sequel.4
Hand held out (1/2)
想い出は何色?
貴方を思い出す度に色鮮やかに今も染まっていくの
sequel.4
Hand held out
“今日学校行ったんは、名前ちゃんに会える気がしたから”
“そう言うたら、信じてくれる……?”
温かく感じるのは包まれてるから。
熱く感じるのは熱があるから。
それにクラクラしてアタシの思考回路は止まってしまいそう。
「ゆ、し…君…?」
『ずっと、会いたい思ってた』
「……………」
溢れてた涙は知らず知らず止まってた。
この状況をどうしたらいいのか分からなくて、とりあえず侑士君の胸を押して離れようとはしたけどそうすると余計腕に力が入った。
痛い……
「ごめ、ん、離して」
『嫌や』
「嫌、ってそんな…」
『……嘘や、堪忍、』
急にパッと離された腕はまだ全身に熱が残ってる。
本当に、どうしちゃったの侑士君…
『俺、な…?あの日、』
♪〜
侑士君が何か話を始めると、またしても鳴りだすアタシの携帯。
流れる音は蔵じゃない事を知らせてた。
「ごめんね、何度も」
『いや、ええよ』
通話ボタンを押してもしもし、そう言おうとすると。
「も《お前今何処や》」
「、ひかる…?」
言う間もなく声が聞こえて。
その懐かしく感じる声に何だか泣きたくなった。
《何処やって聞いてんねん》
「えっと…侑士君の家…、って光?」
正直に場所を伝えると途端ツーツー、と切られた電話。
な、なんなの一体…
頭を傾げてると侑士君の家のドアがドンドン叩かれてる音がした。
「え?」
『なんか、誰かドア叩いてへん?』
「うん…」
さっきの電話の話を考えると光かもしれない。
だけどそんなまさか……
『勝手に上がらせてもらいますよ』
「!」
『財前…?なんやお前、』
何回かドアを叩いた後ズカズカ上がり込んできた光に、アタシはグイッと腕を引っ張られた。
『こんな所で何してんねん。帰るで』
「…ひかる?」
『ここは名前が“居るべき場所”ちゃうやろ』
「…………」
止まってた涙はまた零れちゃってとめどなく溢れてくる。
結局何があってもアタシが居るべきところは蔵の所で。どんな時だって導いてくれる光りがある、迎えくれる手がある、支えてくれる肩がある、それだけで幸せだった。
「ひか、る…ひ…か、」
『ほら、分かったんなら行くで』
「うん…ごめ、ね、ありがと…」
甘えちゃいけないのは分かってるけど光が居て良かった。
光の手をぎゅっと握ってアタシは立ち上がる。
『ちょ、なんやねん、』
「侑士君…ごめん、アタシ行くね」
『………』
「ゆっくり休んで」
『……やな…』
「え?」
『何でもない、わざわざ堪忍な、有難う』
「ううん…」
お大事に、と部屋を出たアタシと光。
でも本当はちゃんと聞こえてた。侑士君が“そうやっていつも行ってしまうんやな”って言ってた事。
ねぇ、侑士君はどこまでが本気でどこまでが冗談なの……?
□
「ちょ、ちょっと光!」
『…………』
「光!ねぇ、何処に行くの!?」
てっきり家に帰るんだと思ってたアタシなのに部屋の前を通り越してずんずん歩いていく光。
黙ったままの光に何度も尋ねると、やっと光は足を止めて振り返った。
『決まっとるやん。部長んとこや』
「え、でも、」
『喧嘩かなんか知らんけどとっとと話し合って仲直りせぇっちゅー話』
光の言いたい事は分かる。
だけどこれは喧嘩とかそんな小さい問題なんかじゃない。
「光…」
『ん?』
「アタシ、蔵にフラれたんだ…」
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