Sincere love | ナノ


 

 sequel.3
  a forked road (1/2)




何度も叫んだ
君に逢いたくて君に触れたくて

でも届かないのは声にならない心の叫びだから






sequel.3
a forked road





――もう、会われへん

家にも来やんで



俺はハッキリそう告げた。

きっと今頃彼女は泣いてると思う。突然の俺の変化に戸惑って、哀しんでる。

哀しい思いなんかさせやんって決めてたのに。今すぐ抱き締めて嘘やって言いたい。

せやけど……ごめんな……




「……これでええん?」

『上出来』

「………………」

『何、不服そうな顔してる』



不服…?
それ以上に憎悪感覚えるわ。

目の前で不敵に笑うコイツが心底憎いと思った―――





  □





「すんません、人が倒れたんですけど」



医務室まで女の子を運ぶとそこはガラーンと人気が無かった。
夏休みやし、しゃーないな…

とりあえずいつまでもおぶってる訳にもいかへんし、ベッドに寝かせた。



『…あの、……』

「え?」



女の子は目を覚ましたみたいで何か小さい声で呟いてた。
聞き取れへんかった俺はその子に近づいて何や、って聞き返したんや。


カシャー


その瞬間、携帯で写真を撮るような機械音がして。



「な、なん今の…」

『完璧じゃん俺ー』

「!」



医務室の入り口に男が携帯片手に立ってたんや。

この男、見た事ある。
コイツ名前ちゃんの、元彼や――――…



『撮れたの?』

『バッチリ。今送ってやるから』



倒れたはずの女の子は起き上がって名前ちゃんの元彼と何やら言うてる。

何の話してんねや…?
どういう事やねん……!



『あー来た来た。うん、善い感じだね』

『当たり前だろ?』

「ちょ、お前等何言うて…」

『白石君。これなーんだ?』

「は、……!?」



ニンマリ笑う女の子は俺に携帯を見せてきて、そこに写ってるのは。

さっきの写真。
それはまるで俺が彼女にキスしてる様にも見える角度で…



「こ、これがどないしたっちゅうねん……」

『“名前ちゃん”に送っちゃおうかな』

「!」

『白石君次第だけどね』



それは脅してんのか?
倒れたのも、演技…?

せやけどソレがなんやねん。名前ちゃんにはちゃんと説明したら分かってもらえるはずや。こないな奴の言いなりなんかならへんわボケ。



「送るなら送ったらええやろ」

『やっぱりそうなるかー!』

「それより、何でアンタは名前ちゃんの元彼やのにそないな事、」



仮にも一度は好きになった女やろ?
せやのにこないふざけた事よぉ出来るわ……

俺が尋ねると男は口角を上げて笑った。



『悪いね白石君。俺、最近新しい彼女が出来たんだよねー。その彼女の親友がコイツ』

「、」

『話聞いてるとコイツ、アンタが好きだって言うからさ。俺的には名前より彼女の親友に幸せになってもらいたい訳よ、彼氏として』



心底、本気で人を殴りたいと思た。
こんな男を名前ちゃんが昔好きや思てたなんて…許せへん、許さへん。



『ま、後は2人でごゆっくり』

『有難うね』

『健闘祈っとく』



そう言って男は出ていってしもた。
追い掛けようとするものの、



『白石君!話は終わってないんだけど?』

「………」



引き止められる。



「話なんやする事な『コレも見て』」



再び突き付けられる携帯に目を疑った。

なんやコレ……

それは、悪質そうな出会い系サイトが開かれてあって投稿欄には名前ちゃんの名前、アドレス、電話番号、住所、おまけに写真まで書かれてあった……





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