪らない。 「なんでって…」 「…あ!籠原先輩の置き手紙に…っ」 「なに、忘れるほど、オナニーに耽ってたの?オイル使ってケツいじってたんでしょ?」 直人は力任せに桜介の両手首を掴み、彼の上に覆い被さった。 桜介の冷たい腕とは対照的に自分の躰は燃えるように熱い、顎先から落ちる汗が、桜介の躰に着地する。 その様を真っ青な顔で見上げてくる彼を無視し、熱く滾るそれを、後孔へくっつけた。 「うそ!?やだ!やめて、やめて中野島くん!何でこんなことするの!?」 「何でって…前からシたかったんだよ…」 「いやぁ!挿れないで!いやです!い、痛いっ…!」 「チッ、上手く挿入んないし…大体さ、真っ裸で出迎えといて、挿れないでは無しでしょ。こんなの誰でも挿れたくなるじゃん」 ばたばたと暴れるが屁でもない。細い腕に細い足がいくら力を入れたって、普段から筋トレをしている直人からしたら、大した抵抗にはならないのだ。 寧ろ、抵抗らしい抵抗ではないように思えた。いじらしく形だけのそれをやっているように見えるのだ。 それよりも早く犯してすっきりしたい。恵桜介の中を味わいたいし、この朦朧とする熱を放出したい。 「はぁ、はぁ」 「やだっ!やだやだ!」 濡れていやらしく蕩けた後孔に先端がめり込む。これだけで射精してしまいそうだ。欲望の象徴である凶器のようなそれが、桜介の大切な場所に触れているというだけで、躰が滾る。 しかし、ぐっと腰に力を入れて進めるが、具合が悪く中々入らない。女とやるのとは訳が違うらしい。 「なにこれ、女と違ってやりにくい」 女性器と違い、挿入されるものではないそこは、逆の動きに抵抗しているようだ。こんなにも濡れているのに先端を少し銜えただけで、それ以上の侵入を拒んでいる。 散々鷹臣とシたのだから、少しくらいは柔らかくなっているものと思ったが、桜介のそこは処女の如く狭いみたいだ。 それはそれで締まりが良さそうで期待できるが、挿入らないことには何もできない。 「ちょっと力抜きなよ」 「いや、なに、そんなのいやです…!」 嫌って言われても困るんだけど。少し苛立ち舌打ちをする。 もう直人の思考は野獣そのもので、両手を離すと、桜介の太ももを掴み直し、自身と後孔の位置を確認した。 ちゃんと見ると角度が悪かったことが分かる。 ああ、ココかと分かった所で、一気に挿れようとしたが。彼は解っていなかった。 両手を離したと言うことは、桜介の両手は自由になったということだ。 −パンッ!!! だから、何をされたのか一瞬理解できなかった。 視界が真っ白になり、何が起こったのか、判断を鈍らせた。 上体を起こした桜介に、頬を叩かれたのだと理解するまで、五秒かかった気がする。 そして、理解した瞬間に、理性が物凄いスピードで構築されていった。 「ひどい!僕は中野島くんのことを友達だと思っていたのに!!」 理性に突き刺さる桜介の言葉。 涙を流しながら、真っ赤な顔で睨み付けている。 そうだった。彼は目覚めて何をされているのか理解した途端、悲しそうに涙を流していたじゃないか。 それが見えていたのに、自分は無視をして、やりたいようにしていた。 「っ……!」 胸を抉るような後悔と悲痛が一気に押し寄せ、直人は逃げるようにその場を去った。 |