story14.
your conffetion (1/2)
見えていたものが見えていなくて
代わりに傷ついた君が酷く綺麗に見えたの
story14.
your conffetion
突如現れた雪子ちゃんという蔵の元彼女の存在が、アタシは嫌悪感を抱く原因の何モノでもなかった。
『ホンマ懐かしいなぁ!あの時のオサムはコケシコケシ言うてー!』
『もうええやんその話忘れてや』
『謙也がフラれた話やで、忘れれへんわこないな傑作』
「……………」
話題は皆が一緒だった中学生の頃の話で、何も知らないアタシはついていけず愛想笑いを浮かべるだけだった。
『名前ちゃん、堪忍…後で出掛けよな?』
「う、ん、いいの別に、」
蔵が小声で謝ってくれるけど、蔵のせいじゃないし、久しぶりだという雪子ちゃんを邪険にするなんて出来ない。
『あー、えろスンマセンなぁ!アンタは中学ん時の話されたかて分からへんよなぁ!』
「…………」
『あの時蔵ノ介とうちは初めて『雪子!!』………なんやねん』
『ええ加減にせえよ』
『別にええやん、思い出話くらい』
『それ以上ふざけた事言うたらお前でもシバくからな』
「ちょ、ちょっと蔵……」
『なんやねん……蔵ノ介はうちの事今日もあの日も邪魔者扱いするねんな』
「……………」
邪魔者……?
どういう事?それに初めて、って何?
雪子ちゃんから告げられた意味深な言葉が頭でグルグルする。
知りたい、好奇心が芽生える。きっと聞いたって善い話ではないのに。
『アンタ、ちょっと顔貸して』
「え…?、うん…」
『雪子!名前ちゃんに何言う気やねん!』
『うっさいわ!黙っときや蔵ノ介』
「蔵、アタシ話くらい平気だよ……」
『名前ちゃん、』
心配そうな瞳をする蔵には悪いけど、女同士しか出来ない話だってあるんだと思う。
この子はきっと、今も蔵が好きなはずだから……
『アンタ…蔵ノ介に本気なん?』
「、本気だよ」
『アンタに言いたい事はただ1つや』
「うん」
『アンタに蔵ノ介は渡さへん』
「っ、」
『蔵ノ介はうちが貰う』
彼女の強い意志がアタシに突き刺さる。
だけどこれは想像していたこと。アタシだって好きな様に言われたままじゃない。
「渡さないよ、アタシだって蔵が好きだもん」
『アンタの気持ちなんやどうでもええ。せや、ええ事教えたるわ』
「え?」
『さっきの話の続きや。うちは蔵ノ介の初めての女や』
「……………」
『それにうちは別れた覚えなんかないんやからな』
「ちょ、ちょっと待って!」
部屋に戻ろうとする彼女を引き止める。
アタシだって聞きたい事があるんだから。
『なんや』
「あの、さっきの…邪魔者ってどういう事なの?」
『……ソレはアンタに関係ないことや。首突っ込まんで』
彼女は言いたい事だけを言って部屋に戻ってしまった。
教えてくれてもいいのに…
それにあの子…蔵の、初めての……
アタシだって経験ある事だもん、蔵にだってあって当たり前。
だけどこういざ目の前に本人が現れと、やっぱり正直なところ気にしてしまう。
後、別れた覚えがないって…
本当は、別れてないって事なの…?
蔵……気にしなくていいんだよね?
アタシは蔵を信じればいいんだよね?
……うん。アタシは、大丈夫。
『名前ちゃん!何もされてへん!?』
少し遅れて部屋に戻ると、さっきよりも心配顔の蔵が居た。
自惚れなんかじゃない、蔵に愛されてる証拠だ。
「何言ってんの?大丈夫に決まってるでしょ」
『、それならええねんけど…』
『ホレ見てみぃ。うちは何もしてへんねん』
『どうやろな』
『まだ言うか蔵ノ介!』
逆に、蔵が好きだって言われて安心した。
正々堂々、アタシも蔵を好きだって言えたんだから。
『………』
光……?
その時、光から痛いほどの視線を向けられていた。
『皆たーんと食べてなぁ!』
その日の夜、蔵のお母さんはバーベキューをしてくれた。
蔵の家の庭からお肉と野菜の焼ける善い匂いがして、一気にお腹が空いた気分になった。
ああ…美味しそう…
っていうか一昨日焼肉食べたとこじゃんアタシ…
『名前ちゃん、しっかり食べなアカンよ』
「う、うん」
『肉ばっかりでホンマデブまっしぐらやんな』
「ひ、光!酷い…」
『要らん事言うな財前、名前ちゃんはもう少し太って標準サイズやねんで?』
「うーん…」
蔵はそう言ってくれるけどお世辞だよね…
だって最近お気に入りのスカートが気持ちパツパツになってきた気がするんだもん……!
でも目の前の誘惑には勝てやしない…
『箸が止まってるで?俺が取ったるから』
「ごめん、有難う」
蔵がアタシのお皿をひょいっと取ってお肉と野菜を次々に入れてくれた。
そんな世話好きなとこも善い…!
って思った矢先。
『おっっ、と!そないなとこ居てたら邪魔やねんで!』
「ご、ごめんなさ…」
『おまっ、雪子!名前ちゃんの服汚れてしもたやないか!』
雪子ちゃんとぶつかってしまった(いやもう体当たりだったな)せいで、せっかく取って貰ったお肉と野菜は無残にも地面に落ちて、おまけにアタシのワンピースにも肉汁だとか焦げだとかタレで 無残な事に…
あー…気に入ってたのにシミ落ちるかな…
幾らアタシが気に入らないからってああいうのは止めてほしいんだけど。
『名前ちゃん大丈夫…?』
「アタシは平気!ごめんね、お肉……」
『そんなんええねん!せやけど服、』
「うーん、これじゃあれだから着替えてくるね、序でに軽く汚れ落としてくるから」
『せやったら俺も、』
「ううん、いいからいいから」
偉い目にあったな…
蔵の部屋に戻って着替えて、汚れを良く見ると思ったより酷い。
ショック……
「漂白剤使わなくちゃ無理かもなー…」
脱いだワンピースを持って洗面所へ向かうと、蔵が玄関先に見えた。
結局来てくれたんだ。
やっぱり優しいな、蔵は……
「く……、」
蔵
名前を呼ぼうと思った時。
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