立海小話
「真田ー!さなーだー!さーなだげんじろー!」
『なんだ、人の名前を何回も呼ぶな』
「老衰で聞こえないといけないでしょ」
『誰が老衰だ』
「お前だげんじろー!」
『……2つ程言っていいか』
「特別サービスで善いよ」
『俺は中3だ』
「うん」
『そしていい加減呼ぶなら本当の名前を呼んでくれ』
「は?」
『真田げんじろうではなく弦一郎だ』
「え、」
初めて貴方の名前を知りました。
(真田/勘違い)
『ちょっといいか』
「何ですか」
丸井のことで話がある、と担任に呼ばれた。
何だ一体、本人に言えないことなのかしら。
『お前と丸井は家族ぐるみの付き合いだと聞いたんだが』
「あー、幼なじみなんで」
『丸井は、いつも学校で何か食べているが、』
さすがに学校であれだけのお菓子を食べているのが問題ってやつ?それなら本人に直接言えばいいんじゃないの?
『……アイツ、もしかして家でご飯を食べさせてもらってないんじゃないのか?』
「ブッハ!!」
ご飯を食べさせてもらえないと思われてるだなんて。その日からテニス部ではブン太のあだ名が“ひもじい子”になった。
面白がって先生には否定せず放っておくと後日ブン太の親は呼びだされた。
(ブン太/ひもじい男)
「先輩先輩!」
『何よ赤也』
「今日も可愛いっス!!」
『赤也は相変わらずワカメね』
「先輩大好きっス!!」
『仁王君格好いいなぁー』
「―!!せ、先輩なんかっ……」
『何よ』
「何でもないっス…」
“先輩なんか嫌いだ”
冗談でもキライだなんて言いたくないのはそれだけ惚れてる証拠なんスよ
(赤也/惚れた弱味)
『ねぇねぇ仁王』
「なんじゃ?」
『柳生ってどう?』
「…どうって何が?」
『変わってると思わない?』
「どの辺りが?」
『えー、真田ほどじゃないけど喋り方とか』
「他には?」
『今どき七三とか。絶対乱れないしスプレーで固めてんのかな。後、生徒指導の先生なみに小煩いし。何であんなに紳士ぶるのか不思議、ってゆうか変、変わってるよ』
「…………」
『仁王?』
「ほー、貴方は彼氏に対してそんなこと思ってたんですか」
『え、ま、まさか、』
「残念ながらわたしは仁王君じゃありません」
『や、柳生……!!』
彼女にそこまで言われるなんて心外でした。
でもそんな彼女を可愛いと思うわたしはやっぱり変わっているのでしょうか。
(柳生/変り者)
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