拍手より 名無し様リク(?) 会長×風紀委員長 風紀委員室は静かだ。 雑務処理が多い生徒会は室内に籠りっぱなしだから、静かな時間もあれば、煩い時間もある。 だけど風紀は違う。 外回りメインだからか、室内はいつも閑散としていて、他の委員会同様に委員長しか処理できない書類を永倉が一人でやっている。 ――寂しくねぇのか? 以前、不意に浮かんだ疑問をぶつければ、永倉は真面目な顔で至極真っ当な返答をしてきた。 『アレは俺の義務だ。寂しいもクソもあるか。』と。 顔は綺麗な癖に全く可愛いげがない。それにその時の顔といったらなかった。 心底馬鹿にしたような声音と、胡乱気な目が『何言ってんだいきなり。気持ち悪い』と物語っていた。 「おい、緋月。」 「なんだよ、深雪。」 不機嫌そうに呼び掛けてきた永倉にわざわざ名前を強調しながら返事をすれば、深雪の肩がピクリと跳ねた。 だがそれは照れから来るものではないと、知っている。 ちょっと苛ついた時の彼の癖なのだ。 「いつまでいるつもりだ、緋月。いや…冬哉。」 恨むような声で名前を呼び直され、それに笑えば深雪の不機嫌が増す。 「佐竹辺りが帰って来たら帰る。」 「今すぐ帰れ。邪魔だ。」 「邪魔?」 しまった。という顔をしても遅い。 ただ静かな室内に溶け込む位の勢いで大人しくしていた俺が邪魔な訳がない。 「揚げ足を取るな。」 「心外だ。俺は今後の参考にしようと思っただけだぜ?」 「お前が来なければ済む事だろうが。」 「で?邪魔な理由は?」 俺のにやついた顔を見て、忌々しげに舌打ちをした深雪。 「気持ち悪い。にやけるな。」 「元からこんな顔なんだよ。」 取り留めのない無意味な会話は深雪の持っていたシャープペンシルの芯が盛大に折れた音で終結し、ギロリと睨む深雪に更に笑いが込み上げた。 「お前、分かっていて聞いてるんだろう?」 「分かんねぇって。」 その後も、邪魔な理由は聞けなかったが、良しとする。 Lingdr |