Sincere love | ナノ


 

 sequel.2
  New matter (1/2)




正解なんてあってないようなものだから

それなら私は貴方の隣で生きていたい





sequel.2
New matter




「本当に、平気…?」

『…すまんな』

「、別にアタシはいいけど」

『とか言うて。顔、めっちゃ引きつってんで?』

「え、あ……」

『まぁ、俺なんか嫌いやよなぁ』

「……………」



大学の正門で蔵を待ってると、数人の学生が学校を行き来してた。
夏休みだっていうのに学校に来るだなんて偉いなぁ、そんな事を思いながら携帯を弄ってたんだ。

すると、目の前を長身な男の人が通ってアタシに影が出来たかと思うと…


ドサッ



「!」



人が倒れる音がリアルに聞こえた。



「だ、大丈夫ですか!?」

『…、……』



目の前で人が倒れるなんてそんな経験今までになくて、どうしていいのか分からないのにアタシは駆け寄った。

でも、それは、



「ゆ、し、君…?」

『名前ちゃん……』



侑士君だった。

侑士君とはあの日、蔵の事でゴタゴタした以来まともに喋った記憶なんかなくて。

正直近寄りたくない存在になってた事は明確だった。



「大丈夫……?」

『格好悪いとこ、見せてしもたな…』



だからといって放っておけるはずなんかなくて、アタシは侑士君をそっと起こしてあげた。

倒れた衝撃でヒビが入ってしまった眼鏡を取ると不意に触れた侑士君の顔が異常に熱くて。



「病院、行こう」

『え、』

「タクシー拾うからちょっと待っててね」



熱があるであろう侑士君を地面に座らせて、道路際に立ってタクシーが通るのを待つ。
その間にアタシは蔵にメールを打った。戻って来た時、急に居なくなってたりすると心配するだろうから。

“人が倒れたから病院に連れて行くね。先に家に帰ってて”

もっと詳しく書きたかったけれど、ちょうど良く来てしまったタクシーにそれ以上のメールを打つ事は出来なかったんだ。



「侑士君、歩ける?」

『、大丈夫や』



大丈夫、そうは言ったってフラフラで真っ直ぐ歩けてないじゃない…
強がる彼の腕をアタシの肩にかけた。



『堪忍…』

「こういう時に謝らなくていいから」

『…………』



タクシーに乗り込んで、総合病院まで。そう言おうとすると、



『〇丁目まで、行ってもらえますか』

『分かりました。出発しますよ』

「ちょ、侑士君!病院に、」

『ええねん!大丈夫、やから』



普段より息を荒々しく吐く彼はどう見たって大丈夫じゃない。



「でも、」

『ええから…病院は、行きたない…』

「侑士君……」



頑なに病院を拒む侑士君は、ただ病院嫌いな雰囲気ではなくて、もっと深い何かがあった気がした。

だからアタシは、それ以上無理強いする事が出来なくて、大人しく家に向かったんだ…





  □





「き、嫌いとかそんなんじゃ…」

『やって、俺に関わりたない、そんな顔してる』



病人とは思えないくらい毒を吐く彼に少し呆れてしまいそうになるけれど。

侑士君の部屋に着くなり彼をベッドに寝かせて、アタシはタオルで氷の入った袋を包んであげた。

もう二度と来る事はないと思ってた隣の部屋だけど、アタシは今ここに居るんだ。



「くだらない事言ってないで、これ頭に敷いて」

『…………』

「体温計も貸して。もう計れたでしょう?」



大人しく体温計を渡してくる彼はあの時の様に怖い感じは全然ない。



「39,7……凄い熱…」

『そないあるんや…道理でダルいはずやなぁ…』

「こんな熱がある時に学校なんか行かなくっても……待ってて、家に解熱剤あったはずだから取ってくる」



アタシが立ち上がろうとした瞬間、アタシの手は凄く熱かった。



『行かんで、』



それは熱を帯びた侑士君の手に包まれてたから。



「そんな事、言われても、薬飲まなきゃ駄目だよ…」

『お願いや…行かんで、ここに居って…』

「……………」



どう、しちゃったの?
こんな弱々しい彼なんて見た事ない…

あの日はともかく、いつも勝ち気な顔で笑ってる、そんな人なのに―――…





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