Sincere love | ナノ


 

 sequel.5
  reach a dead end (1/1)




君を見た瞬間
押さえ切れなくなるこの想いを

どうすれば紛らわせますか





sequel.5
reach a dead end




今俺の横に居てんのは、河崎梓というひねくれた女やった。
傍に居て欲しいのは名前ちゃんやのに彼女の横には財前……。



『あの子もう新しい男つれてたねー手早ーい!』

「…………」



“俺等さっきも付き合い始めたんですわ”

名前ちゃんの事を頼んだのは俺。
財前の事や、アイツは勘がええから何かしら気付いて敢えてそう言うたんかもしれん。


せやけど…
名前ちゃんが別の男と一緒なん見るんは分かっててもキツいな……

めっちゃ会いたかったのに眼を合わせる事も出来ひんくて、
めっちゃ話したかったのにまともに話すら出来ひんくて。

俺の言葉に勘違いして眉を下げて辛そうなしてる名前ちゃんを抱き締めたかった。
ちゃうねん、俺はいつやって名前ちゃんしか見てへんよ。
そう言いたかったのに……思わず出してしまいそうやった左手をぐっと握った。

力いっぱい握ったその手は、包帯に薄ら紅い血が滲んでた……。



『あーいう子なんだ。それにあの男の子友達なんでしょ?逆に別れて正解じゃない』

「…っさい……」

『え?』

「うっさいわ!!それ以上言うたら俺もお前に何するか分からんからな」

『――、……』



あの子を侮辱される事だけは許せへん。
しかもこんな女に。お前なんかより何倍も何倍もええ女や。寧ろ比べる価値すらないわ。



『急に怒らないでよ、ビックリする』

「…………」

『無視ー?』

「…………」



俺はコイツを置いて家へ向かう。
それはいつも以上に早足やった。



『ちょ、ちょっと待ってよ!』

「ついて来んなや」

『は、』

「俺はアンタと仲良おする気はさらさらないねん」



幾ら名前ちゃんと引き離したって、俺は他の女なんか要らん。
全部が全部思い通りになるなんか思うなや。



『そ、そんな事言ったら、「なん?」』

『……っ、分かった、今日はもう、帰るわよ…』



言葉を遮る様に俺が聞き返すと、俺の視線に驚いて怯んだアイツ。

罰が悪そうに逆方向へ歩いて行くアイツを見て溜息を溢した。



「何で今日なんやろ……」



数時間前まで幸せで溢れてた記念日は、別れの日に変わるなんて……

神様は意地悪や。






目を閉じると、脳裏に過るは名前ちゃんで。その度に彼女が好きやと改めて思わされるそんな夜。


紅く染み付いた包帯が、俺を呪縛してるかのように捕らわれてて、此処には居ない彼女の名前を繰り返し呼んだ。



名前ちゃん愛してる……





(sequel.5 END)



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